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裏切り
「綾瀬詩織が裏切った?」
「固有魔法は“超契約”。一方的に契約を押し付ける。相手の発言に強制力を持たせ、絶対遵守させる」
上司の声は淡々としている。
「魔法を広める宗教団体に合流した」
恒一は鼻で笑う。
「なるほどな。信者に“自分に敵対するな”とでも縛るのか。で?」
「見つけ次第、殺せ。神代恒一」
沈黙。
「……無理ですよ」
「ほう?」
「あいつは一秒間、絶対命令を通せる。“動くな”“魔法を使うな”で詰む。複数同時はできないが……一対一なら話は別だ。誰かと組まれたら終わりです」
「勝てないのか?」
「五分五分。単独なら」
上司はわずかに目を細める。
「裏切った理由は?」
「両親が交通事故で死んだ。回復魔法を使える医師はいた。だが免許がないと拒否した」
「安全性が保証されていない」
「だから規制する。だから研究が進まない」
短い沈黙。
「……それで魔法一般化の宗教団体か」
「無茶だ」
「そうだな」
上司は視線を落とす。
「だが、君も分かるだろう」
白瀬澪の死が脳裏を掠める。
恒一は目を閉じる。
「……面倒だな」
目を開ける。
「フリーデンはもう一人必要です。一人しか縛れないなら、二人で行く」
上司は頷いた。
「分かった」




