17話 俺、空中に都市を作った理由に納得です。
「夜さんの目的地はWGAですか?」
「ああ、そうだが……なんで分かったんだ?」
「人間の観光客は少ないですし、入学候補生ではないかと。私も入学候補生ですし、良ければ一緒に行きませんか?」
と言う事で、WGAに向かいながら話すにした。
巫女を努めているとなれば、空中都市の地理にも詳しいだろうしな。
「そういえばさっきの奴、月夜が巫女だって分かって逃げ出したように見えたんだが、巫女には【神域】の管理以外にも役目があるのか?」
「はい、巫女は総じて魔素変換の上手な者──魔法を扱うのが得意な者ですからね。【神域】の管理の他に、治安維持のお役目も担ってますよ。といっても、治安維持の方は厳密に何時から何時まで、と決まっている訳ではなくて、暇な時に見回ってみて下さいみたいなゆるーい感じですよ?」
ちなみに、月夜はひと目で巫女とわかるような服を着用している。
所謂普通の巫女服に近いのだが、動きやすい様にか、所々違いが見られる。
治安維持の事も考えて、実用性重視の服装をしているらしい。
「それに【神域】の維持も別にそこまで大変な訳じゃないんです。空中都市のパンフレットには『空中都市全体の環境維持に務める巫女』なんて大層に書かれてますが、実は結構な人数がいて【神域】の管理は一時間の交代制なんです。お役目がこれだけなら、一時間で国から結構なお給料が貰える良い仕事なんですがね」
今の話を聞いて巫女に興味を持ったのか、咲がアホ毛を動かしながら月夜さんに質問する。
咲は何かに興味を持つとアホ毛がピクピク動く。
前にその事を指摘したら、俺も同じだと言われた。
……天霧の遺伝なのか?
「【神域】の維持ってどんな風にやるんですか? 少し気になったので」
「一時間毎に10人で【神域】の維持の為に魔力を献上し、それを毎日繰り返すって感じです。ぶっちゃけ巫女ってなんの面白みもありませんし、特に大変って感じる事もありませんよ? それよりも」
頭に生えた狐耳をピクピク動かしながら、月夜が俺達に質問する。
「天霧って、あの柔の天霧ですか!?」
「ああ、そう呼ばれる事もあるな」
「妹さんがいたんですね! …………さっきの身のこなし、特に流石天霧。柔の二つ名は伊達じゃないですね」
「いや、咲は妹じゃなくて従妹だ。それよりも、なにか言ったか?」
「いえ何でも」
何か言っていたと思うんだが、声が小さくてよく聞こえなかった。
まあそれは置いておいて、空中都市について一番気になっていた事を質問する。
「何でわざわざ空中に都市を作ったんだ? 平和の象徴にしたかったのは分かるが、それなら五界の何処にも属さない──海とかに作るんでも良かったんじゃないか? わざわざ【神域】を作ってまで、空中に都市を作る理由が分からない」
「それは単純に攻められにくいからですね。空中都市計画の代表──マイル様は、平和条約を破って都市が攻められる可能性も考えていました」
まあ、そう簡単に魔術の叡智を集めた都市がそう簡単に陥落するとは思えませんけどね。
と苦笑いし、月夜は続ける。
「それに、空中であればゲート以外で侵入するのはほぼ不可能。確かに環境の維持は難しいですけど、平和の象徴として、人為的な被害を抑える方に重きを置いているんです」
環境面に多少のデメリットを抱えてでも、人為的なトラブルを抑える為に空中に都市を建てたのか。
平和の象徴としては、確かにその方が良さそうだな。
俺は空から侵入できるであろう人を知っているが、今言ってもややこしくなるだけだな。
「さ、着きましたよ」
そうこうしている内に、俺達は空中都市の象徴──WGAに到着した。
入学試験が始まる。
どんな内容なのかは分からないが、間違いなく難易度は高い。
今から気を引き締めなければ。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
今回は説明だらけになってしまいましたが、楽しんで頂ければ私も嬉しいです!
さて、私は巫女のお役目を果たしてくるとしましょうか!
(月夜)





