18話 俺、試験の難易度が高過ぎてびっくりです。
俺達はWGAの門を潜り、案内に従って進む。
俺の受験番号は2642、咲は1341、月夜は2187だそうだ。
上一桁が学年を表しているっぽいが、まあどうでもいいか。
2F──2学年の試験会場に移動する為、1学年の咲と別れる。
「き、緊張するなぁ……!」
「咲なら基本教養科と戦闘に関しては問題ないだろ。戦術形成は……頑張ってくれ」
WGAの試験は基本教養科と戦術形成、そして戦闘の三種類だ。
基本教養科は人間界の普通の学校と変わらない。
国語とか数学とか、そういったものを指す。
ただし教科毎にテストが別れておらず、一枚に全科目がまとめられている。
基本教養科における配点は合計100点。
WGAの教育理念上、基本教養科は他二つ程重要な科目ではないのだろう。
次は戦術形成だ。
集団戦闘の進め方や盤外戦術、他にも心理学や天候等、戦局に関わる要素全てを計算して、大まかな答えを出していくのが主となる教科だ。
決まった答えが存在しない事が多いが、採点者の意表を突く答えを出せれば、高い配点が貰えるのだろう。
戦術形成における配点は合計200点。
中々に高い配分だし、ここを落とせば痛いな。
最後に戦闘。
実際に入学候補生同士で模擬戦を三回行い、戦い方や純粋な強さを得点化する。
この模擬戦は安全面が十分に確保されている他、勝敗は得点に影響しないそうだ。
このルールは助かったな。
竜族と当たったら、霊装の無い人間じゃ太刀打ちできない。
戦闘における配点は合計200点。
戦争を止められる人材を育てるがモットーにある学園だし、この配点は同然だろう。
この3つの教科の合計点が各学年上位20%(1学年だと約上位150人)を超えれば合格だそうだ。
倍率5倍以上と考えると、どれだけこの学園に各界が期待を寄せているか良く分かる。
テストのレベルも相当高いだろうしな。
油断は出来ない。
更にその中で各学年の上位10名は、合格後にちょっと豪華な寮で暮らせるんだとか。
合格出来れば俺としては十分だが、上位10名に入れて悪い事はない。
そこを目標に頑張ろう。
「じゃあ咲、月夜、また後で」
「おにいちゃんも頑張って!」
「皆で合格しましょうね!」
俺は咲や月夜と別れ、指定の教室に歩を進める。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『試験を開始して下さい』
アナウンスと共に、事前に配られていた基本教養科のテストを解き始める。
思っていたより難しいなこれ。
引っ掛け問題も多い。
それだけでなく、普通に問題の数も多い……っていうか配点が全て1点だ。
最初に制限時間が90分って聞いて長すぎると思ったけど、寧ろ90分でも足りないくらいだな。
時折妙に簡単な問題と、明らかに解かせる気のない問題が混じっている。
『躑躅』、『蟋蟀』とか、なんだよこれ……こんなの見たことないぞ。
どうやら知識力だけでなく、判断力のテストも兼ねているっぽいな。
取り敢えずサッと全ての問題に目を通し、難しいものにチェックを付けておく。
まずは簡単な問題から解いてしまおう。
解いていくうちに──
『試験を終了します』
試験が終わった。
難易度こそとんでもなかったが、わりかし好感触だったな。
90は厳しいかもしれないが、80後半位はとれてると思う。
10分の休憩の後、戦術形成のテストが始まる。
この分野は俺の得意科目だし、少し楽しみだ。
俺は基本教養科によって熱くなった頭を冷やし、次のテストに備える。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『試験を開始してください』
休憩が終わり、戦術のテストを解いていく。
孫子の兵法等の既、存のものからの引用もあり、得意な俺からすると面白いテストになっていた。
こっちもとんでもない難易度だったが、得意科目だしスラスラと解ける。
『試験を終了します』
十分に時間を残し、余裕をもって試験終了だ。
『筆記のテストは以上です。次の試験は外で行いますので、動きやすい服装に着替え、指定の闘技場に向かってください。更衣室は──』
戦闘の試験の案内をするアナウンスが流れる。
アナウンスを聞き、俺達入学候補生はWGAの目玉の一つである闘技場に向う。
が──
「お嬢、お嬢! くっそ、人混みで周りがよく見えねえ。どこ行っちまったんだ!?」
約2000人もの人数が案内に従って一斉に動いたせいで、廊下は人で溢れていた。
ここを通ったら戦う前に疲れかねない。
……特に禁止もされてないし、大丈夫だよな?
「よっと!」
俺は筆記の試験会場だった教室の窓から外に飛び降り、そこから闘技場に向かう事にした。
幸い誰にも見られてな──
「こらこら、窓から飛び降りちゃ駄目でしょ!」
「!?」
声が聞こえたのは俺の真横。
その声の主は──
「え、炎帝!?」
「あ、ボクの事ご存知?」
「そりゃまあ、入学を希望している学園の学園長ですから……」
【炎帝】マイル・アストリア。
映像媒体で何度か見たことがあるから見た目は知っているが、思っていたよりフレンドリーな喋り方をする人だ。
「そりゃそっか! そいえば君、名前は?」
「あ、天霧夜です」
「!? ……君が!」
「な、何か?」
突然驚いた顔をする学園長。
「いや、何でもないよ。ところで夜くん、今窓から飛んでたよね? まあ廊下はあれだし、気持ちは分からなくも無いけど」
「ご、ごめんなさい。ところで学園長はいつからそこに?」
「え……? 今、かな?」
なんとなくその場で上を見上げると、開いている窓が2つあることに気付いた。
あ、スーってしまってく。
風魔法かな?
「……まさか」
「じゃ、闘技場に行こうか! さ、夜くんも早く早く!」
そうして俺の手を握り、闘技場へ走る学園長。
それで思ったんだが、学園長は人間とか魔族とか、そういうのを気にしない人っぽい。
他種族と話してると、どうしても恨みの念みたいなものを感じる。
学園長は常に魔族の先頭に立ってきた人だし、人間への差別意識は結構あると思ったんだが、彼女からはそういう意識を微塵も感じない。
「……夜くん、ボクが窓から飛んだ事忘れてくれないかな? 教頭に怒られると長いんだよね。夜くんの事も秘密にしておくから、ね?」
「分かりました、俺は何も見ていません」
さて、そろそろ闘技場にも着くし、意識を切り替えよう。
各界の代表が集まる試験だ。
勝てる保証は無いが、幸い、勝敗は関係ない。
まあどちらにせよ、俺は全力を出し切るだけだ。
最後まで読んでくれてありがとう!
そういえば、試験に出てきた漢字分かった?
もし分かったら、答案(感想)と一緒に感想欄に出しておいてね!
しっかり見ておくからね!(マイル)





