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写真撮り

*←は視点変更を示します。

「第六の暇潰し。



写真撮り。」


「おいおい、なんだよそりゃ聞いた事ねえぞ。」

咲田 真大が疑問を口にした。

「ルールは簡単です。

今から貴方達は専用のマップに招待されます。

そのマップの中でチーム戦をしてもらいます。」

「そしてご自身のスマホで敵を撮ってください。」

「見事、敵を撮ったチームは全員クリアとなります。」

「じゃあチームメイトが敵一人撮っちまえば他のチームメイトもクリアってわけだ。」

自信に満ち溢れた様子で咲田 真大は答える。

「はい、その通りです。」

「細かい所を申しますと、スマホの撮影ボタンを押してから十秒後に写真が撮れます。

そして写真が撮られると大きな音が鳴るので注意を。」

十秒間無防備か。

「撮られた人間は暇潰し終了げーむおーばーとなります。」

仏像はそれを言い残すと消えてしまった。

撮られると暇潰し終了げーむおーばー、だが撮らなきゃクリアは出来ない。

性格の悪い暇潰しだ。

だが、最も人が死なない暇潰しでもある。

チームの一人でも撮る事に成功すればチームの全員生存、死ぬのは撮られた人のみ。

つまり、この暇潰しは三人しか死なない。

瞬きをすると僕たちは外にいた。

よく見た家が横並びに建っていて、

近くには、よく見た公園がある。

そうだ、僕たちが住んでいる街だ。

「学校の外!?」

沖田 健は驚き、大きな声を出す。

沖田 健以外にも周りには三人いる。

高杉 晴人

白鳥 琢磨

道明寺 大和だ。

ここは僕たちが住んでいる街。

だが、すこし変だ。

車が一台も走っていない。

人の声どころか、鳥の鳴き声すら聞こえない。

夢の世界に迷い込んだような、嫌な気分だ。

すぐ近くには見えない壁が出来ていた。

端。


  *



大声を出しても、声は返ってこない。

ここは俺たちの街であって、

俺たちの街ではないんだ。

空気でそれを理解する。

だけど、久しぶりに感じた自然の風は心地良い。

今は、それだけでいい気がしてしまう。

だがどうするか、写真撮り。

チーム戦という名の、ただの殺し合いだ。

前の俺だったら戦わないと言えたのだろう。

だが、死を恐れて、手を血で染め上げる。

覚悟を決めなければならない。

生きる為には。

「健、写真撮りつってもこれどうすりゃいいんだ?」

晴人は疑問を投げかけた。

「そうだな。」

迷っている時に琢磨が答えを告げる。

「二手に分かれた方がいいですね。」

「なぜだ?」

「相手がどこにいるかもわからない中、

この大人数で動くのはあまりにリスクが高い。

それだけですよ。」

俺が声を出す前に、大和が声をだした。

「ならチームを早く決める必要があるな。」

琢磨はまたもそれに答えを出す。

「ならチームは、

Aチーム

沖田 健さん

高杉 晴人さん

道明寺 大和さん

Bチーム

橘 千颯さん

白鳥 琢磨

がいいでしょうね。」

「なぜだ。」

「Aチームは健さんは晴人さんと仲がいい様子でしたので連携が見込めるかと。

だが二人だけとなるとチームとして不十分なのでまとめることが出来る大和さんにしました。」

「Bチームは……少しだけ気になることがありまして。」

「まあ、それでいいのだろう。」

大和は肯定を示す。

千颯は何も言わずに北東方向に歩いて行った。

「じゃあ、健と大和。

俺たちはこっちに行こう。」

俺たちは東方向に走る。





「どこに行くんですか。」

白鳥 琢磨が早歩きで付いてくる。

「どこだっていいだろう。」

誰も分かってはいない。

これはチーム戦なんかではない。

チーム同士で戦うものじゃない。


僕たちはかなり歩いた後に、道路の脇の茂みに隠れた。

「なんで隠れるんですか?」

小声で話しかけてくる。

「歩いてるとバレやすい。

あとは、敵を待つだけだ。」

自分たちは端にいる。

それさえわかれば中心の方向がわかる。

馬鹿は中心に集まる。



   *



「なあ健、このまま歩いてたらまずくね?」

「ああ、かなり危険だが早く敵を見つけるにはこれがいい。」

俺は早歩きで道路の真ん中を進んでいく。

歩いて行くと、目の前から真大が歩いてきた。

「おいおい、もう敵見つけちまったなぁ。」

俺はすかさずスマホを取り出し撮影ボタンを押す。

だが撮影はされない。

そう、押されてから十秒。

だが、目の前に来た敵にそれはあまりに致命的な隙。

スマホを両手に持ち、腹がガラ空き。

それを突かれる。

相手の重い一撃が入った。

「おまえ!健を!」

襲い掛かろうとした晴人の顔面に、

真大の蹴りが入る。

俺たちは地面に倒れ込む。

その後に、地面に伏せたシャッター音が鳴り響いた。

遅い、遅すぎる。

俺は下から真大を強く睨む。

「殴っちゃいけねえなんてルールねえだろ。

気絶させた後にゆっくり撮ればいいだけだ。」

追い討ちの蹴りが顔に入る。

口の中には土の味と鉄の味が粘り着く。

風が強く吹いている。

健が立とうとするがそれは許されない。

健は顔を掴まれ地面に強く押し付けられる。

「無駄だ、お前ら。」

目が霞む。

鼻からは血が出て、

鉄が錆びた匂いが頭に広がる。





その時が来た。

前から人が歩いてくる。

実行に移す。

勢いよく白鳥 琢磨のスマホを奪い取った。

白鳥 琢磨は声を出そうとしたが、

僕の手に塞がれる。

白鳥 琢磨のスマホの撮影ボタンを押し、

時間を数える。

10、9、8、7、6、5。

そして、シャッターがなる前にスマホを上に投げた。

空中に打ち上げられたスマホはとてつもないシャッター音を響かせる。

シャッター音のせいで耳がキーンと鳴り響き、

耳は数秒使い物にならなくなる。

だが、これは相手も同じだ。

相手の視線は空中。

相手の耳は使えない。

僕は、ゆっくりと立ち上がり、

静かに、スマホのシャッター音を鳴らした。



   *



地面は自分の血で染められる。

真大の瞳には、俺しか写っていない。

だから、待った。

真大が俺たちを舐め、

勝ちを確信し、油断する瞬間を。

お前はまだ、「死」を見たことがない。

「撮れえええええええええ!」

俺は掠れた喉を無理矢理に叫ばせた。

「了解した!」

大和が、隣の茂みから出る。

そして撮影ボタンを押した。

意表を突かれ、俺を馬乗りにした状態では間に合わない。

真大の顔は恐怖に歪む。

3、2、1。

だが、シャッターが鳴る前に俺たちは、

教室に戻っていた。

そうか、千颯がクリアしたのか。





「ゴミクズの皆さん、おめでとうございます。」

「第六の暇潰し(げーむ)お疲れ様でした。」




生存者17名   死亡者3名



空席はまた、増えている。


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