責任は取りません!
「ライアン、そろそろ薬草が減って来たから採集に行きたいんだが…?」
「私も一緒に行きたい!」
「危険な場所は避けて、レイアも連れて行くか?カミーユに頼んで、いつものように留守番して貰うか?」
レイアも少しは自衛出来るようにならないと駄目だよね。
外出する時は、常にアリシアかエヴァンが一緒で、自由のない生活。
レイアは慣れているから、反抗しないが、過保護過ぎるのは僕達もわかっている。
「レイア、無茶しないと約束出来る?」
「エヴァンから、なるべく離れないようにするから、私も連れて行って!」
「僕も一緒に行くからね!」
「ライアン、ありがとう!」
レイアが、喜んで僕をぎゅっと抱きしめる。
そのままモフモフタイムに突入。
レイアに獣人は、絶対に近づけないようにしなければ、捕獲するのはレイアのような気もするが…?
特に兎の獣人は、駄目だ!
「いらっしゃいませ。」
「いらっしゃいませ。あら、貴女は?」
「今日は、体力回復ドリンクを買いに来たんです。」
店に入って来たのは、ジェニーだった。
今日は、白襟のついた海老茶のワンピースだ。
体力回復ドリンクは、長寿人参と蜂蜜の入ったドリンクで効果はあるけど、味がイマイチな商品なんだよね~。
レイアのオリジナルではなくて、長寿人参の一大産地であるコウライビージョ地方では、長寿人参で作られた健康食品は多い。
「実は幼馴染のロベールが倒れてしまったんです。」
レイアの占いがそんなに早く当たったのか?
「新店の準備が忙しかったの?」
「それが、実は新店の目玉として、宝石部門を増やして魔宝石を用意する予定でした。その予定が直前になって断られてしまって、心労が原因じゃないかと思います。」
「希少な魔宝石は高価でしょう?」
「とても小さい魔宝石の周りを貴石で囲んで、顧客の要望を確認してから、指輪やネックレスに加工する予定でした。」
「もっと高く買ってくれる相手が見つかったんだな?」
「ジェニーも顔色が良くないね。」
「少し早いけどお茶の時間にしましょう。今日はフィナンシェを焼いたの。」
店内には、一応商談用のテーブルと椅子が置いてある。
僕はジェニーの膝の上に乗って、モフモフ攻撃でご接待する。
レイアが温かいロイヤルミルクティーとフィナンシェを運んで来た。
「ロベールへのお土産に薬草ゼリーもあげたら?」
「それは、嫌がらせになるでしょう?」
「薬草ゼリーって?」
「まだ試作品なの。おいしく出来なくて四苦八苦してるわ。」
「売り出したら、教えて下さいね。は〜魔宝石は手に入らないし、他に何かないかしら?」
「他に目玉になる商品は用意してないの?」
「ザンガリア国の絹織物を用意してます。数は少ないけど?」
「ジェニー、普通に話してね。」
「レイアの方が年下だし、お客さんなんだから…。」
「私はいいですよ。年上だけど、デッセ商会が大変な時に、大切な幼馴染の役に立てない。」
「…...…。」
「やっぱり、レイアが恋占いをすれ
ば?」
エヴァン、君が一番恋占い信じてないよね?
「恋占いでお客さんが集まるかしら?」
「お喋り好きの女子が集まれば、話題にはなるだろ?」
そのお喋り好きの女子に日夜つきまとわれてるもんね。
「人目につく店頭は、駄目だよ。」
「占いがハズレて文句言われないかしら?」
「三日間位にしたら?」
「期間限定の方がお客さんも来るわね。」
「お願い出来ますか?」
「私の占いは未熟だから、低料金でいいけど、でもそうなると、この店も三日間閉めることになるけどいいの?」
レイアがエヴァンに問い掛ける。
エヴァン一人でも店は大丈夫だけど、エヴァンはレイアの護衛なのだ。
「やっぱり辞めよう!」
「損失補填します。」
「いやいや、小さな店だけど単価の高い商品もあるから、安請け合いしちゃいけない!」
「私何とかしてロベールの手助けをしたいんです。」
ジェニーは、必死だ。
「ジェニーの気持ちはわかるけど、私の恋占いの宣伝にアリシア様の名前は出せないわよ。大魔女アリシア様の養い子が、低料金で恋占いなんて、アリシア様の名声に傷が付くもの。」
レイア、ちゃんと考えてたんだね。
「低料金って、幾らにするつもり?」
「500エステル。」
「それは安過ぎない?」
「人集めが目的だから!」
人集めね〜。
「アリシアの名前は出さない。レイアの素性は明かさない。それが絶対条件だね。」
僕も恋占いで人が集まるとは思えない。
でも、ジェニーのお願いを聞いてあげたくなった。
それでも、人が集まらなかった時に責任は取れない。
デッセ商会は、品質と品揃えの良さと万全のサービスを誇るラーグル一の商会なんだから、本業で頑張って貰おう!




