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神域回廊  作者: 亜空間モドキ
第2章 新たなる1歩
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第25話 衝撃の顔

 鬱蒼とした森でギルダーの一行が骨を休めている。


「良い感じに腹も満たせたしそろそろやりますか。」

ハジメが腹をさすりながら言っている。


「続きを始めましょう。」

ミサキのその一言でここにいるギルダー達は動き出した。


さっきの猪の件で俺達の作業進捗は遅れている。

巻き気味でマーカーを着けていかなければならない。


俺達4人は急ぎ足で作業を再開した。

当然警戒は怠らない。


森を進むとあちらこちらに魔物の死骸が転がっている。


俺達は手際よくそれらを片付けていった。


「あ?なんだ?。」

森を進んでいると磁石で引っ張られている感覚に陥る。


神域回廊(パンドラ)の境界よ。左に回りましょ。」

ミサキが短く指示を飛ばす。


神域回廊(パンドラ)の範囲はそれぞれ決まっている。

境界に近づくと同極の磁石を近づけたように反発力が発生する。

つまり範囲より外に進むことは出来ないのだ。

景色は変わらないので気が付かず魔物に追い詰められてしまうことに注意しなければならない。


「お。もう境界か。折り返しってとこか?」

ハジメが嬉しそうに言った。


「まだ1回でしょ。あと3回は折り返さなきゃならないわ。」

ハルカが少し呆れるように言った。


「もう神域回廊(パンドラ)に入って5時間になる。」

「次ぐらいで撤収になるんじゃないか?。」

俺は時計を確認しながら言う。


転移陣からいくらぐらい歩いただろうか。思っていたより消耗が激しかった。

あそこで猪に襲われたのが何よりきつかったのだが。


俺達は気をとり直して作業を続ける。


しばらく作業に集中していた時だった。


「止まって。撤収よ。」

ミサキが空を見上げている。


俺たちも続いて上を見上げた。


緑の狼煙が上がっている。

討伐隊が上げたのだろうか、撤収の合図だった。


「あ~腰が痛てぇ~。さっさと帰ろうぜ。」

ハジメが気の抜けた声を上げた。


同感だった。


動き回っていたせいで体中が悲鳴を上げている。足は棒になっていた。


俺達はマップを再確認してから転移陣へと戻った。

途中で運搬隊とも合流して話に花を咲かせる。大概は愚痴だったのだが。


神域回廊(パンドラ)から出てくるとギルダーの人だかりが出来ていた。

残地組が出入記録を取っている。

俺達も役割を伝えて帰りの装甲車に乗り込んだ。


クエストといっても大所帯になれば大変だな。

役割分担している分、収穫も多いのだろうが、俺は苦手だった。


そんなことを考えている内に眠ってしまった。

この座席はなんとも居心地がいい。疲れた体を癒してくれるようだった。


「タケシ起きて。着いたわよ。」

ハルカの呼びかけで俺は起きた。


どうやら移動時間中にぐっすり眠ってしまったようだ。


外はもう日が暮れている。


ギルド支部は若干の賑わいを見せていた。


仕事を終えて食事を摂る者、装備を返却して家路に着く者といろいろだ。


ロビーに入ると見知った顔触れが集まっている。

同じクエストを受けたギルダー達だ。


今日で攻略とはならなかった為、続投の指示を待っているのだろう。


「待たせたな諸君。」

所々に土汚れがあるギルダーが入ってきた。このクエストの責任者だ。


「続投の詳細は先ほどデータで配布してある。」

「だがわざわざ集まってもらったのは直接聞きたいことがあったからだ。」

責任者のギルダーがそう言うと脇からモヒカン頭のギルダーがぬっと姿を現した。


「このクエストにこの魔石を有した魔物を討伐した者がいるはずだ。」

「知っているものはおるか?。」

モヒカン頭が魔石を掲げながら大声で聞いてきた。


ざわつく一同。


「あ、あの。それを倒したのはこの人達です。私達が解体して運搬しました。」

今日の昼飯を作ってくれた女性ギルダーが俺達を指差しながら言った。


「お前達が倒した。間違いないな?。」

モヒカン頭が凄みを効かせる。


俺は頷いた。


「そうかお前が、、、。」

モヒカン頭が俺だけを見ている。


あれ?他の3人は頷かなかったのか?。


「他の者達は解散してよし。明日も頼むぞ。」

責任者のギルダーはそう締めくくった。


ぞろぞろと他のギルダー達は解散して、この場を後にする。


俺達はこの場に取り残された。


「詳しく聞きたい事がある。ついてこい。」


俺達はプロパーティーの人達と別室へと向かった。


そこまで大きくない一室に入る。

中央にソファーとテーブルがあり、壁には一面のスクリーンが展開されている。


席に促され全員座った。


「まずは記録を出してくれ。」

モヒカン頭が言う。


横を見るとハルカとミサキがゴーグルでなにかポチポチやっている。


俺のゴーグルにも同期の印が出た。

どうやら俺たちの分も合わせて提出してくれたらしい。


後でやり方を聞いとかないとな。


「ふむ。次は言質だ。」


スクリーンに最初に倒した方の猪が映し出される。


「この魔物はパーティーで協力して倒した。間違いないな?。」

モヒカン頭は続けた。


俺達は頷いた。


「そして、これは?」


画面が切り替わって真っ二つにされた猪が映る。


「俺が1人で切りました。」

俺は自信なさげに言った。


「何!?。 1人でだと?。」

「信じられねえ。」

「そんな、まさか。」

プロの連中が口々に驚いていた。


「この個体を切った武器は、いま身に着けているそれか?。」

ここで責任者のギルダーが口を開いた。


俺は小さく頷いて、腰から刀を抜き取ってテーブルに置いた。


「拝借してもよいか?。」

モヒカン頭が聞いてくる。


「触らない方がいいです。その日本刀は呪われています。」

俺は淡々と忠告した。


「いや、しかし、、、。わしは確かめねばならんのだ。」

モヒカン頭はそう言って、恐る恐る刀に手を伸ばした。


バシイ!。という音と共に手を弾かれたモヒカン頭は目を見開いている。

「なんと!。」


ハジメが堪えきれずに吹き出した。

経験者は語るってやつか。


ハルカもハジメにつられて、顔を歪めながらハジメをバシバシ叩いている。


そんな2人もプロの1人に睨まれて、沈黙した。


「この刀は今回のクエストで発見しました。」

「呪いがあるかなんて分からずに手を出してしまい、申し訳ありません。」

俺は素直にそう言った。


ここで嘘をついたところでどうにもならないのだ。


「呪いの件、相分かった。この事はしかるべく筋に報告する。」

モヒカン頭は片手をさすりながらそう言った。

よほど痛かったのだろうか。


「聞きたいことは以上だ。今日はご苦労だった。」

「明日に備えてしっかりと休め。」

責任者が締めた。


俺達は部屋を後にする。


「もう!。あんなところで笑わないでよ。つられたじゃないの。」

ハルカが冗談半分に怒りながらハジメに詰め寄った。


「悪い悪い。モヒカン頭であんな顔されたら誰だって笑うだろぉ?。」

ハジメは笑いながら言った。


「フフ。」


俺は聞き逃さなかった。あのミサキが笑っていたのだ。

ぐぬぬ。めちゃくちゃ萌える。


俺達はそのまま装備を返却してから食堂へ向かった。


一日中動き回っていたせいで体がエネルギーを欲している。


味付けの濃いギルドの食事は仕事後にぴったりだった。

しかもギルド特製ドリンクがめちゃくちゃ美味い。

何もしてない時に飲んだ時はただの酸っぱい飲み物だと感じたのだが、

今飲んでみると甘い。ねっとりと残る甘さではなく、飲んだ後もすっきりだ。


不思議なものだな。肉体の疲労度で味が変わる飲み物だなんて。


俺達はおなか一杯食べてからギルドが運営するホテルへと向かった。


このクエストは大規模だったので遠方から来るギルダーには宿が割り振られている。

俺達は遠方といえども隣街だったのだがせっかくなのでご利益にあやかろうという魂胆だった。

もちろんお代はギルド持ちだ。遠慮することなんてなかった。


それぞれの個室入り、風呂に入る。


ベットで横になって明日の事でも考えようと思った時には眠りに落ちていた。


こうして初めてのクエスト初日を終えたのである。





















最後までご覧いただきありがとうございます。

24日、25日休載となります。

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