カリュブディス…弐
86話目になりますわ…カリュブディスは、プシケに、現れました。満里奈達に、刃を向けようとします。
数刻前…
「これは……いったい…合戦か?おびただしい…血の海…」シンダラは…声を上げた…何人分の血なんだ…
--満里奈様--
---シンダラか?---
--今、古城に着きましたが…コレは?--
---皆んな同じ反応ねーっ!アハハハ〜レインがやった見たい!--
--隊長が?あっ!扇動に浮かれた者達の成れの果てですか?--
---シンダラ、気を付けて、レインでは無い…何者かが、その辺りを狩場にしているの…かなりの手練れよ…まだ、正体不明、気を付けて!交戦は避けて---
--了解しました。--
「どうしたの、輝政殿…」ココルがシンダラを見た。
「この惨状は、レイン隊長がやったみたいだね…ただ、正体不明の剣客がいるらしい…ちょっと迂回してプシケに行こう。」
「ちょっとちょっと!あれは何??」ココルが叫んだ
「えっ??げっ…?あれは??ラスベガス?なんだぁ……あれは!」シンダラは、遠くに見えるネオンサインに、ため息をついた。
「あぁぁぁ…!クリスチーヌ様…やっちまいましたね…アハハハ!アハハハこれは!」
「違う違う!向こう向いて…」ココルは言った。
遠くに青い髪の大男が見える。20人ぐらいの屈強な男達に囲まれている。
禍々しい…気の高まり!台風を小さくしたようだ…
「あれは…なんだぁ……?いや!誰だ!気が渦巻いている…二刀流?いや…はや…シン将軍以来だね…二刀流なんて…まぁ…彼は練気を腕に見せてるんで…四刀流だけどね…」
青い髪の男は、無造作に踏み出した。
つむじ風が…吹いた。
つむじ風?いや…この熱風は、サンタナ(悪魔の風)か?
シンダラとココルは見た。正に一刀両断……電光石火…快刀、乱麻を断つが如く…全員の首が落ちた…。
「なんてヤツだ…鬼神?武神?剣聖?刀だけで…この練度…気や、闘気、魔導力をもっていたら…レイン隊長でもヤバいかも…」
青い髪の男は、歩き始めた…プシケに向かって……
「ココル逃げるぞ…」
「触らぬ神に祟りなしだ!」シンダラ達は、逆方向に、走りだした。
各都市で、プシケと同じような…現象が起きている。アヴァローの都市…バイシャ…ハマーンと…対応に追われている。
そんな中、ミーミル湖のほとり、旧小谷城近く、長浜城では…巴が有岡城に向けて、準備を完了させていた。
総大将…巴、副将…カルラ、第一軍キンナラ、第二軍ビバカラ、第三軍ゴブジョウ、第四軍バサラ、第五軍グラン、第六軍左近
総勢、約500名…
巴の横に…異彩を放つ女性が二人…
1人は、仮面をつけた…妖艶、艶やか…神秘的な女性…ディーノ お市の方である。
そして……ガンダルヴァ…可憐な姿…
ガンダルヴァは天空の宮殿に住まう蒼き楽師。 その竪琴の音色は傷ついた兵の魂を癒し、 その歌声は荒ぶる龍さえ眠りへ誘うという。 戦場に姿を現すことは少ないが、 ひとたび神々の軍勢が集う時、 天空にはガンダルヴァの奏でる調べが響き渡る。兵士は歓喜し、彼女を讃える。…などの言い伝えはあるが…今は、違う名前で呼ばれている。
「竹中半兵衛重治…」
そして、竹中半兵衛重治が組織した軍勢…確かに小規模軍勢ではあるが…その軍は、今までの軍と…編成がまったく異なっている。
小谷城を攻略した時…何万規模の大軍勢!歩兵…騎馬…主攻は、エナ本人の広域術式…黒龍部隊…ある意味、名持ちの将軍頼りの…力技とも言える…戦法、兵士の死に関して重きを置かないが故の、特攻戦術…名前の無い者は、死ぬ事が目的…
