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19話 俺、戦闘試験のトップバッターで緊張です。




「すごいな……」

「そうでしょ! ここは特に念入りに作ったからね。見た目もそうだけど、中も普通の闘技場とは一味違うよ! 早速入ろうか!」


 俺と学園長は、最終試験の舞台──闘技場に繋がる裏道を歩く。

 この闘技場、目測だが人間界の東京ドームと同じ位の大きさに見える。


 中に入って、まず目に入るのは天井。

 天井は空いており、白く輝く太陽の光が闘技場のステージを照らしている。


「雨が振らないから天井が相手でも問題無いし、この方が見栄えも良いと思ってね。……経費削減とかじゃないよ? そ、そんな目でボクを見ないで」


 経費を削減したのかどうかは怪しいが、確かに見栄えは良いな。


「じゃあ、ボクはそろそろ行くよ」

「はい、色々とありがとうございました。もし合格できたら、その時はまたよろしくお願いしますね。それと最後に一つ、良いですか?」

「うん? 大丈夫だよ」

「それなら──シャル・アストリアという名の魔族を知ってますか?」

「…………シャルは君に貰った翼、今でも大事にしているよ」

「!?」

「さ、試験頑張ってね!」


 そう言って去っていく学園長。

 子供っぽいし変な所もあったけど、あの人が魔族最強の兵士だったのかと疑うくらいには良い人だった。


 ──それに学園長は、翼を知っていた事を見るに、シャルに相当信頼されている人物と見て間違いなさそうだ。


 大方、同じ血が流れているんだろう。

 名字も同じだしな。


 そこで──


「あ、おにいちゃん!」

「咲と月夜か。筆記テスト、どうだった?」


 たまたま咲と月夜に合流した。

 そのまま観客席に座り、試験開始まで二人と話す。


 戦闘の試験に関してだが、この巨大な闘技場内で、5組の戦闘が同時に行われる。

 10組くらいは同時に対戦しても余裕ありそうだが、安全面を考慮して5組にしたと学園長が言っていた。

 対戦相手は完全ランダム。

 学年も性別も、種族も関係ないようだ。

 竜族と当たらないと良いんだがな。


『これより戦闘の試験を開始します』


 そうこうしているうちに試験が始まった。

 そして──


『闘技場の試験監督、皇輝夜(すめらぎかぐや)だ。早く家帰って酒飲みたいから、とっとと始めるぞー』


 面倒臭そうに言う試験監督。

 この人に代表を任せるって、これで良いのか名門校。

 というか皇か、確か月夜の苗字って──


「……私のお母さんです」

「そ、そうか」

「雑な人ですが、意外と優しいんですよ? しかも代表(マイル様)と戦った事もある実力者なんです!」


 えっへんと胸を反らす月夜。

 だがあの【光帝】と同格に戦える者なんてそうそういないだろうし、相当な実力者なんだろう。

 光帝と良い試験監督といい、各界の実力者ってとてもそうは見えないよな。

 あのジルさえも、普段はそうなのかもしれない。


 それはともかく、試験監督は狐の獣人。

 もしかして──


「【不可視の妖狐(インビジブル)】?」

「お、知ってますか!?」


 獣人最強の兵士、【不可視の妖狐】。

 一人でエルフ軍、魔族軍を複数壊滅させ無傷で生還した狐の獣人だ。

 気配はあるのに攻撃が当たらない事からその二つ名が付いた。


 ──という噂があるのだが、【不可視の妖狐】は実在しないただの噂とされていた。

 だがその娘が俺の隣にいる事を考えると、それは紛れもない事実なのだろう。

 そして──


『今から受験番号を呼ぶから、呼ばれた舞台に降りてこい! 2642と……2337、初戦はテメェらだ。 次は──』


 2642番、いきなり俺じゃないか。


「うわわ、お兄ちゃんいきなりだね」

「ファイトです。ここで見てますよ!」

「ああ、行ってくる」


 そうして、俺は舞台に降りた。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「只今より、2642番対2337番の試合を行う!」


 お相手は狼の獣人だ。

 獣型の獣人か、俺としては助かるな。



 獣人はいくつかの種族と別に、人型と獣型の二種類に別れている。


 人型の獣人は、人間の身体に種族特有の耳や尻尾等があり、人としての特徴を多く持つタイプだ。

 月夜や試験監督はこっちのタイプだな。


 それに対して獣型の獣人は、全身が体毛によって覆われており、より獣らしさが色濃く出ているタイプだ。


 個体差はあるが、基本的に人型の獣人の方が魔法が得意で、獣型の獣人の方が身体能力が高い。

 俺には遠距離への攻撃手段が無いからな。

 獣人を相手にするなら、獣型の方が戦いやすい。



「あんた本当に人間か? 目を見りゃ分かる、相当修羅場を潜ってるだろ。名は?」

「正真正銘、俺は人間だ。名前は天霧夜、対戦よろしく」

「天霧か、なるほど。俺はガイア。悪いが人間だからといって、俺は手を抜いたりしない」


 槍を構えるガイア。

 槍の素材は銀だな。


 獣人は実力によって、武器に使う金属を変える文化があり、十二の階級がある。

 確か銀は上から3番目。

 それを考えると、ガイアが相当な実力者だというのが伺える。


 それに加え、俺が人間だからと油断せずに、槍を構える辺りスキが無い。

 始めから強敵を引いたな。

 入学者全員がこのレベルなのかもしれないが。



「始め!」


 考えてるうちに試合が始まる。

 ガイアその場で脚を引き、槍を持った右手を肩の後ろに引く。


 その構えからガイアの動きを予想し、鞘に収めていた天之叢雲を抜き、飛び道具を撃ち()とす技──【流墜(りゅうつい)】の構えをとる。

 そして──


「【追跡(ハント)投槍(ジャベリン)】!!」

「【流墜(りゅうつい)】!!」


 途轍もないスピードで迫る槍を正面から叩き伏せ、槍に流れる力の方向を下へと変換する。

 槍が地面へと突き刺さったのを確認し、俺は得物を失ったガイアに突撃する。

 いきなり槍を投擲したのを見るに、他の武器を隠しているのは間違いない。


 念の為【感覚拡張(スプレッドセンス)】を使い、俺はガイアとの距離を詰める。

 が──

 

「よそ見厳禁だぜ?」

「なっ!? っっっっ!!!!」


 身体を捻り、後ろから猛スピードで迫っていた槍をスレスレで回避する。

 【感覚拡張(スプレッドセンス)】を使ってなかったら気付かなかった。


「流石天霧、よく避けれたな」

「死角からの攻撃には慣れてるんでな」


 俺が死角からの攻撃を避けた事に、驚きの表情を見せるガイア。

 だが槍の対処に追われている際に、距離をとっていたらしい。


 一旦仕切り直しだな。

最後まで読んでくれてありがとな。


作中に出てきた獣人の金属についてだが、トップクラスの実力者は魔石(魔素が充満している所で生まれる美しい鉱石)で出来た武器を持っている。

【不可視の妖狐】も魔石で出来た武器を持っているって噂だ。

魔石はゲートにも使われていて、まだまだ研究中の貴重な石だ。

なかなか手に入るもんじゃないんだぜ。

(ガイア)

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