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パープル・グラスシーリング  作者: 綾沢 深乃
「第2章 思い出探索」

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「第2章 思い出探索」(4-4)

(4-4)


「えっ?」


 あゆみの言葉に直人の心臓の鼓動が速くなった。


「それって……、」


「はい。姉は横溝さんの事を話そうとしたんです。忘望病の人を思い出すというのは本当に珍しい事で、嬉しかったみたいで」


 グリーンドアでさやかに会った際、彼女が嘘をついた真の理由が判明した。香夏子を守るだけじゃない。同時に瑠奈も守る為だったのだ。


 それを俺が思い出したから元々の約束を破ってまで、伝えようとした。


 直人の頭の中でパズルが組み上がっていく。


「そうか。それで、お姉さんは今日来れないんだな」


「はい。姉は連絡を取ってしまったせいで一時的ではありますが、和倉 瑠奈さんの事を忘れてしまったらしいです」


「やっぱりか……」


 自分が余計な事をしなければ、そんな事にはならなかった。知らなかったとはいえ、申し訳ない事をした。どうしたって負い目を感じてしまう。


「あっ、でも! 忘れたのは本当に一時的のようで、すぐに思い出したそうなんです。ただ、これ以上横溝さんと接触するのは危険だと判断したようで……」


 二人の間に沈黙が流れる。


 最初は話ながら飲んでいたカフェ・ラテも途中から飲まずにテーブルに置いたままだ。沈黙を埋めるようにカップを手に取り、口を付ける。


 温かったカフェ・ラテは冷めており、多少強くなった苦味が口内に広がった。


 あゆみも気まずそうな顔を見せながらもカフェ・ラテに口を付けていた。


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