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アーマード・オウガ  作者: ハル
参:エターナル
54/65

二十

 京一郎達がそこに辿(たど)り着いた時、闘いは既に終焉(しゅうえん)へと近付いていた。

 少女が構える杖の先端には巨大な火球が形成され、鳴海(なるみ)も全身武装を行い、かつ何か必殺の構えらしきものを見せていた。

「まずい……! 早く止めねぇと!」

 しかし、間に合うのか。

 火球は不死鳥へと(かえ)り、燃え盛る紅蓮(ぐれん)の翼を(ひるがえ)している。

 声を掛けたところで、気付きはしないだろうし、止まりはしないだろう。ならば自身が飛び込み、止めるのが最善。しかし、如何(いかん)せん、距離がある。

「間に合ってくれ……ッ!」

 京一郎は(たずさ)えた刀を腰に構え、駆け出す。

 と、その背に声が投げかけられる。

「いいえ、間に合わせます」

 発したのは彼と共にこの場に来ていた小華(こはな)、その人である。彼女は着物の(そで)から一枚、短冊(たんざく)のような紙切れを取り出す。それには何やら漢字のような、記号のようなものが描かれている。

「お行きなさい」

 一言、彼女がそう言った瞬間。

「――っちょおぉぉぉッッッ!!?」

 小華の手元、正に短冊より。“ゴウ”と音を立てて猛烈な突風が吹き出し、京一郎を大きく吹き飛ばす!

(いっ、今のは符術(ふじゅつ)かッ!? 人一人あっさり吹き飛ばす術をこうも簡単に!)

 が。何はともあれ、風の後押しを受け、二人の激突には間に合ったようである。

 京一郎は大きく息を吸い込むと、


「いい加減にしねぇかッッ!!」


 腹のそこから声を張り上げた。

 しかし、その程度で両者が止まるなどとは思っていない。戦闘行為に集中している人間はアドレナリンが過剰(かじょう)に放出され、振り上げた拳を簡単に止めることなど出来ない。

 ならば。

 実力行使である。

 相見(あいまみ)える不死鳥と鬼の間に飛び込んだ京一郎は、腰に構えた刀を一閃する。

 それは素晴らしい居合い、否、“(きょ)”していない以上抜刀術か。目にも留まらぬその白刃は、雄々しき不死鳥をすり抜けた(、、、、、)

 当然だ。炎の塊に斬撃など通用しない。

 しかし、それを意に介さず京一郎は空中で腰を思い切り(ひね)り、不死鳥に背を向ける。次の相手は『砕刃(さいば)』を使い、迫る黒き鬼。

 鳴海は“眼”の力で、割り込んだ京一郎に気付いていた。だが、一度放った技はそう簡単には止まらない。おまけに、鎧鬼(よろいおに)という外的要因により加速した技。彼個人の力では止めようがない。

 鳴海の蹴りは京一郎の頭上、袈裟懸(けさが)けに切り下ろすように振り下ろされる。

 京一郎はこれに対し、受け止めるでも、払うでもない構え、下段に構えた。そして、振り下ろされる蹴りに合わせて振り上げる!

 と、鳴海の蹴り足は京一郎の(わず)か側面を通過した!

 “(しのぎ)”。

 日本刀の側面、僅かに山になっている部分。それが鎬である。

 日本古来の剣術では、この僅かに山になっている部分を用いて相手の刀の軌道を()らす。現代剣道の(かた)は元々古流剣術の流れを()んでいるが、この動きが含まれている。動画等を探して、見て貰えれば分かるが、振り下ろされる木刀を下から(すく)うように払う動きがそうだ。(ちな)みに、コツは極々(ごくごく)僅かに半円を描くように木刀を振り上げることだ。

 京一郎の横を通過した鳴海の蹴りは深々と地面に突き刺さった。

 では、炎の鳥は?

 このままでは京一郎の背に直撃し、消し炭になってしまう!


 ――否!


 京一郎の白刃が通過したその直後から、炎の鳥は形を(ゆが)ませ、彼の刀に吸い込まれていった。

 “天之尾羽張(アメノオハバリ)

 彼の刀は炎を喰らう霊装(れいそう)、それだったのである。

 やがて、天之尾羽張が不死鳥を喰らい尽くした頃。黒の鬼は影へと溶けて、魔法少女はぺたん、と可愛らしく尻餅をついた。

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