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神域回廊  作者: 亜空間モドキ
第2章 新たなる1歩
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第21話 激突

 俺達はギルドが用意した乗り物に乗って、今回の目的である神域回廊(パンドラ)へ向かっていた。

人数が多いので複数台に分かれての行動だったが、俺達は同じ乗り物に乗ることが出来た。

この乗り物は街で見かけるバスとは違った。形は似ているのだが窓は少なく、装甲に包まれている。

さながら装甲車のようなものだった。


乗り込んでみてさらに驚いた。

空間の使い方がめちゃくちゃ上手い。大きさの割には10人くらいは乗れそうな雰囲気だ。

乗るというよりは収納に近いかもしれないが、窮屈ではなかった。

しかもゴーグルと車外のカメラが連動しているので、外の景色を見ることも出来る。


装甲車が移動を開始した。

次第に街から離れていく。


ゴーグルに映る情景を見てハジメが口を開く。

「街1個分って言っても、街の中じゃねえんだな。」


「当たり前でしょ。」

「聞いた話では山向こうの森らしいわよ。」

ハルカが補足を入れた。


「森か。 山じゃないだけありがたいな。」

俺は少し想像しながら話した。


山全体が神域回廊(パンドラ)だった場合は最悪だ。

移動に体力を使うし他のパーティーとも連携が取りにくくなるだろう。

迷えば死を覚悟しなければならない。


「そういえば森ってどんな魔物が出るんだ?。」

ハジメが純粋な疑問を口にした。


俺は前回の(ニワトリ)の姿が頭をよぎる。

あれは強すぎだ。流石に今回はいないだろう。


「既に調査されている情報によると、虫系や獣系は当たり前として幽霊系も出るみたいよ。」

ハルカは特殊コンタクトから映し出される情報を読み上げた。


「幽霊系?。」


俺とハジメの声が重なる。


ミサキはそんな俺たちの反応を面白がりながら続けた。


「一般的には人魂って呼ばれているものよ。」

「夜にしか出てこないんだけど、纏わりつかれると幻覚を見せられるのよ。」

「実体が無いから物理的な攻撃は出来ない。お互いね。」

「その代わりに光に弱くて、フレアぐらいの光源で対処できるわ。」


なんだ、ビビッて損をした。

夜までには撤収するだろうし

ましてやそれぐらいの相手なら手こずることもないだろう。


「あくまでも調査段階での情報しかないから、過信は禁物よ。」

ハルカはそう締めくくった。


流石はハルカだ、しっかりとしている。


そういえば彼女達の実力を俺たちは完全には知らない。

ミサキの剣戟をチラっとしか見てないのである。

ここは彼女達のお手並み拝見と行こうではないか。


俺は大船に乗ったつもりで道行く景色を眺めていた。

ハジメも同じような様子だった。


しばらくすると街並みが減っていき山道に入る。

次第に胸が高鳴った。


俺たちは小さいころから遠出なんてしたことが無かった。

親がニートでたまに稼ぎに行く程度だった為に贅沢なんて出来なかったのだ。

精々、自転車で隣街に行くことぐらいが関の山だった。

それがギルダーとして神域回廊(パンドラ)攻略の為に見たことも無い土地に遠征している。

たったそれだけなのだが、正直楽しい。


右に左にと揺れる乗り物に若干の吐き気を催していたが装甲車が動きを止めた。

どうやら目的の神域回廊(パンドラ)に到着したようだ。


座席が自動で動いて降ろされる。

なんか出撃って感じだな。


俺は伸びをしながら辺りを見回した。


目の前にやや大きめの神社があって、その神社の周辺には深い森が広がっている。

一体どれだけ広いのだろうか。

1日ではまず無理だな。俺は勝手にそう判断する。


装甲車が到着して続々と他のギルダー達も降車してくる。


それから間もなくして全体の指揮を執っているプロのパーティーが先導を始めた。


すると突然、ゴーグルに最新のデータが入ってきた。

この神域回廊(パンドラ)の詳細情報とマップだ。

この先の神社の聖域に入ってしまえば通信機は使えない。

アナログ式だけが頼りとなるのだ。


時間軸は「+0,2」を表している。

ほとんどこちらと変わりがない。若干早いくらいか。


夜までは潜らない。日が落ちる前までにこちらに戻ってくるというのがこのクエストの原則だ。

さっき送られてきた情報によれば、数日かけて攻略することに変わったようだ。


ぞろぞろと神社の鳥居をくぐる一行。


