七
薄暗い部屋。
まだ昼だと言うにもかかわらず、カーテンを閉め切り、電気も点けずにいる為だ。
頭から毛布を被った少年は、半ば作業と化した学校の裏サイトへの書き込みを開始した。しかし、連日同じ内容を書き込み続けている所為か、反応は鈍い。
「くっそ……。名前を書き込むか……? いや、でもそんなことをして僕だってバレたら……」
毛布の下で頭を抱える。
「どうすればいいんだよ……!? こんなこと警察だって信じやしない」
事実、最寄の警察署に行って話したところで門前払いである。妖の存在を知っているのは上層部や、一部の関係者だけである。窓口に行っても誰も知らないのだ。
――ポン!
「……ん?」
と、不意に彼の書き込みに対してのレスポンスが書き込まれる。
が。
「何だこれ……? URL?」
表示されたのは別のサイトへのハイパーリンクだ。他にはただ短く、『鬼を以って鬼を討つ』とだけ書かれている。
「……」
正直言って、怪しすぎた。
しかし、その文章は彼に一縷の望みを感じさせるものであった。
文字通り、自分の遭遇した事態を、別の怪物が解決してくれるのではないか。そう思わせるものだった。
そして、彼は決心する。
――カチッ
それはただ人差し指を僅かに動かす行為。
しかし、精神的に追い詰められている彼にとっては偉大なる一歩。
果たして、表示されたものは。
「……都市伝説?」
それは都市伝説が集まる交流型のサイト。URLはその中の一つの項目に直接リンクしていた。
曰く、悪人を退治する黒い鬼の存在。
「……ッ! 馬鹿にしやがって!」
彼は握った拳を机に叩きつける。
「この黒い鬼が僕を助けてくれるってか! だったら何とかしてみろよ! クソッタレ!!」
口汚く罵るのも止むを得まい。それほどに、彼は追い詰められていた。
「もう、いやだ……。誰か、助けてくれよ……」
盛大に肩を落とした彼は静かにベッドへ潜り込んだ。
*
――コンッ
「……」
――コンッ
「……ん?」
少年はその音で目を覚ました。
時刻は深夜。草木も眠る丑三つ時というヤツだ。
――コンッ
「ひっ……!」
再びその音が響く。少年は可哀想なほど怯えていた。
しかし、直に冷静さを取り戻す。
もしアイツが僕を殺しに来たのなら、何故とっとと殺さない? 、と。
暫く様子を見ると再び、
――コンッ
「!」
冷静にうかがって見ると、どうやら小石が窓に投げつけられているらしい。近所の子供が夜更かしして悪戯でもしているのか。
そっと、カーテンの隙間から外の様子を窺った彼はソレを見た。
「!!!」
少し離れた電柱の天辺に、仁王立ちするソレの姿を。
黒真珠のような漆黒の輝きをその身に湛える、黄金の瞳を持つ鎧の鬼を。




