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投票ゲーム

*←は視点変更を示します。

「では、五分経ったのでルールを説明させていただきます。」

「第五の暇潰し。


投票ゲーム。」


「ルールは簡単、この暇潰し(げーむ)で一番役に立っていない人間に投票してください。

投票結果、上位一名が死ぬ事になります。」

「ただし、クラスメイト以外の名前を書いた場合、投票上位が同票になった場合は、

投票した人が暇潰し終了げーむおーばーとなります。」

「今から三十分後に始めさせていただきます。」

そう言い残し、仏像は消えた。

開始前に話し合いの時間が設けられることは今までになかった。

だからこそ、悪質な暇潰し(げーむ)だ。

僕はいつもの席で傍観を決め込む。



   *




「おいおい、これ、どうすんの?」

まず口を開いたのは、目つきが悪い、

咲田さくた 真大まひろ

「さて、どうしますか。」

それに呼応したのは、冷静でよく人を見ている、

白鳥 琢磨。

俺は口を開けない、人を陥れるための話し合いなんて。

俺の代わりに大柄な道明寺 大和が声を出した。

「誰が役に立っていないのか。

各々の考えで投票すればよいのではないか?」

真大は「おいおい、それじゃ同票になっちまった時どうすんだ。」と問題点を指摘した。

琢磨は「そんな低確率な現象に怯えていたら元も子もありませんよ。」問題点の否定をした。

大和は「だがいくら低確率とはいえ無視できない問題だ。」納得を示した。

話し合いが難航している時に、

一人の大きい声が飛び出す。

「普通にいまここで決めちゃえばよくない?

今決めちゃえば。え?そうでしょ?」

出てきたのは絵美だ。

「だが、どうやって決める気だ。」

大和がそれに反応する。

「誰かが一人で決めればいいじゃん。

話し合いなんかするからややこしくなるんだよ。」

「おいおい、そんな方法で決めちまっていいのかよ。」

「けれど、合理的ではある。」

真大は疑問を提示し、琢磨は肯定を示した。

大和は「では誰がそれを決める。」

「じゃあ、私が決めるわ。

えーっと。」

絵美が無慈悲にも決めようとした時、

なにかを叩く音が、教室に響いた。

「もうやめにしないか、こんなの。」

その声は、千颯だった。




  *



そろそろ三十分になる。

ちょうどいい。

机を大きく叩く。

「もうやめにしないか、こんなの。」

「仲間じゃないか、なんでそんなに早く切り捨てられるんだよ。」

それに咲田 真大が誰よりも早く反応した。

「おいおい、いまさらなに抜かしてんだ。

仕方ねえだろうがよ。

そういうルールなんだからよ。」

「だからってこんなの間違ってる。

もういい、全員、



僕に投票してくれないか。」

「は!?頭どうかしてんだろ。

死ぬってことだぜ、お前。」

「ああ、わかってる。」

「チッ気に食わねえ目しやがる。」

「もうみんなに死んでほしくないんだ。」

僕は黒板にチョークで名前を書いた。

「これが僕の名前。



藤田 千颯だ。」


前の暇潰し(げーむ)の時、

田山 薫が話しかけてきた。

その時に確信した。

僕に興味を持った田山 薫ですら、

僕の名前を知らない。

そして沖田 健は僕の名前を数回発言している。

それを少なからず知っている人もいるだろう。

だからそれすらも利用する。

沖田 健が僕に対して言う名前は、

「千颯」だ。苗字は呼ばない。

だから名前を事実にしたことで、

人は勝手に全てを事実だと思い込む。

だが、これで最も厄介な事は、沖田 健だ。

あいつがこれを訂正した瞬間負けが確定する。

だから、待った。

この時間を。

沖田 健が口を開く。

だが、その声を、仏像が掻き消した。

「三十分が経ちました。

では話し合いはこれからは禁止になります。

自分の席に戻り、投票をしてください。」

いつのまにか自分たちの席には鉛筆と紙が置かれていた。

さあ、これをどうする。

沖田 健。






「これが僕の名前、



藤田  千颯だ。」

偽名!?そんな馬鹿な。

ありえない、こんな賭け。

仏像の言葉が頭をぐちゃぐちゃにする。

クラスメイト以外の名前を書いた場合、

投票した側が、暇潰し終了げーむおーばー

大量虐殺。

これが成功すれば、恐らく、十人は死ぬ。

だめだ、そんなの。

俺はそんなの許せない。

絶対に止めなくては、だが、

声を出そうとしても、出せなかった。

目の前には仏像がいて、冷たい言葉を浴びせる。

「三十分が経ちました。

では話し合いはこれからは禁止になります。

自分の席に戻り、投票をしてください。」

終わった。

このままでは、もう。

自分の席に座る。

だが、鉛筆を持つ手が震える。

涙は止まらない。

いったい何人が死ぬのか。

こんなことが許されていいのか。

俺は、俺は。

まだ、諦めちゃいけない。

頭を回せ。

どうしたら助かる。

仏像の言葉を思い出せ。

指先が冷たく、鉛筆を持つ指が針を刺されたように痛い。

「白紙」の紙をただ見つめる。

何も書けない。

何を書いても逆転は出来ない。

それを知らせる真っ白な紙が憎くなる。

まて、「白紙」。

仏像はなんと言った。

なにが暇潰し終了げーむおーばーだと言った。

思い出せ、思い出せ!

まて、違う、なんて言ったかじゃない。

なにを言っていないかだ。

そうだ、仏像は言ってはいない。

白紙のまま出しちゃいけないなんて言われてはいない。

だが、これに気づいた時にはもう遅い。

遅すぎる。

話せない今、どうやって伝えればいいのか。

「鉛筆」を持つ手が何かを伝えようと、

より一層震える。

そうか、白紙で出せと言う事を伝える必要はない。

書かなくてもいい、それさえ伝えられればいい。

俺は、黙って「鉛筆」を置いた。

あとは、信じるだけだ。

仲間を、信じ抜くだけだ。

一瞬、どこかで鉛筆を置く音がした気がする。




「ゴミクズの皆さん、おめでとうございます。」

「第五の暇潰し(げーむ)お疲れ様でした。」




生存者20名   死亡者0名




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