玉砕と言う言葉が相応しい。
巴軍はどうだ…決定的に違うのは、飛行部隊がある事、兵士全員が、連射式魔導銃で武装している事、さらに、もっと強力な貫通爆裂砲で、武装している兵士がいる事、そして…後方に配置された。移動式長距離魔導砲…無骨な鉄の………そう…戦車に似ている。
「皆の者聞けぇ…!」カルラが声を上げた…。
「魔王、織田信長公より、勅命が下った。奸賊ポルキュスの討伐である。あの下賤のポルキュス…畏れ多くも織田軍に楯突く不埒者…その馬鹿者に付き従っている!クーベラ、シトクに鉄槌を下す。聞けぇ…なにやら、ポルキュス達も稚戯にも等しい…おもちゃを持っているとの話しだ…更に、有岡城…そう!蟻だ!アハハハ!アリ!…地下に群れている…蟻の城…それで、完璧と思い違いをしている…そんな奴らが信長様の周りに這いずっている…我々の力で排除する…天下布武!本来なら殺虫剤でも良いが…信長様は、全滅、殲滅、撲滅をお望みだ…行くぞ…皆の者!我々が、最強である。力を示せ!いざ出陣!!!」
「エナ様…巴殿が出陣したようです。」ヴァジュが告げた。
「そうか…クリスチーヌは、今何処だ?」エナが言った。
「バイシャ殿の所みたいです。」ヴァジュが言った。
「そうか…まぁ…良いか…アハハハ…で…、ソレイユは、ベルサイユか?」
「はい、エキとウグバが復活したみたいです…どうしますか?」ヴァジュが言った。
「安土に呼んでおくか…ヴァジュ…言っておいてくれ…!………??なんか外が騒がしいな…レイン達の選抜が始まったか?」
「みたいですね…予選?アハハハ予選…と呼べるかは…不明ですが…バトルロワイヤル??単なる乱闘にしか見えません!」
「あっ兵站や戦略組は、ランスとカリテイモ、サカラが相手をしているようですね…」
「魔導は、とアイリスとエマニュエル、ミッシェルが担当みたいですね。」
「ん?!雨?…」ランスが天を仰ぐ…
ビシャ!ボトッ!ベチャ!……天から人が降ってきた…いや、人の欠片?肉片?断片?
…むせ返るような…血の臭い…内臓の臭い…
プシケを覆う黒煙の中。
無数の輩が、ただ一人の男を取り囲んでいた。
右手には和泉守藤原兼重。
左手には河内守源永国。
二振りの妖しく青白い刃が、血煙の中で静かに揺れている。
だが、その男――宮本武蔵は走らない。
叫ばない!怒りも見せない。
ただ、ゆっくりと歩く。
まるで散歩でもするかのように。
「てってっめえ!ななななんだ?この野郎
殺せぇ!!」
数十名の男達が一斉に襲い掛かった。
次の瞬間。
武蔵の身体が霞んだ。
否。
見えなかっただけ…二振りの刀が交差した。
それだけだった。
兵たちは何が起きたのか理解できなかった。
一歩。
二歩。
武蔵が歩みを進める。
その背後で――
男たちの身体が崩れ落ちた。
胴が滑り落ちる。首が宙を舞う。腕が千切れ飛び。肉体は無数の断片となって大地へ散った。
血が噴き上がる。
いや、それは噴水ではない。
豪雨だった。
赤黒い血の雨。
肉片を混ぜた死の豪雨が戦場を覆った。
悲鳴を上げる暇すらない。
逃げようと振り返った者は既に両断されている。
槍を構えた者は槍ごと斬られた。
盾を持った者は盾ごと砕かれた。
鎧は紙のように裂け。
骨は砂のように砕ける。
誰一人として。
武蔵の剣を見た者はいなかった。
見た瞬間には死んでいるからだ。
まるで死神が歩いている。
いや――
死神ならば魂を刈るだけだろう。
だが武蔵は違う。
肉も骨も鎧も武器も。
存在そのものを斬り砕いていた。
戦場の中央には一本の血の道が出来ていた。
否………!
