寄生虫さん
「そう、ボクはキミに刺された。
けど、その事実はボクの力で無かったことにしたんだ」
「無かったこと?」
「そう!まあ改変したっていう方が正しいかな
ボクの力『改変する力』はボクに起きることや
ボクが起こすことを自在に改変できるんだ!」
「は?何だよそれ……チートじゃねえか」
言葉ではそう言ってみたが実際
はっきりと能力の凄さが分かってはいなかった。
「ってかなんだ?オルタなんちゃらって……」
「『改変する力』だって!
キミたちにこういう必殺技みたいな
ネーミングは受けがいいし
かっこいいと思ったから付けてみたんだ!」
「へー。幼稚だなお前……」
「アレ?同胞には受けがいいんだけどな……」
会話をすることで油断させようとしていたが
只、無駄に時間が過ぎるだけであり
ここから抜け出せないという危機的状況に変わりなかった。
しかし、ダイは諦めてはいなかった。
何故なら自分自身の特殊な力が
この状況を打破できると信じていたからである。
だが、まだ自分の意思で発動できた事はない
死に際で偶然使えた力。
それと同じ追い込まれた状況へするために
無謀と知りながらノノへと攻撃を仕掛ける。
「ごめんね。キミと遊ぶのは楽しいけど時間は有限だ。
さて、キミの答えを聞こうか。
【イーバヤ星人】の為に戦うか
【イーバヤ星人】と戦うか」
攻撃は簡単に避けられ
反撃をくらい馬乗りになられるダイ。
対抗を試みるも起き上がる事はできない。
「クソ……お前にはどう足掻いても勝てねえか。
わかった……此処で死ぬくらいなら
【イーバヤ星人】の為に戦う……」
「おお!そう言ってくれると思っ……」
「なんて言うと思ったかバカ!」
「は?」
「お前、人間を猿呼ばわりしてたけどな
俺から見れば地球に勝手に来て
好き勝手やってる【イーバヤ星人】は
寄生虫にしか見えねえな!
自分達でどうにもできない問題を猿と見下してる
人間に解決してもらおうと必死になってんのか?
残念だったな、協力なんてしねえよ!
時間の無駄だったな寄生虫さんよ!!」
体で抗えないのなら
言葉で抗ってやる。
そんなことを思い、最後に思い残すことのないよう
全てを吐き捨て一矢報いてやろうとしたが
自分が居なくなればこの先誰が戦うのかという
自身の力を高く評価したようならしくない考えが
頭をよぎっていた。
「そうか……それは残念だ」
しかし、ダイの予想とは違い
ノノは怒りを見せず、ゆっくりとダイのそばから離れた。
何を企んでいるのか警戒をしていたそんな時
見覚えのある第三者が突如姿を現した。
「お取り込み中失礼しますノノさん。
先程、お呼び出しの連絡が来たのでご報告を」
「うん、ご苦労さん。そろそろだと思ってたよ」
「お前は……ロウグ!?」
「お久しぶりですねマスクの男。
また会えて嬉しいですよ」
目の前に現れたロウグ。
ただでさえ不利であった状況が
更に不利になってしまう。
「んーじゃ行きますか!また会おうねマスクくん」
「は?おい……俺を殺さないのか?」
「ボクがしたかったのは話し合いと勧誘だからね
殺す気があったらとっくにやってるよ。
仲間になってくれなかったのは残念だけど
いつかキミの気が変わる事を信じてるよ!
まあこの先、生きていられたらの話だけど。
そんじゃ、バイバイ!マスクくん」
ノノとロウグは姿を消した。
奇跡的に生存できたダイはその場に倒れ込んだ。
安心と同時に自身が【ランク3】に対して
全く歯が立たなかった無力さを痛感していたダイは
改めて強くなる野望を燃やすのだった。
一方その頃、人気の少ない路地裏にて
「頼む……見逃してくれ」
「ほう、お前らも命乞いをするのか」
男が振るった拳は胸に風穴を開け心臓を破壊した。
先程まで命乞いをしていた【イーバヤ星人】は
地面に倒れ込み、その姿を冷たい目で男は見ていた。




