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四十七話


 暗闇で、縁は声を聞いた。


「死の先でもって成された誓約は果たされた――約束だ……帰りなさい」


 帰る?

 そう自問した時、ぐらぐらと体が揺れる。


「――っ、な、え?」

「縁! よかった! 起きた……!」

「……灯夜?」

「そうだよ! なにやってんだよ、もう! オレに生きろっていっておいて、殺す気かよ!」


 早口でまくしたてた灯夜は、ごしごしと自分の目元を乱暴に拭った。

 海の匂い――どうやら自分は港にいるらしいと目を瞬くと、まわりには浅利や彼女と同じスーツを着た者たちが何人もおり、ぽかんとこちらを見ている。

 

「なんだ? 一体、なにがどうなって……」

「オレも分かんない! 分かんないけど……、終わったんだよ」


 その言葉と共に差し出された手をとって起き上がろうとした縁の目にある光景が飛び込んできた。


「……なんだ、あれ」

「え?」


 釣られたように灯夜が――そして浅利たちが空をみあげると、そこには無数の光があった。

 上へ上へとあつまるいくつもの光。

 しかし、光はまるで迷子のようにくるくると空を回り続けている。


「まずい……魂が迷っている、あれでは……」


 浅利が呟くと、りぃぃんと高く澄んだ鈴のような音が聞こえ、大きな青い鳥が海面から空へと現れた。

 鳥が通った場所には光の粒が軌跡のように残り、まるで空に敷かれた道筋のようだ。

 迷っていた光たちは親鳥についていくかのように青い鳥を追う。

 それを皮切りに、島から次々に光が飛び立ち、青い鳥に導かれるように空と海の彼方へと消えていく。


 それをボンヤリと見送っていた縁は、なぜか泣いていた。

 灯夜も、笑顔を浮かべているくせに泣いていた。


 彼方へ消えていく数多の光を見送り、ふたりは終わったのだと改めて頷きあったのだった。




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