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ダンスゲーム

*←は視点変更を示します。

三年前、両親を事故で失った。

遊園地からの帰り道。

信号は青。だが、車が──。

周りは叫び声で包まれていたのに、

この車の中だけが、異常に静かだった。

それからはずっと、一人だ。




「第七の暇つぶし。



ダンスゲーム。」


仏像の声ではっとする。

嫌な記憶だ。

なんで今更。

辺りを見渡すと自分以外には三人。

三人しかいない。

咲田 真大

白鳥 琢磨

沖田 健

……チーム戦か。

教壇の前には武器が置いてある。

「ルールは簡単です。

今から貴方たちには神様を倒してもらいます。」

「おいおい、お前を倒せってことかよ。」

「私ではございません。

舞踊の神 天宇受売命

(アメノウズメノミコト)でございます。」

「おいおい、なんでそんな奴を俺たちが倒さなくちゃなんねえんだ。」

「あの方がどうしても遊びたいと申すので仕方が無く。」

神様は全員面倒臭いのか。

「貴方たち全員には武器が支給されます、

それを使い、神様を倒してください。」

殺す、ではなく倒すか。

どこまでいっても傲慢だな。

そう言い残すと仏像は消えた。

刀を手に取る者、拳銃を手にする者、アサルトライフルを選ぶ者。

これで準備は整った。

沖田 健は口を開く。

「まずは神の位置の把握だな。」

沖田 真大は疑問を口にする。

「おいおい、だけどどうすんだよ。」

白鳥 琢磨はそれに答える。

「そうですね、まずはこの場所から離れるのが賢明かと。

敵に場所がバレてないとは限りませんし。」

だが、どうするか。

薄暗く、窓から差し込む月明かりしかない。

武器の扱いには誰も慣れてはいない。

相手は未知数。

学校は静かで、音の特定すらできない。

白鳥 琢磨は提案をする。

「このままでは敵がどこにいるのかもわかりません。

なので二手に分かれませんか?」

沖田 健は「それもそうだな。」と肯定を示す。

「ではチームは、

Aチーム

橘 千颯さん

沖田 健さん

Bチーム

白鳥 琢磨

咲田 真大さん。」

咲田 真大は「おいおい、なんでお前と一緒なんだよ。」

「一つのチームに、

一人は頭の賢い人、一人は肉体が強い人で作るべきかと。

それにこのチームですともし敵と遭遇しても、

片方が銃を持っているので、

発砲音で状況と場所が瞬時に分かります。」

なるほど、よく人を見ている。



  *



千颯が協力してくれるかは疑わしいが、

悪いチームというわけではない。

俺は納得し、二手に分かれた。




だが異常に静かだ。

月明かりが妙に不気味で、美しい。

風は冷たい。

だいぶ歩いただろう。

疲労を感じ始めた頃。

廊下の角を曲がると、目の前にナニカが現れた。

「うわっ、まじでニンゲンいるじゃん。」

それは白く、薄い布を纏っていて、

頭には、葉を輪にして頭に乗せている。

「やあやあ、ニンゲンのみなさんはじめまして。」

「ボクの名前は天宇受売命アメノウズメノミコト

よろしくねー。」

その男は、自らを神と称した。

空気は肩に重く被さる。

空気は冷たく、鳥肌が立つ。

目の前に立つ神は、

人間の見た目をしているのに、

人間ではないナニカだった。

立っているだけで、

まるで踊っているかのように美しい。

喉から言葉が出ない。

口は閉じてくれない。

指一本すら動かせない。

気づくとソレは雷のように光り、

横に立っていた。

後ろで大きな音が鳴る。

後ろを見ると、千颯が壁に飛ばされていた。

ソレの目が俺をギロっと薄く睨み、

両手で持っていた拳銃を握りつぶした。



  *



千颯は本能で理解した。

こいつはこの世の者ではない。

それがわかる。

もう、常識は通用しない。

背中の感覚がない。

視界が赤く染まる。

空気は冷たいのに、体は熱い。

死ぬ──。

理解した瞬間、覚悟はできていたはずなのに、涙が止まらなかった。

死にたくない。

僕は事故の時、わかったと思い込んでいた。

だけど、わかってなんかいなかった。

助けて。

僕はこの青暗い学校で、一人だ。



  *



沖田 健は動けない。

「おーい、泣くなよ。

ボクが悪いみたいになるじゃないか。」

なんだよこれ。

動けないじゃんか。

「仕方ない。

うるさいし早く殺すか。」

ソレは俺を無視して千颯に向かって歩いていく。

