第53話 調理は効率良く
俺が作ろうと思っているのはスフレパンケーキだ。
ベーキングパウダーがある今なら、そう苦労することもなく作れるはずだ。
まず、卵を割って黄身と白身に分ける。卵は大量にあるが全てこの作業を行う。
分け終わったらボウルに黄身を入れ、砂糖を加えてよく混ぜる。
混ざったら牛乳を加えて更に混ぜ、振るった小麦粉、ベーキングパウダーを加えて混ぜる。
更に溶かしたバターを加えて混ぜる。ひたすら混ぜる。
……腕がちょっと痛くなった。
でもまだまだ混ぜる作業は続くぞ。
分けておいた白身をよく泡立ててメレンゲ状にする。
メレンゲができたら色々加えた黄身の方に入れ、さっくりと混ぜる。
此処までが生地作り。後は焼くだけだ。
薄く油をひいたフライパンに生地を広げ、両面に焼き色が付くまで焼いていく。
セルクルがあれば綺麗な形に焼けるんだけど、此処にはないからホットケーキを焼く要領で生地を焼いていったぞ。
生地が焼けたらバターを落として蜂蜜を掛けて、完成だ。
今回は蜂蜜を使ったけど、メープルシロップがあったらそっちを使った方がいい風味になると思う。
フライパンを二個駆使して、俺は大量のスフレパンケーキを焼き上げていった。
「大丈夫? 手伝おうか?」
「おう。頼む」
二人がかりでフライパンに生地を落として、ひたすら焼いて。
一時間で、どうにか規定量のパンケーキが出来上がった。
「ふわふわだね。美味しそう」
「まだノルマは終わりじゃないぞ。肉の調理が残ってるからな」
俺は置いておいた鍋の中を覗き込んだ。
肉の具合は……うん、良さそうだ。
小麦粉と片栗粉を用意して、肉をどんどん粉に付けていく。
「こうして、肉に粉を馴染ませてくれ。粉が付いたやつから揚げていくからな」
「了解だよ」
リベロに粉付けを任せて、俺は次々と肉を揚げていった。
から揚げの匂いが辺りに広がっていく。
……朝飯まだ食ってないからな。腹が鳴るよ。
周囲の料理人たちも、ちらちらとこちらを見ている。
腹が減ってるのは皆同じだ。我慢して一気に揚げてしまおう。
大皿にから揚げを山盛りにして、ワゴンに積んでいく。
他の料理も、どんどんでき始めたようだ。運び出されるのを待つ器で調理台の上は一杯になっていった。
これだけ色々な料理が揃うと豪勢に見えるな。流石は祭典のための料理だ。
……そういえば、俺たちの今日の朝飯ってどうなるんだろう?
料理人は祭の裏方だから、いつもみたいにまかない作って此処でひっそりと食べるのか?
「なあ、シーグレット。俺たちの朝飯ってどうなるんだ?」
「ん?」
料理人たちに混じって包丁を振るっていたシーグレットが顔を上げてこちらを見た。
「料理を作り終わったらオレたちも大食堂に行くぞ。朝飯はそこで兵士たちと一緒に食うことになってる」
「そうなのか?」
俺たちも御馳走にありつけるのか。それは嬉しい。
頑張って料理を作った甲斐があったな。
「から揚げ作りは終わったのか? それならこっちを手伝え。肉を叩くのが思いの他重労働でな」
生肉ステーキはタルタルステーキとほぼ変わらない料理らしい。叩いた肉に調味料を混ぜて作るようだ。
確かに焼いた部分を削ぎ落として細かく叩いて……って作業は手間がかかるよな。
これが終われば俺たちも朝飯だ。張り切って終わらせるとしますか。




