六
一旦、謎の魔法少女(仮)を保留するとして、裏サイトにて噂になっている妖と思しき存在を探ることとなった0課。
サーバの管理会社に当たったら割りとアッサリ書き込みの場所が発覚した。
書き込みが行われたのは住宅街にあるとある一軒家。これは鳴海達にとって幸運だったと言えるだろう。ネットカフェなどから書き込まれていたら、何時、どのパソコンが利用されたのかを調べ、そこから利用者を調べ、本人を見つけて……と、とても面倒な調査を重ねることとなっただろう。
もっとも、調べるのは0課職員などの警察官だろうが。彼らの地道な捜査無くして、事件を解決へと導くのは難しいものとなろう。
さて。
何処の誰が書き込みをしたのかは分かった。しかし、ここで一つの問題が発生した。
すなわち、妖の存在が秘匿されていることだ。
多少その存在が人目に付いたところで、周囲のものは信じはしないだろう。しかし、そこに警察という公的な機関が絡むとなると話は変わる。
国が妖の存在を認めることとなってしまうのだ。
これには安倍も頭を抱えた。
警察の身分を隠すか?
否。いくらなんでも怪しすぎる。接触そのものが難しくなる。
鳴海達を派遣する?
否。これも同じく怪しすぎる。身分が分かりもしない相手に、そんな話はしないだろう(そもそも分かっても困るが)。
ならば、こちらも掲示板に書き込んで情報を引っ張るか?
……これは保留。悪くはない手だが、既に否定的な書き込みがゴマンと並んでいて、本人もヤケクソで書き込みを続けている感が否めない。今更“信じるよ”などと書き込まれても逆効果だろう。
「どーしよーかのぅ……」
書き込んだ者が発覚したと、連絡を受けて集まった鳴海と京一郎だったが、捜査方針が決まらないらしい安倍と三人、頭を寄せていた。
三人寄れば文殊の知恵、と言う。
妖退治の専門家が三人雁首そろえて考えているのだ。何か閃きたいものである。
「ネット経由の情報ってのがネックなんだよなぁ……」
呻る京一郎がソファーの背もたれに体を投げ出す。
「あ゛ーーっ! 止め止め! 考えるのは性に合わねぇよ、ったく」
「これこれ、短気は損気じゃて。お前さんも無い知恵を絞らんかい」
「んだぁ? ばーさん、さり気無く馬鹿にしてんじゃねーぞ」
「なんじゃ、気付く程度の知恵はあったようじゃの?」
「んのババア……」
不敵に睨み合う二人を鳴海が慌てて止めに入った。この二人が本気で喧嘩を始めたら、軽くこのフロアが吹っ飛ぶ。最近こんな役回りが増えた気がする。
「二人とも落ち着いて、ここらで食事にでもしましょうよ。お腹が空いてるからイライラするんですよ」
「だが、このババアがよぉ……」
「下手に暴れたら俺達自身が噂になっちゃ……」
と、不意に鳴海が言葉を切った。
「鳴海?」
「む? 舌でも噛んだかの?」
妙なタイミングで固まった鳴海に怪訝な表情を向ける二人。しかし鳴海はすぐに、二人を振り返り、こう告げたのだった。
「俺の噂を使いましょう」




