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お師匠様はお留守です!  作者: 瀬名 杏子
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恋占いのついで Ⅰ

一旦、ジェニーにはデッセ商会に戻って貰った。


夜に詳しい話をする為にもう一度来るとジェニーは言ったが、若い女の子なので明日にして貰う。


薬局を三日間休むのならば、こちらも準備をしなければならない。


「さっきから、何してるの?」


「日持ちのする料理を作りおきしようと思って!毎日干し肉とパンは嫌でしょう?」


そう言いながら、パウンドケーキを焼いている。


それは、料理じゃなくてお菓子だよね?


「干し肉も結構売れてるよね?ラーグルの商業ギルドは、規制が緩いけど、そろそろまずいんじゃない?」


「魔道具屋の営業許可の申請は、なるべく早めに出すけど、エヴァンは冒険者が必要な物が一度に購入出来る店にしたいみたい?」


「この場所では無理だよ!それに剣や弓や衣類に寝袋やテントまで取り扱うには、もっと人手が必要なんじゃない?」


「王都にはそれぞれ専門店があるから、必要ないよね?ライアンからもエヴァンに言ってくれる?」


レイアはまだ子供だけど、この件に関しては、レイアの肩を持つ方が良さそうだ。





翌日、薬局に行くと既にジェニーは店の前で待っていた。


店内の見取り図を広げて、占いの場所を決める。


店頭は目立つし、お客さんも占いの内容を知られたくないだろうから、一階の奥にして貰う。


「占いの待ち時間に、店内で買い物してくれるといいね?」


僕がジェニーの膝の上から、話しかける。


「開店記念で多少は安くなるんだろ?時間があれば、店内を一周位するよ?」


エヴァンも薬草をすり潰しながら、会話に加わる。


「それより、顔はヴェールで隠すとしてまだ子供なのがバレたら都合が悪いよな?」


「踵の高い靴や化粧で何とかなると思う?」


「本当に大丈夫なのか?」


「一回試しに変装したら?」


レイアは、横に座ったジェニーをしげしげと見つめた。


「今日は、ジェニーはお休みなの?」


「えっ、私?私はお昼から商会に出ます。」


「ロベールに頼んで欲しいことがあるの。」


レイアは、何故かジェニーを連れて奥に引っ込んだ。


エヴァンも僕も気になったので、僕だけ後を付いて行った。


「お化粧の練習がしたいの!ジェニー、しばらく付き合って。」


「お化粧は私も白粉をはたく位で、それに早く商会に戻らないと…?」


「ちょっと、肌が乾燥してるわね。マッサージしてる時間はないし…。」


レイアは、ジェニーの話を聞く気は全くないらしい?


最近、カミーユに似てきたよね。


ジェニーに石鹸をたっぷり泡立てて、優しく円を描くように洗顔させる。


次に洗面器に魔法で熱湯を出すと、ジェニーに顔を近づけ蒸気を当てるように指図する。


「お化粧道具を取って来るから、しばらくそのまま蒸気を顔に当てていてね。ライアン見張りよろしくね!」


「エヴァンも連れて行くんだよ!」


レイアは、色々抱えて戻って来た。


ジェニーは、年頃の娘にしては構っていないので、いじりたくなったんだね。


もう一度洗顔してから、水気を拭き取り、化粧水を何度もつける。


「こんなに、いっぱいつけるの?」


「その位は毎日つけてね。それから、スイートアーモンドオイルを薄く肌に伸ばして馴染ませて。」


レイアはジェニーの栗色の髪に香油をつけ、丁寧に梳くと二つに分け編み込みにする。


毛先を結んでから、もう片方も編み込み結んでから、二つを一つにまとめワンピースと似た色のリボンで結ぶ。


「ジェニーはクリーム色のドレスが似合うかしら?」


レイアは、ジェニーの髪に色んなリボンを当てて似合う色を探している。


「グレーや海老茶は、地味過ぎるよね。」


「デザインや小物にもよるけど、ジェニーは目立ちたくないのかしら?」


「母が幼い頃に亡くなって、上に兄が二人なんです。父は典型的な仕事人間で、華美な装いを嫌うので、いつも似たようなワンピースを着ています。」


「華美な装いって?」


「アリシアやカミーユみたいな?」


「それは、露出の多い扇情的な装い?」


「ちょっと違う!」


アリシアもカミーユも、胸元が大きく開いたドレスが似合うけどね。


「本当はもっと髪に小花を挿したり、リボンを編み込んだりしたいけど、ドレスじゃないし、デートの時にもっと驚かせたいよね?」


「デートなんてする相手がいないですから!」


ジェニーの顔がポッと赤くなる。


「ジェニーだって可愛いよ。髪を下ろした方が可愛い。」


「ふふっ、ライアンありがとう!」


ジェニーが嬉しそうに微笑む。


「眉を少しカットするわね。」


眉用の小さなハサミで形を整える。


眉の形で結構顔の印象が変わるもんだね。


あぁ、少し眠くなってきた。


白粉をはたき、ほんのり頬紅をつける。


眉を少し描き足す。


まつ毛を器具で挟んでカールさせる。


クルンとしたまつ毛が可愛い。


瞼に部分的にうっすら影をつける。


オレンジがかったピンクの口紅を塗って完成。


「お父様が厳しいのなら、あまり目元は強調しない方がいいわね。」


「これは何?」


「それは、目の際に沿ってラインを入れて目元を強調するの!」


「じゃあ、これは?」


「まつ毛に塗って、まつ毛を長く見せたり多く見せたりするの。」


「薬局では売ってないの?」


「時間が経つと崩れるから、こまめに直す必要があって、売りたいんだけどエヴァンに反対されてるわ。」


「エヴァンは、化粧する必要ないものね。綺麗な顔だちで羨ましい!」


「そうでもないわよ。モテ過ぎても大変!」


ちょっと、ジェニーの口調がくだけてきた。

















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