妄想からのキス
…なんてことが出来るようになるまでまだまだ時間がかかるのだが。
初デートの今日は、キスくらいしたかったが、キスって何回目のデートでするんだっけ?
なんて、ラノベ小説のようなことを考えてしまう。
そんなことを僕が考えていると、彼女が不思議そうな顔をして問いかけてくる。
「なんかぼーっとしちゃってどうしたの?」
「いやぁ、キス…いや、小学生の頃だったらケーキ共有したら間接キスと言われたな…とか思って」 と、言ってから、僕は、なんてバカなことを言ったんだとちょっと後悔した。
が、
「ふーん、ね、ちょっと本当に…してみよっか…キス…?」
彼女のそんな言葉を聞いて、僕は心臓が口から飛び出すのではないかと驚いた。
「え、そ、それは…」
心の中では、すぐにでも飛び付きたい提案に、僕は逡巡する。
本当に飛びついていいのか?
「イヤ…なのかな?」
彼女がちょっと寂しそうな顔でそう聞いてくる。
「いや、イヤ…ではないけど、ちょっと早いかなって…。ホラ普通は何回目のデートでキスするんだろとか思って…」
「もう、いいよ…」
そう言って彼女は目を閉じた。
こ、これって…。
いわゆるラノベ小説やマンガで見た、キスしてOKなシチュエーションでは!
動揺した僕は、しかし、残念ながら進む勇気が出ず固まってしまった。
すると、彼女が少し目を開けて、「意気地なし」とイタズラっぽく言う。
その言葉に内心傷ついていると、彼女はさらに続ける。
「でも、がっつかれなくて良かった。私のこと、大事に思ってくれてるんだね…?」
コクコクと無言で頷く僕。
本当は勇気が出なかったなんてカッコ悪くて言えない。
「じゃあ、お礼ね」 と、彼女の顔が急に近づいてきて、チュッと、ほっぺにキスされた。
「口へのキスはまだ早いよね。だから今日はこれで…」
そんな彼女の顔もキレイなピンク色に染まっていた。




