表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初彼女持ち新卒SE、入社2日目で理想の美人同期と寝て、恋愛管理系クズになる  作者: Pyayume
第一章「プロトタイプ」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/81

第5話「【青】と予定表」

アラームが鳴る前に目が覚めた俺は、反射的にスマホへ手を伸ばした。


そして直ぐにカレンダーアプリを開く。


画面には、ところどころ【青】で表示された久美子との予定が見える。


昨夜の「浮気か?」という一言は、俺の即興と真子の機転で対応が出来ている。


指でスクロールしながら、未だ予定が入っていない時間を確認する。


久美子が関与も干渉もしない時間帯に、まだ存在しない真子との予定を思い描く。


罪悪感というものは、薄ら感じないわけではない。


だが、それ以上に、真子との楽な関係性や快楽に加え、複数の条件を矛盾なく成立させているというゲーム攻略に近い悦もあった。


「……真子との予定……入るかな。」


俺はそう小さく呟いて、スマホを閉じた。


---


研修室に入ると、久美子がこちらに気づいて歩み寄ってきた。


少しだけ緊張した表情で、スマホを差し出す。


「直樹くん、これ……私も入れて、共有、してみたの。」


画面には、俺が使っているのと同じカレンダーアプリ。


共有依頼先に俺のメールアドレスが記載されている。


「お、ありがとう。これで予定合わせやすくなるね。」


「うん……お互い、分かってた方が安心かなって。ほら、これからグループ研修とかも始まるし、飲み会も増えそうだから、直樹くんと過ごせる日はこれで分かるなーって。」


久美子はそう言って、少し照れたように笑った。


その言葉を聞いた瞬間、俺の中で別の意味に変換される。


予定が見えるということは、裏を返せば予定を演出出来るということだ。


「いいと思う。合理的だし。」


「合理的って……ふふ、直樹くんらしい。」


俺の言葉に久美子は嬉しそうに頷いた。


「じゃあ、今日一緒に帰ろうね。」


久美子の言葉に曖昧に返事をしながら、俺は頭の中で別の予定を組み始めていた。


---


「ねー直樹、ローション用意した?」


隣に座った真子が、頬杖をついたまま小声でニヤついてきた。


「……は?」


唐突すぎる問いに、俺は思わず眉をひそめた。


「次のチャレンジはローションの方が良くない?」


そう言う真子の顔は悪気がなく、笑顔のままだ。


「……別に、真子に関係ないだろ。」


「アドバイスしてあげたのにさー。」


そう言ってケラケラ笑いながら、真子は椅子を少し揺らした。


「……っていうか、買う時間なかっただろ。」


「いや普通に、ネットでポチれば次の日届くじゃん。」


俺の返しに、真子は気にした様子もなく答えた。


「……そういうもんか。」


「そうそう、出来ることかれやればいいんだよ。」


真子の口調はあまりにも軽く、深刻さもなかったが妙に頭に残る。


「……まぁ真子は、ほんと雑だな。」


「直樹は難しく考えすぎ……なのでは?」


その瞬間、俺の中の考えが整理された気がした。


結局、過程がどうとかじゃなく、上手くいくかどうかの話なのかもしれない。


そう考えると、真子の言葉は妙に合理的に思えた。


「ってか、今日さ、少人数で飲み行くかもなんだけど、直樹も来る?」


真子が急に話題を切り替えた。


「……いや、やめとく。」


「そ。狩野もいるけどねー。来ないん?」


「いや、行かないけど……っていうか何で狩野?」


「え?久美子とは違って、狩野も細身スレンダーの貧乳じゃん。直樹の好みの、さ。」


「……別に、そういうのが好みって訳じゃ。」


俺がそう言うと、真子は「ふーん。」と興味を失ったように視線をスマホへ戻した。


引き止める気配は一切なく、必要なときだけ近づいて、不要になれば離れる。


その距離感はある種合理的で、同時に制御不能だった。


俺は、真子との関係を切るべきかと一瞬考える。


しかし、切る理由が、思いつかなかった。


---


今日も研修が終わり、予定通り久美子と駅前のファミレスに入る。


「この前ね、前バイトしてた時の子と話してて……」


話を聞きながらも、俺は時計が気になってしまう。


「それでね…」と、楽しそうに話す久美子の表情は安定している。


久美子が機嫌良好の状態で関係維持が出来ていると、俺は感じた。


「……そっか。いいじゃん。」


そう返すと、久美子は安心したように笑った。


ふと気になって再度時計を見ると、間も無く午後9時を回ろうとしていた。


真子の方は、そろそろ飲み会が終わったのだろうか。


飲み会終わりだったら、真子は誘えば家に来るのではないか。


そんな下衆い考えが脳裏を支配する。


「今日はありがとう。沢山話せてよかった。今度の土日、桜見に行こうね。」


俺の反応が鈍かったのか、久美子は唐突にそう言うと帰り支度を始めた。


「そうだね。今日は遅くなったから帰ろうか。」


俺は伝票を取ると、久美子とともにファミレスを後にした。



改札に着くと、「じゃあ、今日は帰るね。また明日ね。」と、久美子に笑顔で言われた。


「おう、また明日。」


「うん。後でまた連絡するね。」


そう言って久美子は、俺の帰路とは別の改札に消えていった。


久美子の背中を見つめながら、俺はスマホを取り出し、メッセージ画面を表示させる。


目当てのトークルームをタップすると、端的な文を打った。


<今どこ?>


その一文に返信が来るのに、それほど時間はかからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