討伐
三十分ほど戦闘が続く。
だが――魔力切れの気配はない。
黒崎も落雷を落とせない。
神谷禅の体内にある俺の血が焼け焦げ、効力を失うからだ。
代わりに自身の電気信号を強化し、身体能力を底上げしてヒットアンドアウェイに徹する。
綾瀬詩織も超契約で定期的に神谷禅の動きを止めている。
それでも危ない場面は少なくない。
触手は鈍っているとはいえ、致命傷には至らない。
削っているはずなのに、削れている感覚がない。
神谷禅は一瞬、逃走を考える。
だが、超契約と加速魔法がいる以上、離脱は困難だと判断し断念する。
次に神代恒一を集中して狙い、殺すことを考える。
だがそれにはリスクがある。隙を作れば大ダメージを受ける可能性があること。そして再現象で分離を狙われる可能性。
回復魔法を持続発動している影響で、魔力も正直きつくなってきた。
次は耐えられるか分からない。
だが、やる。
触手の速度を取り戻せば、まだ戦える。
神谷禅は触手の攻撃を神代恒一に集中させる。
防ぎきれない。
神代恒一は瀕死のダメージを受け、体内の斬撃が止まる。
背後から九条玲奈が触れる。
だが神谷禅は耐えてみせる。
「貴方、やっと選択をミスしてくれた。消耗戦なら負けてたかもね」
「ミス? 何故だ」
「魔法を使うな」
綾瀬詩織の超契約が発動する。
神谷禅は“動くな”しか使わないことでミスリードしていた。
だが今、この瞬間――魔法そのものを封じられた。
変形も回復も使えない。
抵抗出来ない。
神谷禅と神谷宿が分離する。
だが――神谷宿は生きていない。
魂は、既に消えていた。
神谷禅は再び取り込もうとする。
だが瀬名悠真が加速し、神谷宿の体を奪い取る。
「出力最大!?」
黒崎雷堂の落雷が落ちる。
分離により魔力も大きく失っている。
もう、防げない。
雷光が全てを焼き尽くす。
神谷禅は――崩れ落ちた。




