28/59
絶望二
「大丈夫か、九条」
「えぇ…。さっき触れた時、ついでに再現象で分離させようとしたの。でも変形で抵抗されたわ。普通は出来ないのに…莫大な魔力量でゴリ押しの抵抗よ」
「悠真、渡してたあれ。使うぞ」
「あれか…まさか使うとはな」
悠真が加速魔法で突進する。
当然、触手が迎撃に走るが、俺の血の斬撃がそれを切り払う。
悠真は懐に入り込み、注射器を取り出すと中の液体を神谷禅に打ち込み、即座に離脱した。
神谷禅は毒だと判断したのか、打ち込まれた部位を分離し切り離そうとする。
だが、液体は一瞬で全身へと巡った。
神代恒一の血を用いた毒。
変形による回復対策として、あらかじめ用意していたものだ。
神谷禅の触手の動きが鈍る。
体内で小さな血の斬撃を暴れさせ続けているのだ。
もちろんデメリットもある。
体内で血の斬撃を維持している間、俺は血の斬撃を外部に放てない。
それでも効果は大きい。
触手の速度は落ち、ようやく視認して回避できる域にまで下がった。
常時回復魔法を発動させ続けなければならない状態――つまり魔力の消耗戦へ持ち込める。
消耗戦だ。