聖域内を進んでいくとこじんまりとした本殿がある。

その前には囲いを設けられた神域回廊(パンドラ)への転移陣が青く光っていた。


全員が到着すると代表のギルダーが大きく声を上げた。

「これよりクエスト開始となる。詳細は先ほど示した通りの手筈だ。」

「全体の安全を優先し、パーティーごとの連携を忘れるな。」

「それでは、行くぞ。」


その声に続いてギルダー達が歓声を上げた。


いよいよ始まるんだ。

俺達もみんなと一緒に声を上げる。


そして先遣隊が転移陣へと消えていった。

続いて討伐隊、俺達の調査隊も続く、その後ろには運搬隊が続いている。


俺達も転移陣に入る。


なんだか懐かしい感じだ。

前回から少ししか経っていないというのに、そう感じた。


後続の邪魔にならないように転移陣から離れて周囲を確認した。

神社を出ていく討伐隊の後ろ姿が目に入る。


俺達は少し急ぎ足でその後を追いかけていった。

所々に倒された魔物の亡骸が転がっている。

仕事が速い。


すかさずハルカがゴーグルでパシャパシャとやっている。


「なにぼさっとしてるのよ。」

ミサキがそう呟いた。


「あ、ああ。悪ぃ。」

ハジメが即座に反応して亡骸を1か所に集める。

俺もそれを手伝った。


ミサキがそれに小粒ほどのマーカーを置くと一筋の黄色い線が空へと照射される。

ゴーグルを通して見ると黄色い線が拡大反射されている。


なるほど。狼煙みたいに使うんだな。


「次、行くわよ。」

ミサキは短くそう言うと討伐隊が行った方向へと歩みを進める。


正直言って知らない事ばかりだった。

なんか少人数でわちゃわちゃやってる方が性に合っている気がする。

俺たちが今やってるのもほとんど肉体労働だ。


「リハビリにしちゃあキツイぜ。」

「俺たちはロボットかよ。タケシもそう思うだろ?。」

両手いっぱいに潰れたダンゴムシを抱えたハジメが愚痴をこぼしている。


「まあしょうがない。これが仕事ってやつさ。」

「彼女達にやらせるわけにもいかないだろ?。」

俺はでかい鼠の亡骸を引きずりながら言った。


調査とは名ばかりで、先遣隊や討伐隊が倒した魔物を出来るだけ集めて、

後方の運搬隊に知らせることが調査隊の役割なのだ。


「運搬隊より幾分かマシだ。」

俺は一息ついてそう言った。


外れ役とは言いたくないが、運搬隊はこれらを回収しなければならない。

そっちも相応にキツイはずだ。


「右前方警戒!。」

ふいにハルカが言葉を発した。


待ってましたと言わんばかりにハジメがダンゴムシを投げ捨てる。


「お前は後衛だろ。おとなしくしとけ。」

俺はそう言って槍を手に前方へと掛けた。


しゅん。と落ち込むハジメの姿が横目に映る。

打たれ弱すぎだろ。


瞬時に4人の陣形が完成する。

我ながら良い反応だ。


前方に目を凝らすと生い茂った藪がガサゴソと音を立てている。


ハルカがゆっくりとライフルを用意するのが音で分かった。

一瞬の静寂の後、2メートル程の大きな猪が姿を現した。


でかいな。 まともに正面からは受けられない。

力比べでは猪には遠く及ばないだろう。


猪は俺達に気が付くと前足で地面を掻く。

少し重心が落ちたと思った瞬間に、物凄い速さで突っ込んできた。


「回避!。」

俺はそう言うのが精いっぱいだった。


横へステップを踏んで避ける時に槍を猪の体に合わせた。

しかし毛皮が硬く、弾かれる。


後ろを振り返ると3人とも左右に避けていた。

流石だ。


猪は体勢を立て直して、なおも突進してくる。


バコン!という大きな音とともに猪がよろけた。


ミサキが放ったプラズマ弾である。


だが猪はそのまま突っ込んできた。


[

「きゃっ!」

次弾を装填していたミサキが逃げ遅れて猪に突き飛ばされた。

ライフルが俺の近くに落ちる。


「ミサキ!大丈夫か!。」

ハジメが彼女の元へと駈け寄る。


ハルカはなんとか猪の標的を自分へとずらそうと位置を変えている。


猪は前足の付け根から血を流してはいたが、尚も突進しようと姿勢を変える。

最初よりは勢いが落ちているものの、その威力は脅威だ。


俺は落ちているライフルを手に取ってミサキの元へと駈け寄る。


だが、猪の突進の方が速かった。


「2人とも避けろ!。」

俺は叫んだ。


タケシは両手剣を手に猪に立ち向かった。





























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