26話 私、一歩も動かずに試合に勝利します。(私、機会いじりが楽しくて仕方がありません。)
「ただいま」
「お、夜。さっきの試合見てたぜ」
「Zzz……」
「私もです。それにしても、なんですかあの技! ぐるっと回ってドーンと!」
「あぁ、舞旋衝の事か」
舞旋衝に興味を持ったガイアと月夜が、色々と質問してくるのに答えていると、咲が居ない事に気付いた。
リンカはガイアの背中でご就寝だ。
「咲は?」
「咲さんならついさっき、夜さんと入れ違いで舞台に向かいましたよ」
「お、出てきたみたいだぜ」
舞台を見ると、咲が4台のノートパソコンを抱えて舞台に上がっていた。
その後ろには4体の機械が付いてきている。
4体共、咲が作った超高性能ロボットだ。
「何だありゃ?」
だが、ガイアと月夜は機械よりもノートパソコンの方に興味を示していた。
獣界では見たことがないそうなので、軽く説明する。
「なるほど……ですが、そんなものでどうやって戦うんですか?」
月夜はさっき、咲の戦闘と時間が被って見れていなかったからな。
「まあ、それは試合を見てくれ。ただ一つ言えるのは──」
「い、言えるのは?」
「絶対誰にも真似出来ないって事だ」
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AnotherView:Saki Amagiri
「なによ、次の私の相手は盛った薄汚い人間の女なわけ? ハッ! めんどくさい、とっとと終わらせてやるわよ」
お相手は3年(?)と思わしきエルフの女の人で、もう戦う前から敵意をプンプンさせている。
薄汚いのはあなたの言葉遣いですよー! って言いたいけど、そんな事言ったらもっと怒りそうだしやめとこ。
私は4台のノートパソコンを開いて、地面に座りこむ。
「何座ってるのよ、私を馬鹿にしてるわけ!?」
「あ、試験官さん、戦闘準備出来たので始めちゃって大丈夫です!」
「そ、そうなのか。分かった、すぐに始めるぞ」
「無視したわねー!!」
怖いものには触れるべからず、そのままほっておきましょー!
そして──
「始めっ!」
「あんたのような人間の女、すぐに蹴散らしてあげるわ! 【土の槍】!」
試合開始直後、すぐに私に魔法を放つエルフさん。
それでも私はすわったまま、その場から動かない。
──だって、動く必要ないもん。
(私を守って)
私は右手で玄武、左手で白虎に指示を出す。
二人は同時に動き出し、玄武は私に迫る【土の槍】をその身で弾いて、白虎はその対象を沈める為、地面を滑走し、対象へと迫っていく。
「なによこいつ、硬いわね! ふっ、せいっ!」
エルフさんは、白虎の爪を剣でいなし、躱し、そしてスキを見つけて白虎に攻撃を入れている。
うーん、単体の戦闘能力じゃあエルフさんに分があるかな。
じゃあ──
(援護射撃して)
そのまま白虎には攻撃を続けてもらって、更にその後ろから玄武がゴム弾(安全面の為)による援護射撃を開始する。
「え、きゃあ!」
その援護射撃は太ももに直撃し、エルフさんはバランスを崩す。
白虎がそのスキを見逃す訳もなく、スキだらけの所に振り下ろされる白虎の爪。
「くぅ! 【物理防御】!」
その爪はガードされちゃったけど、別の角度から玄武がエルフさんを撃ち抜いて、更に追い打ちをかける。
「痛っ、あ!」
痛みで防御魔法が消え、スキだらけの所を白虎が一閃──する予定だったけど、その爪は試験官さんの防御魔法で防いでもらった。
「勝者、1341番!」
「ありがとうございました!」
私はエルフさんと試験官さんに一礼して、おにいちゃん達のところに戻った。
Saki'sview end
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「おい何だありゃ!? 咲の奴、1歩も動かずに勝っちまったぞ」
「機械を動かすのにノートパソコンを使っていたみたいですけど、二つ、それも全く同時に操作するなんて……そんな事出来るんですか!?」
「本来なら、二つの事を同時に考えるのは脳の構造上無理だ。だが、咲はどうやら完全な並列思考が出来るらしい。咲には右手でペンを動かしながら、左手で料理を作る事だって可能だ」
実際にその光景を目にしたことがある。
当時の俺は大層驚いたものだ。
「というか、あの機械共は何なんだ? あいつらも機械とは思えないほどに複雑な動きをしていたが」
「全部咲が作ったものだ」
「とんでもないですね……」
そして──
「終わったー!」
「おう、おつかれさん。いや咲、お前ってすごいんだな!」
「ふふん(●´ω`●)」
自慢げに胸を張る咲。
「そういえば咲さん、さっきの機械達は何処に?」
「あ、え、えっと……」
俺の顔を見ている咲に対し、俺は横に首を振る。
どこまで話していいのか決め兼ねていたようだったが、流石にそれは駄目だ。
「ひ、秘密です!」
「そうですか……残念」
そして──
『次、2187番と2600番!』
「お、次は私ですか」
「頑張れよ月夜!」
「月夜の戦いは凄いぞ、咲とは違った意味で見応えがあるからな」
「ちょ、あんまりハードル上げないでくださいよ夜さん!」
「頑張ってくださいね月夜さん!」
次は月夜の番だ。
さっきの戦いは見ていたが、月夜の戦い方はなんと言っても美しい。
また見るのが楽しみだ。
完全並列思考にはデメリットもあるんです。
実は常にこの状態なので、普通の人の2倍脳を使ってるんです。
それによって脳が疲れて、身体が糖を欲するんです。
私が沢山食べる理由や、食べても全く太らない理由はそこから来てます!





