頂点
疲弊した身体で何とか本部へ帰還したダイは
得た情報を全て仲間に共有した。
知らないところで死にかけていたダイに
【グレジタンス】のメンバーは驚愕し、心配していた。
この出来事を機に
今後、何かあった時は必ず一報入れるように念を押され
自分自身の社会性の無さに胸を締め付けられるのだった。
「いやー待たせたね」
その頃
とある建物の一室で【イーバヤ星人】が集結していた。
「チッ。おせぇんだよバカガキ」
遅れて入室したノノに苛立ちを募らせた青年が悪態をついた。
部屋には8席用意されているが
ノノとその青年を合わせても6人しかいない。
「おや、全員集合だったと思うが
まだ来ていないみたいだね」
「てめぇ、オレを無視してんじゃねぇよ」
先ほどの青年がノノへ絡み出した。
「キミは相変わらずだな。
威勢がいいのはいいが
相手を見誤る癖は相変わらずだなガイン」
「見誤る?ハッ!
オマエは相変わらず生意気なガキだな。
今ココでオレは戦ってもいいんだぜ?」
一触即発になる2人であったが
他の【イーバヤ星人】は至って冷静にその光景を傍観していた。
互いに戦闘体制に入ると建物全体が揺れ始め
外にいた一般人が本能的に身震いするほどの殺気が
飛び交っていた。
「まぁまぁ若造共、その辺でやめにしておけ」
「ゴウラン……」
その状況を傍観していた1人ゴウランが2人の間に割って入り仲裁した。
その見た目は他の【イーバヤ星人】と比べかなり異質で
同胞から見てもかなり不気味な姿をしていた。
「チッ。邪魔すんなよクソジジイ」
「ホッホッホ 若いっては良いものだ
まぁとりあえず2人とも席に座りなさい」
2人は渋々自分の席へ座った。
「んで、オレたちは
一体どういう案件で集められたんだ?モリキ」
そこには政府関係者や大統領と密会をしていた
人物の姿があった。
「人間は恐怖から成長するはずだが
彼らの行動や言動を観察するにどうやら人間は
恐怖に対して免疫をつけてしまっている。
今のやり方では我々が望む進化へは到底辿り着けない
そこでやり方を少し変えようと思ってな」
「やり方を変える?」
「そう。今まで【ランク2】に
主体として動いてもらっていたが
これからは我々【ランク3】が動くんだ」
「オイオイ、マジか!?オレらが動くってことは
デケェ被害になるってことだぜ?」
「言ったろ、やり方を変えると
我々は傲慢だった
全ての人間を進化させることにこだわりすぎたんだ
生半可な恐怖では奴等は何も変わらない
だからこれからはより大きな恐怖を与えていく
数も標的も絞らない無差別に行い大災害を引き起こし
恐怖を乗り越えた選ばれた人間を探し出す
そう、これは選別だ」
「ちょっと待ってくれモリキ
それでは友好的な関係は築けない。
【未知の力を宿した者】を探す為にも彼らの力は必要だ」
あまりにも暴力的な意見を聞いたノノは
モリキに対して考え直すよう言葉をかけた。
そこへ、これまで沈黙していた1人・レィダが
その沈黙を破った。
「それはどうかナ。
派手に暴れれば【未知の力を宿した者】も
姿を現す可能性が高イ。
すなわち、モリキの考えは理にかなっていると思うガ」
「……貴方の意見が聞きたい、シン」
その一言で全員の視線が
鉄仮面を身につけた人物へと向けられた。
その人物の名前はシン。
名前とその姿以外の殆どが謎に包まれている
だが、全ての【イーバヤ星人】が認識しているのは
シンが【イーバヤ星人】の頂点であるということだ
誰が位置付けたのかはわからない
誰もシンの力を知らない
それでも頂点であることは誰も疑わないのだ。
『好きに暴れろ
恐怖を植え付けろ
力に目覚めた者は生かして連れてこい』




