22話 俺、もふもふしたいけど抑えます。私、眠いのでとっとと試合を終わらせます。
※諸事情により、一部設定を変更しました。
①シャルの髪色 黒→赤
②シャルの武器 漆黒の鎌→真紅の大剣
他、細かい表現等。
「ガイア、これ美味しい……」
「お嬢、口の周りにくっついてますぜ」
「とってとって」
ふきふき。
「ありがと」
口角を少し上げ、優しげな笑みを浮かべるリンカを見ていると何とも和む。
とても一界の姫と、その護衛の関係には見えないな。
その事を聞いてみると──
「俺とお嬢は幼馴染でな、昔からよく遊んでたんよ。そんで、いつからか『護衛を付けるべき』っつー意見が獣界から上がってな。お嬢と交友があって、自分で言うのも何だが、それなりに腕も立つ俺に白羽の矢が立った訳よ。ま、リンカは俺よりよっぽど強いが、色々な理由で護衛は必要だ。だがまあ、実際やってる事は世話係みたいなもんだな」
「……ガイア、いつもありがと」
リンカの頭を撫でるガイア。
獣人で、更に種族系統(狼)も同じだし、仲のいい兄妹にしか見えない。
「なんか、王女様だからってどう対応すればいいか悩んでいたのが私が馬鹿らしくなってきたよ」
「咲さんに同意です」
「私は……気にしないで接してくれると嬉しい……」
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺は──」
俺、咲、月夜の順に、簡単な自己紹介を済ませる。
そして──
「ガイア・スプラウト、ガイアって呼んでくれ。見ての通りの獣型の狼の獣人で、主武器は槍。見た目と似合わないのは重々承知しているが、趣味は料理だ。よろしく頼む」
「……リンカ・ソフィーティア。人型の狼の獣人で、一応獣界の王女やってる。主武器は……素手? 趣味は惰眠を貪る事。特技は何処でもすぐに寝れる事。ふぁぁ……」
「そうだお嬢、あいつの紹介はしなくていいのか?」
ん、あいつ? 他にも誰かいるのだろうか。
「今は面倒だしいい。また後で紹介する」
「そうか。まあいきなり言っても混乱するだろうし、その方がいいか」
二人で納得しているし、教えたくない訳でもなさそうだ。
無理に詮索する事なく、向こうから言ってくれる時に話してくれればいいか。
自己紹介の間に各自食事を食べ終わり、俺達は闘技場に戻ってきた。
その道中──
「ガイアー」
「あいよ、よっと」
「Zzz……Zzz……」
リンカがガイアの背中に乗り、すぐさま寝息を立て始めていた。
リンカはホントに寝るのが好きなんだな。
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休憩時間も終わり、既に試験は開始されている。
俺達は客席で、既に戦いに身を投じるリンカを見ていたのだが──
「な? お嬢は強いだろ?」
ガイアの言う通り、リンカは理不尽なまでのパワーで相手を圧倒していた。
立ち回りや太刀筋から対戦相手のエルフも相当な手練である事が見て取れるが、リンカの圧倒的なパワーのせいで、エルフは持ち前の技量を活かしきれていないようだ。
「ちなみに一戦目は試合開始直後にワンパンで終了だった。ご愁傷様だな」
つくづく滅茶苦茶だ。
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AnotherView:Rinka sofeetia
「むむぅ……」
私の戦闘スタイルは単純で、素手で相手を殴って、蹴り飛ばして、投げ飛ばしたりするだけ。
人型獣人だし魔法の方が使えるけど、殴るより疲れるから使わない。
大体の敵は殴るだけで終わるし。
でも今回の対戦相手のエルフ、ただ殴るだけじゃ倒せそうにない。
いつもなら不意打ちパンチで終わるのに避けられちゃったし、それでも強引に殴ったら剣でいなされちゃった。
剣で防がれたら殴り飛ばせば良いだけなんだけど、いなされちゃうと困る。
判断力もあるし、もしかしたらガイアより強いかも。
なら──
「【憑依:月下獣】」
早く寝たいし、そろそろ本気だそうかな。
Rinka'sView end
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「あのエルフ、相当強いぞ。リンカが【憑依】を使うとはな」
「【憑依】?」
「どういう訳か、リンカだけが使える能力だ。倒した魔物や動物の能力を借り、自身の身体能力を飛躍的に上昇させるっつう能力だ。一応、三分しか使えない弱点付きだが──」
そこでわざとらしく言葉を切り、ニヤリと笑って続けるガイア。
「リンカが【憑依】を、ましてやその憑依の対象が月下獣の時、三分で決着がつかなかった事は無い。あの面倒臭がりなリンカが【憑依】を使う事すら稀だ。滅多に見られないから、しっかり見とけよ」
だそうだ。
なるほど、【月狼】の固有能力はこれか。
俺はリンカの様子が変わったのを肌で感じ、再び戦場へと視線を戻した。
……【憑依:作者】
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