蘭丸との再会
前回、図書館で眠ってしまった信長。そんな中誰かが起こしてくれる。起こしてくれたのはまさかのあの人だった!
「あ、あの」
何かが俺に触れ、話しかけてくる。その声はどんどんと大きくなる。
「あ、あの!」
その声に応じるかのようにゆっくりと目を開ける。
そこにいたのは何とも妖艶でかつかわいげもあるとしわも行かぬ少女だった。
しかし、どこか懐かしい声と雰囲気。まるでかつて一緒にいたかのような。
「ま、まさか、信長様ですか!」
興奮気味に俺の名を呼んでいた。俺は不思議だった。なぜ俺の名を知っている者がいるのかと。
「信長様ですよね!起きてください信長様!」
何度も言われるその声と俺の名に意識が戻りつつあった頃それは明瞭に誰かが分かった。
俺は急ぎ、起き上がる。その反動で頭と頭を勢いよくぶつかった。話しかけてきた少女は頭を押さえ、悶絶していた。そんなことをよそに俺は少女に話しかけた。
「蘭丸か!」
「やっと、起きましたか」
涙目で痛そうにしながらこちらを見て来た。
「頭部は大丈夫か?」
「はい、なんとか」
立ち上がり、笑顔で少女は答えた。
「はい、私は森蘭丸。織田家当主織田信長様に仕えるものです」
直観なのではないはっきりと間違いなく蘭丸だと確信した。
「生きておったのか」
「いえ、具体的には死んでいるようです」
「ん?どういうことだ?」
「まぁ、そういう込み入った話はあとで...」
そういって、俺は蘭丸に連れられ、宿泊しているという宿に連れていかれた。
連れていかれた先は町にある宿で木造建築の立派な宿だった。
「これは良き宿だな」
「はい、ここならいろいろとお話しできます」
「うむ、では話をしよう」
「まず始めにお前はなぜ女なのだ?」
「そ、それは分かりません//」
「目覚めたら、こうなっていました」
「そうか...」
(何故か分からぬが、俺の妻である帰蝶や吉乃にはないところに目が行ってしまうな。特に露出している部分と胸部に...)
「そんな目で見ないでください!」
「俺がお前を知らなければ、色を覚えていたかもしれんな」
俺は高らかに笑った。それに対して蘭丸は
「笑わないでください!」
と照れくさそうに言っていた。
「そんなことより、他のことについて話しませんか?」
「そうだな、ここに来てから摩訶不思議なことが起こっている。例えば魔物とかという妖や魔法という妖術などがあった。それを見て、俺は地獄か天国のどちらかに来たか分かんなくなっていた」
「この世界のことなのですが、先ほどの図書館でいろいろ調べましたが、気になる文献がありました」
「ほう、そういえばあちらでもお前はそういう仕事は一流であったな」
「では、何があったのだ」
「あの図書館でも奥の方にある古い棚がありまして、そこの一冊の本を読んでいると我々と同じような境遇にいる作者が書いているみたいで...」
「ほう、興味深い。なんと書いていたのだ?」
「内容の前に一つだけいいですか?」
「なんだ、もったいぶるな」
「この世界の言葉は共通なんです。不思議に思いませんでしたか?訳の分からない文字がいとこも簡単に読めたこと」
「確かにそうだな、いろんな魔法と魔物についての本を読んだが、自然と読めていたな」
「しかし、この文献はひらがなや漢字が使われているのですよ」
「何?!てことは...」
「はい、我らと同じ日本の人が書いたものかと...。証拠に図書館にいた人たちは文字が読めないから読まないんだということもわかっています」
「内容がたがわぬよう半日以上の時間を費やして読みました。」
「そんなにもかかったのか?」
「はい、我らが生きているより200年前の文字でしたから」
「200年前?!そんなもの読めるのか?」
「一応、幼少のころから勉学には取り組んでいたので」
「で何と書いていたのだ」
俺は真剣な顔で蘭丸を見つめる
「書いていたのは5行だけ」
そう言うと、書物の内容を語り出した。
「これをもし読めるのならば、日ノ本に人でしょう。
私は歌人としての生涯終え、目が覚めるとこの世界に舞い降りました。
この世界には6つの種族の間に起きし事象により、230年と数年で厄災が降りかかることになるだろう。
もし、いつになるかもしれぬこの私の言葉を信じ、立ち上がる雄姿よ、この世界を統一のもと均等の世界にしてほしいと望む。
そなたの意思に幸があらんことを。」
と読み上げた。
「何のことを言っているのでしょう?」
「そうだな、」
(まず、確かに俺たちと境遇は似ている。だが、6つ種族の事象とは何だ?しかも230年後?)
「蘭丸よ、6つの種族について知っているか?」
「いえ、見当もつきません」
「俺は6つの種族について知っている」
「本当ですか!」
「ああ、しかし詳しいことは分からんがな」
そこから俺は蘭丸にビギネスに来る道中に冒険者のテカルから聞いた話を一通り話した。
「なんと、人間がその6大種族の仲間内になるかもしれないと...
それに各種族の領地内でもいろんな問題が起きていると...」
「そのほかには何かありませんか?」
「俺が聞けたのはそこまでだ」
「そうですか...」
「しかしどうする?蘭丸よ」
「え?」
「その歌人は我らに向かって言っているわけではない。だから俺たちが問題を解決する必要はない」
「私は、信長様の行かれる道に付いていくまでです」
「では、俺はこの歌人を信じ、世界を統一して見せよう」
「それでこそ我が主君、織田信長様です。」
「目的はただの統一ではない。この世界のすべてを知り、完膚なきまでの天下統一だ。」
「ふふ」
と蘭丸は思わず笑ってしまう。
「それに歌人が言うには後、30年ほどの月日があるではないか」
「はい、正確な月日は定かではありませんが...」
「俺は魔法とやらに興味が出て来た。じっくりと30年の月日を楽しもうぞ」
「俺の新たなる野望のためにもう一度、天下を取りに行こうぞ」
蘭丸に差し伸べた。顔を上げた蘭丸の顔は大粒の涙が流れていたが、心底嬉しそうであった。
「主の要るところ蘭丸有り」
こうして俺の新たな天下統一が始まったのである。




