俺は強い
町外れにある一軒家に訪れたレィダ。
家中は綺麗に掃除されているが
電気や水道は止まっている。
「おや、来たのかレィダ。
よくここがわかったね」
家の中にはノノが居た。
「お前が、この家へ頻繁に訪れている事は皆知っていル。
ほら、手土産ダ」
ノノに手渡されたのは都内で有名な和菓子。
子供の様にはしゃぎ中身を確認するノノ。
「おぉー!美味しそうなお菓子。
こんな良いものをありがとう」
「喜んでくれて何よりダ」
「それで、こんな物を渡すということは
一体何の要望かな?」
「話が早くて助かル。
俺は、近いうちに都心を攻撃しようと思っていル。
その時、再びマスクの男と相対したら……
俺は、奴を殺す気ダ。
お前は、マスクの男の可能性を買っていル。
だから、邪魔されないよう
お前に言っておこうと思ってナ」
「……そうか。
安心しなよ、ボクは邪魔しないからさ」
怒りを買うかと思われたが
意外にも淡白な返答がなされレィダは驚いた。
「止めないのカ?」
「止めてほしくないからここに来たんだろ?
キミはキミのやりたい事をやりなよ」
「そうカ……邪魔したナ」
レィダは家を出て、何処かへ姿を消した。
「本当に止めなくていいのですか?」
2人の邪魔にならないよう
身を潜めていたロウグが現れる。
「ボクが止めたところで誰かがやるさ。
それに、成長途中の彼にとっては
いい試練になると思うんだ」
「死んだら、その程度だった……という事ですね」
不敵な笑みを浮かべていたノノは、貰った和菓子を見て
すぐに気持ちが切り替わり、無邪気な笑みへと変わる。
この和菓子はノノとロウグの2人で
すぐに完食するのだった。
ここは、高校の校舎内。
最近、この高校では夜中に奇妙な人影を見たり
異音がするとの情報が入ってきており
ダイは調査しに来ていた。
1階を見て回ったが何もなく
2階へと上がり、廊下に出ようとした瞬間
何かがダイの顔面を直撃した。
「ぐっ……」
気がつくと階段を登っている最中であった。
「今のは……」
初めて起こった現象に驚いたが、理解はしていた。
自分自身の持つ副産物の力が意思とは関係なく
発動したのだった。
ダイは見た未来のとおりに廊下に出る。
何が顔面目掛けて来るが難なく切断した。
切った物は肉片の様な物で
感触はブヨブヨとしたものであった。
廊下の端を見ると、そこに居たのは
辛うじて人の様な形を保った大柄な肉の塊だった。
切った肉片と同様にブヨブヨとした肉体は
とても気色悪いものを感じる。
「お前か、この辺を彷徨いてるのは」
返答はなく
身体の肉を高速でこちら側に伸ばしてくる。
避けられない速度ではない。
しかし、先ほど刀で切った時の手応えから
簡単に切断できると判断したダイは
振り上げる様にして刀を振り、容易に切断した。
斬られた事に動揺している様子を確認し
その隙を逃すまいと、一気に距離を詰め
心臓へと刀を突き刺した。
「しまった。コイツに色々聞くの忘れてた……」
完全に倒したと油断していたダイは
背後から迫る存在に気が付かず、捕縛される。
「っく……」
心臓に刀を突き刺したソイツは死んでいなかった。
「なっ……なんで」
「残念だったな……
俺の心臓までは届いていない」
肉が分厚すぎて刃が届かなかったのだと分かった。
「それに、俺は強い……
俺は【ランク3】のシェド。
マスクの男……お前を殺す者だ」
「お前が……【ランク3】?」
「そうだ……怖いだろ?」
「プッハハハッ!」
突然大笑いしだすダイ。
「なっ、何がおかしい?」
「お前みたいなブヨブヨした奴が
【ランク3】だって?
そんな嘘つかれたら
笑うしかないだろ」
シェドの全身に血管が浮き上がり
呼吸が激しくなる。
今にもダイを潰してしまうほどのブチギレだ。
「嘘じゃない!俺は【ランク3】だ!」
「へー、じゃあ、証拠でもあんのか?」
「証拠だと……」
「まぁ、例えば……仲間の居場所とか」
「フン、いいだろう……
【イーバヤ星人】は
各々が拠点を確保して暮らしている。
だから、全員は知らん……
だが、俺と同じ【ランク3】のアイツの居場所なら
知っているぞ」
「へーじゃあ、教えてもらおうか……
お前が、本当に【ランク3】だっていうならな」
「彼女は……この南高校のすぐそばにある
白い屋根の家を拠点にしている……
どうだ?これで俺が【ランク3】だと証明できたろ」
「バカか、その家に行って確かめてみないと
わからねぇだろ」
「それもそうか……
では、確かめてから再び俺の元へ来い……」
「分かった。
だが、俺が来るまで人間に手を出すなよ」
「フンッ、良かろう……」
拘束され、ピンチに陥っていたはずのダイは
かなり簡単にその状況を打開した。
現在、この高校では、犠牲者は出ていない事と
シェドの純粋さを信じ
そのままダイは、何事も無く本部へと戻り
事を説明するのだった。




