表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーマード・オウガ  作者: ハル
参:エターナル
38/65

 たとえ深夜と言えども、治安を守る為、警察は眠らない。眠れない。交代で勤務し、事件が起きたら即座に対応できるように常に身構えているのだ。それは所轄(しょかつ)の警察署にしろ、交番にしろ(と言うより、交替で番をするから交番なのだが)同じである。

 そして(あやかし)の対処を標榜(ひょうぼう)する、警備部第0課もまた(しか)り。0課の職員たちも交代で深夜勤務についている。そして今日はたまたま安倍(あべ)出張(でば)っていた。

 そんな日にここ最近追っていた(あやかし)を発見したとの報。

 僥倖(ぎょうこう)であった。

 すぐに鳴海と京一郎を呼び出し、0課長自らの指揮で妖の殲滅(せんめつ)にと行動を開始した。

 今回は街を縦横に走り回ることが予想された為、ヘッドセットは使っていなかった。強力な無線ではないため、あまり遠いと繋がらなくなってしまう恐れがあるからだ。故に、定期的に携帯電話で報告を入れていた。

 その為、安倍は現場の状況をリアルタイムで知ることが出来なかった。

 そんな状態で、妖の殲滅が確認されたと思ったら、この報告だ。溜息も付きたくなる。

「いや、安倍さん。本当なんです」

「そうだぜ、ばーさん。ホントに変な魔女っ娘が出て来てよぉ」

「……」

 二人の様子はとても嘘をついているようには見えない。逃げられたこと誤魔化そうとしている訳ではないようである。そもそも、妖などと危険極まりないモノを相手にしているのに、虚偽の報告などもってのほかである。

 安倍はもう一度溜息をつくと、

「ま、よかろ。お前さんらも嘘はついとらんようじゃしの」

 何時(いつ)もの椅子からピョイ、と飛び降りると鳴海達を応接用のソファーへと(いざな)う。

「取り合えず、お前さんらからその少女とやらの詳しい特徴を聞かせてもらおうかの。その後周辺の監視カメラを徹底的に洗うとしよまい」

 鳴海と京一郎は顔を見合わせ、ホッと安堵(あんど)の息を吐く。

 ――信じてもらえてよかった。

 彼等の間には、超能力の必要もなくテレパシーが繋がった。


「安倍さん……絵、上手いんですね……」

「んむ? そうかの」

 そうか、と言いながらも若干(じゃっかん)嬉しそうな、照れたような表情をした安倍はスケッチブックに走らせる鉛筆の速度を少し、速めた。

「ま、まぁこれでも随分(ずいぶん)(なが)く生きとるからの? 暇を潰す目的で絵を描いてみたりしたもんじゃよ」

「誰かに習ったりしたのか?」

 と、これは京一郎。

「まぁの。暇に飽かせて色々な者に師事したもんじゃ。雪舟、広重、他にも、の……」

(本当に、この人はいくつなんだろうか……?)

「鳴海、女に歳は聞くもんではないぞ?」

「!?」

 心を読まれたことに狼狽(ろうばい)する。修羅場(しゅらば)を潜ろうが、常人とは違う経験をしていようが、彼はまだまだ若人(わこうど)なのだ。そして安倍は人知を超えた存在であり、人間とは違う時の流れに生きている。並みの手練手管(てれんてくだ)ではない。

「よし、こんなモンかの!」

 完成したらしく、安倍がスケッチブックを掲げてみせる。その(さま)が上手に絵を描けた子供のように見えてしまい、一瞬ホッコリしつつも描かれた内容をチェックする。

「……うん、こんな感じでしたね」

「あぁ。暗かったけど、まぁ大よそこんなもんだろ。やるじゃねーか、ばーさん。“亀の甲より年の功”ってか?」

「お主は一言多いんじゃ!」

 安倍は可愛らしくアカンベェ、をするとスケッチブックを抱え部屋を後にした。後は0課職員、場合によっては刑事課にも協力を要請し、監視カメラの映像をチェックするのだろう。

 安倍が居なくなった部屋の中、眠気を堪え大きく伸びて欠伸(あくび)をする鳴海に、京一郎がポツリと言った。

「しかしばーさん、アニメとか見んのな……」

 欠伸の途中だった鳴海は「あぐふっ」と奇妙な笑いを上げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