道ではない。
死体で満たされた…赤い大河だった。
その中心を、武蔵は静かに歩いていく。
返り血に染まった青髪を揺らしながら。
二振りの魔剣を下げながら。
満里奈たちは動けなかった。
武将としての本能が告げていたからだ。
まともに戦えば死ぬ。
背をみせたら死ぬ。
あれは人ではない。
戦国乱世が産み落とした災厄。
千の軍勢を屠るためだけに現れた修羅。
鬼神・宮本武蔵。
彼が歩くたびに。
血の雨が降り。
肉片が舞い。
戦場そのものが静かに消滅していく。
そして誰もが悟る。
この戦は既に終わったのだと。
武蔵が剣を抜いた、その瞬間に。
「あれは…カリュブディス!アハハハ…プシケにいたのか?」エナが叫んだ!
「よし!私が相手をしようかのぉ!」エナが刀を掴んだ…
「待って下さい…エナ様…私が行きます…」シンが立ち塞がる。
「シン…シン…お前じゃ勝てないぞ…」エナが言った。
「私が?勝てない?笑止!エナ様…」
「シン、お前…バカ正直に、剣で勝負しようとか思っているだろ?」エナは、シンの腕を掴む。
「我々は、剣客じゃないぞ!術師だ…両方使わなければ、我々の力の半分を抑えて戦う事になる。シン…どうだ…」
「エナ様…確かに…自惚れていました。」
「私は確かに…剣で殺りたいなどと…エナ様…気づかせてくれ…て…ありがとう御座います。」
「気にするな…シン…あの夕日をみろ…私の青春の夕日だ!涙は、心の汗だ!あのサ店で!茶ぁするか!シン!私のちょうちんブルマーも…フィーバーしてるぜぇ」シンは、エナの前に崩れ落ちた…
「俺のクリームソーダの財布も、寂しがってる!ウゴウゴルーガを見ないと!」
「銀座ナウを忘れるなよ!シン!」
「あのぉ〜シン?エナ?…昭和青春ドラマで盛りがってるようですが…ぁぁ…もう決着ついてるみたいなんですがぁ!」満里奈が…申し訳なさそうに声を出した…
ちょっと前!
「我はカリュブディス!家康、信長は何処だ…臆したか!」
「おい!田舎侍…妾の前で、刀を抜いたな?所詮は、田舎侍の田舎剣法…猿山の大将が都会に来て…怯えて、棒切れを振り回して…見苦しいにも程があるわ…覚悟は、出来ているのであろーのぉ!カニクイテェーだったか?」
そう、言ったのは、リンであった。
「ギャハハハ!違うよ、リン姉!カニクイテェーじゃないよ…カユイデス??だったかな!痒いのは…股間か?ギャハハハ」ヴァネッサが笑う。
「あなた達…お下品ね…カリがデカイデスよ!」アイリスが、言った。
「アハハハ!ギャハハハ!アイリス!カリってヤバくない?デカイデス??ヤバい!ハマった!」ヴァネッサとリンが、腹を抱えている。
「姉様達…違うます。コンヤワカレーデスって言っていました。」ミッシェルが言う。
「えっ?ギャハハハー!生まれは、何処?」
「まったく…違ますよ…失礼じゃないですか?彼は、カリニューブデスって言ってましたね…多分…ヴァルプルギスに入りたいのでは?カリニューブデス?ごめんなさい…女性限定の部なんで…」エマニュエルが言った。
「ぶっ!ギャハハハ!アハハハ!アハハハガハハハ、仮入部?アハハハ…あっヒヒヒ、腹が痛い!」
「で?なんだっけ?君は誰?」アシュラが言った。
「貴様らこそ誰だ?有名なのか?我は知らぬなぁ…例え聞いたとしても…我の前で、骸になる者の名など…興味はないがな…」
「アハハハ!大きくでたな…なら…斬り込んてみて…有象無象共には、速く見えるようだが…妾には、通用せぬぞ…田舎剣法など…」
「………そうか…なら……死ね」
目に見えぬ斬撃!!熱い熱風……!
「終わりだよ…口程にも無い………………!!!!なっなっ何?」
目の前には、笑っている六人の女神達…
「どうした…?速く斬り込まぬか?まさか…先程……、なにか…したようだが??あれが?斬撃…??」リンが、言った。
「姉様…違いますよ!あれは、ゴルフのスイングですよ!良く、駅のホームで、傘を使って、やってたオヤジがいたでしょう…アハハハ」アシュラが言った。
「あっいたいた!アハハハ!いたねぇ…」アイリスが言った。
「さて…どーぞぉー何回でも良いですよ!」リンが、笑う。
「馬鹿な…ありえん!死ね!死ねぇ」
烈帛の気合いと共に!打ち込まれる必殺の斬撃!
しかし…六人の女神は、カリュブディスの前でおしゃべりをしている…
「とうした?頑張れ頑張れ!アハハハ!」
リンは、あくびをしながら…カリュブディスを見ている。
「幻術か?幻か?有り得ない…」カリュブディスは、始めて震えた。
「なにか…策にはめられとでも?…とは言え…それを見抜けないなら…お前の負けだ…カリニューブデスだったか?オホホホ」リンが言う。
「やはり、幻術か何かか!武士とは思えぬな…卑劣漢がぁ!徳川の者は、まともな戦いも出来ぬのか!ペッ!」カリュブディスは、リンに向かってツバを吐いた。
空気が変わる…重い…濃い…息苦しい…
「………貴様…今…なんと?」リンが一歩前に出た。
巨大な波動が…辺りを包む…結界では無い!
リン アターナーからの殺気だ…純粋な殺意の範囲…プシケ中に溢れかえる…リンの憎悪!
リンの破壊衝動、殺戮衝動!虫一匹さえも逃さない、ましてや、徳川に反意ある者なら尚更だ……
…カリュブディスは、理解した。幻術などでは無い…そんな姑息なペテンでは無い…そうか…始めから私の刀は、届いてはいなかったのでは?…彼女に、睨まれた瞬殺…間合いを読み違いさせられていたのでは…私は、怯えていたのか?………会った瞬間から…負けていた?
「さて…カリュブディス…そろそろ死ぬ時間だ…そして、死して後、徳川に従え!永遠の!絶対の忠誠を徳川に示せ!徳川に参じよ!リン アターナーが厳命する。カリュブディス!!」リンは更に一歩前に進んだ。
周りでは、まだ生き残った輩が…恐怖のあまり…次々と死んでいく…そこには、死しかない…何人かは、心に決めた奴"リン様に、徳川に必ず参じよう"と決めた奴もいるようだが…
「この、気配…威厳…そうだ…」
「思い出しました…アターナー様…我が主人…この世界に戻って以来、常にあった…私の葛藤…居場所すら見つからない…孤独、絶望…不安…かつての友すら居ない…せめて、スキュラがいてくれたらと思う事もありました。グライアイの末席におくわえ下さい。私のマスター…」カリュブディスは言った。
「アハハハ!スキュラ!スキュラぁ!」リンスキュラを呼ぶ!
「おっ、カリュちゃんじゃない…元気してた?探してたんだよ!」キャンディは、カリュブディスの前に歩み出た。
「前から言ってたでしょ!アターナー姉様には逆らうな!刃向かうな…決して刃を向けるな…カリュちゃんは、弱いんだからね!」
キャンディはカリュブディスの頭を撫でた。
「そんな決まり?あったか?アハハハ」カリュブディスは笑った。
「さて…時間だ!死ねカリュブディス!」
リンの目が、赤く光る…極刑 極!!」
カリュブディスは石になった。
「アイリス、ヴァネッサ!この辺りの石を砕け!」
そこには、何十という石像が、立ち並んでいた。…
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