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部屋へ入ると、私は火照ったままコーヒーを淹れた。
課長はコタツに足を入れて、キョロキョロしている。
「前に来た時は、林原さん騒動で、生きた心地しなくて余裕なかったから。咲ちゃんの家、堪能してる」
へへへと苦く笑いながら、コーヒーを飲む。
そうだった。あの時は林原さんとの浮気を疑って疑心暗鬼になってて。お兄が来てくれたけど、特になんの役にも立たずに帰っていったっけ。
「それにしても、今日咲ちゃんのプレゼン、すごく良かったよ。若狭の秘書の仕事の傍ら、WEB課にも足を運んで、仕事してるとは聞いていたけど、完璧に概要を把握できてるし、素晴らしかった。100点満点だったよ!」
「ありがとうございます。最近、なんだかすごく仕事が楽しくて。やりがいを感じてます。営業2課に戻りたいって思う時もありますけど」
コーヒーをすする。
「そっか。俺としては戻ってきて欲しいけど……でも咲ちゃんにはやりがい感じて欲しいからなあ」
「ふふ、そうですね」
「咲ちゃん、もう酔いはさめたみたいだね」
「え? あ、はい」
そうだった。飲み過ぎたていで、難局を乗り切ったんだった。
実を言うと、ビールはコップ3杯しか飲んでいないため、全然酔ってはいなかったのだ。
ただ、レンジくんからの『俄には信じられない攻撃』があって、その攻撃をかわすにはもうこれしか方法がないのではと思い、オラオラの振りをしてみたのだ。
実際、私がオラオラ仮面になっている時には記憶がないため、この演技が正解なのかはわからないけれど、なんとかフリでやっていた。
私のオラオラ度をいつも近くで見ているイケスペ三銃士が、何にも言わなかったところを見ると……
正解。
ってか、わし、いつもあんなんなの?
なんてこったいオーマイガ。
もう今後一切、生中3杯目は飲まないからな!!(←固い誓い)
「大丈夫です。正気に戻りましたから」
課長が、良かったと笑う。
そっか。さっきのキスとかも覚えてないって言われたら、ちょい悲しいからさ」




