崩れる物欲を抱きしめて。
人生って、家族によって凄く左右されると思う。
先週の土曜日、父親に
『○○○○書店に行ったことがあるか?』
と聞かれた。
○○○○書店としているのは個人情報漏洩防止ではなく、単に道水氏が書店名を忘れただけである。
小説よりも漫画が好きだと公言していた小学四年生ぐらいの時に母親に連れて行ってもらった記憶がぼんやりとあるため、
『四年ぐらい前に、一回だけ』
と、返答した気がする。
すると父親が
『また今度、○○○○書店行ってみる?』
と、道水氏に提案をしてくれた。
道水氏は四年前に一度行ったきりの書店など、先述した通りぼんやりとしか覚えていないのだが父曰く、○○○○書店はとても大きい書店らしい。
それなら今度ぜひ行ってみたい思い、
『行きたいです』
と、言った気がする。
それから一週間ほど過ぎ、道水氏は○○○○書店に連れて行ってもらえることとなった。
妹も一緒に○○○○書店に行くことになった。
なんでも、○○○○書店の近くに住んでいる母方の祖父母に、誕生日プレゼントを貰いに行くついでらしい。
他人に車を運転させながら自分は横でネットサーフィンをしたり、仮眠をとったりするのはNGらしい。
家族は他人に入るのか入らないのか分からないまま、道水氏は助手席で山本文緒著の『ブルーもしくはブルー』を読んでいた。
父親は心が広いからか、道水氏に怒ったりはしなかった。
というよりは、道水氏はここ最近気分がブルーであるため、他人と会話する気力がなかったからともいえる。
申し訳ない。
昼食をどこでとるかということになり、ここの記憶が抜けているためなんの会話をしたかは覚えていないが、気が付いたら某牛丼チェーン店でうどんを食べていた。
うどんはとても美味しかった。
父親にうどんのお礼をいい、助手席で読書を再開して十分ほどで、駐車場に車が止められていた。
道水氏は○○○○書店で一時間ほど本を物色することになり、その間に父親と妹は○○○○書店の周辺の雑貨屋で買い物をするらしい。
道水氏は、早速本の物色を始めた。
道水氏はのターゲットは、暁佳奈著の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン(上下巻)』、斜線堂有紀著の『詐欺師は天使の顔をして』、相沢沙呼著の『小説の神様~君と読む物語~(下巻)』の三作品だった。
まず、『詐欺師は…』と『小説の神様』を探したら、ものの五分ほどで見つかった。
道水氏は、これで方向音痴を卒業できるかもしれないと喜んだ。
次に『ヴァイオレット…』を探そうと思ったのだが、ラノベコーナーを探すのに店内を二周ほどした。
道水氏が方向音痴を卒業するのには、早すぎたようである。
ラノベコーナーをやっと見つけた道水氏は、暁佳奈著作コーナーを見つけたのだが『ヴァイオレット…』は置いてなかった。
無念である。
時間が余った道水氏は、店内をゆっくりと散歩していると、前々から気になっていた作品を五冊ほど見つけた。
『みんな蛍を殺したかった』というハードカバーの作品を眺めていたら、父親に声をかけられた。
一時間は経過していたらしい。
『図書カードがあるから本を買ってあげる、なにか欲しいのはないか?』
と聞かれ、道水氏は三冊ほど文庫本を父親に渡した。
道水氏が物欲しそうな目をしていたのか父親は
『これだけ?』
と、再度道水氏に尋ねた。
以前と言っても三週間ほど前に父方の祖父母に本屋に連れて行ってもらった際に、
『なんでも欲しい本をかってあげる』
と、言われ三冊ほどの文庫本を渡すと
『そんなに?』
と、妹に言われた。
ジャニオタの気持ちがジャニオタでない道水氏が理解出来ないように、読書を趣味としない道水氏の妹は読書を趣味とする姉の気持ちが分からないのと同じように、悪意はなかったのだろう。
その時の道水氏は口角をあげるだけで、妹にはなにも言わなかった。
三週間前の妹の発言が脳裏によぎったが、家族からの善意は有難く受け取っておいた方がいいということを、道水氏は13年の人生の中で学んでいるのである。
一冊だけ気になっていた本を父親に手渡した。
会計を見てみると、父親の本と道水氏が買って貰った本の合計が約六千円ほどだった。
申し訳ないなと思いながら、父親にお礼を言った。
暑いのでなにか涼しい飲み物を飲もうという話になり、某星バックスに行くことになった。
某星バックスにつき、列に並んでいると店内はうんざりするほど、キラキラとした生活を送ってそうな大学生と楽しそうな高校生で溢れかえっていた。
道水氏はその空間から逃げ出したくなったが、前に並んでいる人間が保育園児と思われる人間を抱えた主婦だったことと、後ろに並んでいる人間の声が、バスでアニメの会話を楽しそうにしている同じ学校の先輩と思われる人間と似ていたため、逃げずに済んだ。
父親に
『なにが飲みたい?』
と、尋ねられ
『私、喉渇いていないから特に』
と、○○○○書店での買い物の罪悪感から答えてしまった。
その後に父親からなんと返答されたかは覚えていないのだが、五分後には右手に抹茶フラペチーノを抱えていた。
父親にお礼をいい、抹茶フラペチーノを抱え駐車場まで歩いた。
駐車料金は、○○○○書店でたくさん買い物をしたからか無料だった。
次に、妹の誕生日プレゼントを受け取りに行くために、母方の祖父母宅へと向かった。
母方の祖父母宅につくと、道水氏と妹は二時間ほど預けられることになり、その間に父親は散髪に行くことになった。
道水氏は野菜と思われる手土産を祖母に渡し、別室で先程買って貰った本と道中から読み続けている本を黙々と読んでいた。
愛嬌とコミュニケーション能力がある妹は、リビングで祖母と楽しそうに会話を交わしていた。
二時間ほどすると、散髪を終えたらしい父親が迎えに来てくれた。
行きは読書に集中していたからか気付かなかったが、車内でも妹は楽しそうに持ち前の愛嬌とコミュニケーション能力を駆使して父親と会話をしていた。
妹にはあるコミュニケーション能力を姉である道水氏は持っていないことを、道水氏は改めて実感した。
だが道水氏はとても楽しかった。
道水氏は家族に愛されているのかもしれないと改めて実感した。
要約すると、父親に本を4冊買ってもらったという幸せな話。
やっと備忘録らしい使い方をした気がする。