動かなきゃ、頭に反して本能は正直だ。

静かな廊下には千颯の叫び声と、

無慈悲な足音が響いている。

俺は見ることしか出来ない。

「じゃ、死んでね。」

ソレは千颯の前に立つ。


俺は何をしているんだ。

俺はいままで何をしていたんだ。

綺麗事ばっか吐いて、動けない。

俺の人生はなんだったんだ。

「助けて……。」

千颯の声が聞こえる。

俺は、足を無理矢理前に出した。

俺は、駆け出した。

涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら、

それでも走り続ける。

なんでって、そりゃ──。



  *



橘 千颯は「死」を知った。

指先が地面に触れて冷たい。

開きっぱなしの口に痛みが走る。

風が強く吹いている。

「じゃ、死んでね。」

ソレの拳は強く握られ、僕に向いている。

僕は、ゆっくりと目を閉じ──。

拳は、当たらなかった。

目を開けると、目の前には沖田 健がいた。

「……なんで。」

拳は沖田 健が両手で防いでいた。

息を飲む。

「なんで!なんで僕を助けた!!

いらないんだよ!全部!一人でどうにかできる!」

「なんでって、そりゃ友達だからだろ。」

「は?何、言ってんだ。」

「俺とお前は、友達だ!

こんなに一緒に遊んだんだ。

なあ、そうだろ?」

頭がおかしい。

だけど、なぜか悪い気はしなかった。

「友達、か。」

僕は応える。

お母さん、お父さん。

「そうなのかもな、健。」

ごめん、まだそっちにはいけない。

涙はまだ止まらない。

健は言う。

「だから!助ける!!」

「あはっ!ニンゲンたちおもしろいね!

気に入った。今は見逃してあげるよ。」

神は笑った、背を向け、歩き去った。

神の背中が見えなくなったのを確認し、

安心が体を包む。

馬鹿すぎだよ、ほんと。

「お前、馬鹿かよ。」

健はそれに答える。

「ああ、どうしようもない馬鹿さ。」

一気に疲れがきて、目を瞑る。

風が、心地いい。



「おいおい、なんでこいつら寝てんだよ。」

「重症じゃないですか!

保健室に連れて行きましょう!」



「あっ、目が覚めましたか。」

どうやら眠ってしまったらしい。

「まったくなにがあったんですか。

説明してください。」

ここは、保健室か。

僕は寝ぼけながら口を開く。

「手当てしてくれたのか、ありがとな。」

「ん?あなた、なにか変わりました?」

「なにも変わってないよ。

それより、今から事の顛末を話す。」



「なるほど、それは厄介ですね。

いよいよ人外ですよ、ほんと。」

「おいおい、どうすんだよ。

そんなん勝ち目ねえぞ。」

僕は答えを示す。

「いや、勝ち目なら残ってる。」

武器は全部、普通のただの武器だ。

だから、神は人間とそこまで変わらない。

神は、


普通の物理攻撃が通用する。


だから、これなら神を殺せる。



「聞いてくれ、作戦を伝える。」




全員が定位置につく。

後は神を待つだけだ。

その時が、ついに来た。

「そろそろいこうかなー。」

この廊下はTの形になっている、だから。

僕と白鳥 琢磨、咲田 真大で逃げ場をなくす。

神は口を開く。

「いーね!ボク、そういうの大好きなんだ。

でも、流石に三体一はすこし厄介だね。」

奴は、弱者の思考をしている。

身体能力が低い僕を、

狙い撃ちした時点でそれはわかった。

だから、それを利用する。

神は、仰向けになり窓から飛び降りた。

この時を待っていた!

「けええええええん!!!」

拳銃を壊され、戦力外だと思われている健だから。

あとは健を、健の「覚悟」を信じるだけだ。

ここは三階。

言ったよな、神は物理攻撃が通用すると。

三階じゃ流石に殺せない。

だったら──。




  *



「けええええええん!!!」

合図!!

神の上、四階から飛び降りた。

神にぶつかる。

重さで速度が増す。

「おまえぇぇえええええ!!!」

神の叫び声が聞こえる。

「俺達の「覚悟」を舐めた、お前の負けだ。」


さあ、俺と踊ろうぜ。


神様。



神は、地面に勢いよく押し潰された。




「ゴミクズの皆さん、おめでとうございます。」

「第七の暇潰し(げーむ)お疲れ様でした。」




生存者10名   死亡者7名



大量の死者は、

神に勝ったのは奇跡に過ぎないと告げている。


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