デート
「デート、いいですね!」
「凪……俺の休日を潰しやがって」
「女の子に対する態度ですか、それ?」
「そうだが?」
「はぁ……もう。せっかく私、服も選んできたのに」
「別に頼んでない」
「見ます?」
「見せなくていい」
「え、なんでですか。似合ってるって言われる前提なんですけど」
「自分で言うなよ」
「美人とのデートを嫌とか言わないでください」
「嫌すぎる」
「はいはい。じゃあ帰ります?」
「それは却下だ」
「ふふ。素直じゃないですね」
駅前は休日の人混み。
ポスターの前で凪が立ち止まる。
「映画、これにしません? 恋愛もの」
「却下。爆発しない」
「恋は爆発しますけど?」
「意味が分からん」
「恒一さん、絶対泣きますよ」
「泣かねえよ」
「じゃあ賭けましょう」
「なんでだよ」
「泣いたらカフェ奢りで」
「泣かなかったら?」
「……手、繋ぎます?」
一瞬、沈黙。
「……映画行くぞ」
「逃げました?」
「うるさい」
上映後。
「ほら、目赤いですよ」
「コンタクトだ」
「便利な言い訳ですね」
カフェの窓際。
凪がストローをくるくる回す。
「休日が終わったら、危険な所に行くんですよね」
「ああ」
「怪我しないでくださいね」
「まあ……俺だし、大丈夫だろ」
「その自信が怖いんです」
少しだけ、声が弱い。
「でも」
凪は笑う。
「今日はデートです。任務のことは禁止。今だけは私に集中してください」
「……命令か?」
「はい。絶対遵守で」
恒一はため息をつく。
「一秒だけならな」
「十分です」
テーブルの下で、そっと指が触れる。
「……楽しみましょう」
「そうだな」




