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異世界でなんでも斬れる剣を拾った  作者: チラシの裏の汚い妖精さん
一章 駆け出し冒険者編
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第22話 報酬山分け

 

「お仕事お疲れ様でした。それではこちらが報酬の1600ルカとなります」


 ナーザルの街に帰還した俺たちは真っ先に協会へ報告に来た。

 一仕事を終えて美人さんな受付嬢に出迎えられるというのは実に良いものだ。

 ピカピカの笑顔を向けられるとああ、俺でも役に立ったんだなぁという気持ちがしみじみ湧いてくる。

 このまま彼女と結婚したい気持ちに駆られるが、事務的な事以外喋ったこともないので我慢しよう。


「あ、ウエスギさんは証明メダルもご用意できましたので、こちらもどうぞ」


 トレーに乗せられたルカ銅貨と一緒に、一回り大きな黒っぽいメダルを渡された。

 妖精らしき絵が描かれているメダルだ。

 裏側にこの世界のFに対応する文字と俺の名前が掘られているようだ。


「これは?」


「協会に認められた冒険者であることと、そのランクを証明する為のメダルです。描かれた絵と色でランクがわかるようになっておりまして、妖精の鉄メダルがGランク。銅、銀、金がそれぞれF,E,Dに対応しております。そしてCランク以上になりますと今度はドラゴンの絵に変わります。ドラゴンの銀がC、金がB、白金プラチナがA。そしてSは黒金鉱石という超稀少金属で作られたメダルになります。偽造防止用の魔術がかけられているので、錬金術ギルドであろうとも偽造複製の類は不可能です」


「そんなすごいメダルなのか」


 普通のメダルにしか見えん。


「もしもSランクのメダルがオークションに出品されることがあれば、好事家は一生遊んで暮らせるだけの値段を払うだろうと言われていますが、そんな罰当たりな人はいらっしゃいませんね。もし持ち主がなくなっても、ずっと家宝にできるだけの価値があるものですから」


 猫かぶりモードのクレアが横から補足してくれた。


「というかシドーさん、Gランクだったんですね。普通Gランクの方は採取クエストに同行する程度のものでいきなり村からのゴブリン退治を受けたりはしませんから、驚きました」


「え!?そうなの!?」


 驚愕の事実に俺は受付のお姉さんの方を見た。


「私はてっきりある程度お仕事に慣れたパーティに同行するものかと・・・。パーティ向けのお仕事であることはご説明しましたし、クレアさんは凄く腕のいい狩人スカウトの方なので。まさかお二人だけでご出発なさっているとは夢にも思いませんでした」


「本当はエルさんもいらっしゃいましたけどね。怪我もしてないのにクエストの途中で一人だけ抜けるのは問題ですけど、Gランクの方ならそれも仕方ないですか。巣穴に突入してから大怪我されたりしたら良くて撤退、下手を打てば壊滅の可能性もありますし。ヒーラーの居ないパーティですからね」


「あ、勝手な事してごめん・・・・」


「なんだかんだと言っても無傷で帰ってこれたわけですし、成功したなら文句なんてありません」


 こちらに顔を寄せて耳打ちするように小声で続ける。


「四人パーティを組んだところでいつの間にか死んでるような能無しもいますし、この仕事は結局成功する準備をしたかどうかではなく、成功したかどうかが全てなんですよ。どれだけ入念に準備したところで、死んでしまっては次なんてありませんから」


 冷ややかな声にごくりと唾を飲む。

 顔を離したあとの笑顔が逆に怖い。


「それでは私はこの辺で、お姉様と勝利の美酒を味わいに行きますから!」


「あ、待った!クレア報酬を三分の一しか受け取ってないだろ?俺があんまり役に立ってないしエルは途中で抜けちゃったし、報酬は俺たちが三分の一でいい。三分の二はクレアが持って行ってくれ」


「は?」


 猫かぶりモードなのも忘れてクレアは露骨に嫌な顔をした。


「報酬の分割なんて揉めるもとなんですから、私がいいっていってるからいいんです。もっと大きい仕事ならともかく、ゴブリン退治ぐらい生活費が稼げれば十分ですから」


「でも・・・・」


「あーいいですわかりました!じゃあ半分は頂きます。抜けた人間はカウントしないという理屈はわかりますからね!これ以上は引き下がりません!」


「む・・・・・・・。・・・わかった。サンキュー」


「予定より報酬が増えてるのにお礼を言われる筋合いはありません。まったく、お人好しも過ぎると早死にしますよ?それでは」


 頬を膨らませて去っていくクレアに手を振る。

 討伐数で言えば完全に彼女が上なのだから、本来なら四分の一でも多いぐらいだと思うのだが。


「・・・・どう思う?」


『マスターの理屈もわかるが、冒険者でそれを言い続けられる人間など滅多にいないだろうな。命が掛かっている、それでも齧り付いている人間ばかりなのだ。欲も晒さなければ嫌味だぞ』


「・・・心得ておくよ」


 エルの言葉にため息をついて、俺は冒険者協会を後にした。


「この後は何か予定はあるのか?」


 人間の姿になりながらエルが聞いてきた。


「特に予定はないなぁ。収入が入ったわけだし、俺もウマい飯でも食いたいかな。でもとりあえず一旦宿屋に返るか。荷物置かないとなー」


 無事に街に帰れた事でかなり気が緩んでいる気がする。

 まぁ、初勝利を納めたのだからいいじゃないか。

 地球じゃあまり飲まなかったけど、祝いに酒でも飲みたい気分だった。


「では私は少し失礼する」


「ん?一人で用事か?買い物ぐらいなら予定もないしついていくけど」


「いや、シルメリアのところに報告に戻るだけだ。ついてこなくていい。というか神界にむやみに人間を立ち入らせると、警備の天使たちがうるさいからな」


「そ、そうか・・。じゃあいってらっしゃい」


 炎になって消えるエルを手を振って見送る。

 俺にとっては鬼の居ぬ間に洗濯というやつだろうか。

 しかしエルが居ない状態で出歩くのは凄く心細い。

 知らず知らずのうちにチートに依存しているのがよくわかる。


 いつの間にか人に頼ることに慣れつつあるぼっちがここにいた。


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