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「おぼおぼ覚えてます!」
「良かった。嬉しいよ」
課長がマグカップを置き、よいしょと立ち上がる。
「じゃあもうそろそろ、帰るね」
「え、あ、はい……」
課長、早すぎますって!
コーヒー飲んだだけ!
もう少し、一緒にいたかったなあ。
課長はもう少し、私と一緒にいたいとか、ないのかな。
私ってば……魅力ない、のかな……。
しょんとなっていたら。
課長はカバンを取ってからこたつをぐるりと回る。私もすぐに立ち上がった。
すると、課長が側までやってきて。
「咲ちゃん」
カバンとともにぎゅと抱きしめてくれる。
(へへへ。ちょっと嬉しい! 寂しげな顔、しちゃってたかな……)
だからだろうか、抱きしめる腕に力がこめられている。カバンが床に落ちた。
「今日はお疲れ様。朝早かったし、早朝から釣りやらされて、大変だったろ? しかも、俺らに気を使って、釣れないボウズの演出まで」
いやあれ本気のボウズっす。
「咲ちゃん、好きだよ。俺、こんなにも誰かを好きになったこと、今までにない。大切にするから、俺とずっと一緒にいてよ」
その言葉と課長の体温で、胸が熱くなった。
私も腕を回す。
「私も悠さんのこと、大好きです。ずっと側にいたい」
こんな言葉が口からすらりと出るなんて。推し活している頃にはまったく1ミリだって、そんなこと考えられなかった。(←ただしレンジくんのぬいとはやったことある)
課長と私の距離を近づけてくれたファイブレには心から感謝してて。
ありがとう、ファイブレ。
ありがとう、レンジくん。
これからもずっと、応援し続けるからね。
「悠さん」
顔を上げると、課長が優しい眼差しで、私を見ている。
おでこにキス。そして。
私たちはキスを繰り返して。そしてそして。
「咲ちゃん、君を俺だけのものにしたい。君を……その、だ、抱きたいよ」
どぅわあぁぁ!!!!
……承知つかまつった。大丈夫です。兄上から小箱を預かっておりますゆえ。画像検索以降、男女のお付き合いってぇヤツを、私なりに色々と調べましたゆえ。
私は、素直にこくんと頷いた。
「やば、ほんと帰るつもりだったんだけど……」
課長は、私の身体を縦抱っこで、ぐいっと持ち上げると、
「咲ちゃん、ベッドどこ?」
そう言って、寝室に連れていく。ベッドの上に、そっと寝かせてくれて。課長が私にかぶさるように身体を重ねて、そして、キスを深く深く交わしていく。
きつく抱きしめられた。
抱きしめられながら、私は思う。
課長のこと、性悪だと思っていた頃に戻って、あなた大きな勘違いしてるって自分に向かって大声で言いたい。
課長が性悪だなんて誰が言ったんだっつーの!ってね!
大好きです、悠さん。




