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幼馴染と仲直り

翌日。

臨海学校最終日はカレー作りだった。こういう行事ではもはや定番だった。

各グループでカレーを作ることになるのだが

健斗のチームは

健斗、遼、誠、奈々、ゆみ、みゆ だった。


「みんな頑張ろうな!」

遼は張り切っていた。


健斗は奈々と目が合ったが目を逸らされた。

お互いに気まずかった。

作業を分担した

健斗は誠と一緒に自ら米を炊く方に回った。

遼と奈々は食材を切る側だった。

あとのメンバーもそれぞれ仕事をしていた。


食材を切りながら遼は話した。

「炎城。健斗と喧嘩でもしたんだろ?見てて分かるよ。」


「うん。好きな人聞かれて言いたくないって言って色々あって喧嘩しちゃった。」


「なるほどな。さしずめ好きな人が目の前にいるか言いたくないって感じか?」


「え!!なんで分かるの?エスパー?」


「ははは。今までの経験かな。」

「健斗も気になるってことは炎城のこと満更でもないと思うから告白すればいいのに。」


「ゆみちゃんとみゆちゃんにもそれ言われたよ。でも、今はこの関係が好きだから。」


「そっか。2人は大変そうだな。ははは。」

「そうだ。おれにいい考えがある。」


一方、健斗は黙々と作業していた。

「なあ、健斗!お前今日静かだよなー。」


「そんなこともあるよ。」


「いや、特別静かだ。」


2人の元に遼が走ってきた。

「おい健斗!交代だぜ。お前今度切る方な。」


「な、なんで急に。」


「お前炎城と喧嘩したんだろ?仲直りするチャンスだ。」

「このまま喧嘩されてるとせっかく作ったカレーが不味くなっちまう。」

「やっぱり美味しいカレーが食べたいしな。」


「分かった。行ってくるよ。」

健斗は重い足取りで奈々の所に向かった。


奈々は硬い食材がきれなくて苦戦していた。

「貸して?ぼくが切るよ。」


「けんちゃん...」


奈々も食材を切り出した。

2人は黙って切っていた。

「痛っ!」

奈々が指を切った。

健斗は奈々の指を吸った。

「ち、ちょけんちゃん。」


健斗は絆創膏を取り出して貼り付けた。

「今日の時を想定して準備してたんだ。」


2人はその場で固まっていた。

「奈々。昨日の夜はごめん。奈々の気持ちなんて考えていなかった。おれに言いたくないこともあるよね。」


「私こそごめんね。」


「よし、仲直りの儀式しよう。」

健斗は手を出した。

奈々も手を出した。

2人は握手した。


昔から喧嘩して仲直りをするときの恒例行事だった。

2人は仲直りした。

そしてカレーも完成した。


そのカレーは最高に美味しかった。2人の今の気持ちが味に現れているようだった。

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