第9話 ギルドマスター
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毎日AM9-11頃には投下出来るようにがんばります。
夕暮れ時の繁華街には似つかない、大きな建物の前に5人の学生がいる。
俺たちはあのまま神域回廊を出て。その足でギルドの支部まで来ていた。
俺たちが住んでいる場所は日本の中でも田舎のほうにあたる。
そこまで大きくもなく、小さすぎるというわけでもなく、特に際立ったものがあるわけではなかった。
それでもここにあるギルドの大きさはには、目を見張るものがあった。
このギルド支部を拠点にして、さらに細かい分屯所が俺たちの街にはあった。
日本の都会には、このギルド支部より大きな支部や本部まであるというのだから驚きを隠せなかった。
なんでも、このギルド支部は彼女達の引率がなければ近づく事も出来なかったというのだから
いかにギルドというものが世界で確立されている組織だというのを肌で感じることが出来た。
俺たち3人は驚愕に驚愕を重ねていた。
口をあんぐりと開けて、声も出ない様子の野郎が3匹。
「噂には聞いてたけど、ここまででかいなんて知らなかった。」
マナブがキョロキョロと周りを観察しながら言う。
この辺りを道行く人たちは、こぞって彼女達と似たような恰好をしていた。
時折、いかにも強そうな装備に身を包んだ人達もいた。
「かっけぇな。俺もギルダーになろうかな。」
ハジメが若干上ずった声で言う。
大きな正面玄関を通り、検査ゲートに近づく5人。
彼女達がなにやら係の人に言葉をかけて身分証を見せている。
俺たちは荷物を持ったまま検査ゲートを通り過ぎる。
検査ゲートを監視していた職員に一瞬睨まれたが、そのまま通る事が出来た。
とても大きなロビーには、さまざまな装備に身を包んだギルダーがいた。
机で向かい合って真剣に話をする者、柱に背中を預けて誰かを待ってる人、
カウンターに備え付けられた機械で、なにやら作業している人達。
「あんたたち、めずらしいのは分かるけど、逸れないでよね。」
ハルカが肩越しに注意を促す。
俺たち3人は完全に遠足のような気分だった。いや校外学習か。
見たこともない機器やギルダー達の最新装備。時折漂ってくる、御馳走の匂い。
そこには俺が求めていたロマンがあった。
ロビーを抜けた先にこじんまりとした受付がある。
彼女達はそこにある機械にのぞき込んでから身分証を入れていた。
その後になにやらポチポチと操作をして少し待つ。
受付の奥から男性のスタッフが出てきて、俺たち3人を何かと見比べているようだった。
その男の人は小さく頷いて、受付の横にあるエレベーターの扉を開けた。
彼女達はそそくさとそのエレベータに乗り込む。
俺たちも一拍遅れて、彼女達に続いた。
このエレベータが凄かった。
全面透明のスクリーンが展開されており、様々な情報とリンクすることが出来る様子だった。
挙動自体も上下左右、斜めに動く。そのくせ、揺れや振動は微塵も感じない。
俺たちが知っているエレベータとはかけ離れていた。
「どこに連れて行かれるんだ?俺たち」
少し怪訝そうにハジメが聞いた。
「今からこの支部の所長に会うのよ。」
「私達が話すから、聞かれたことだけ答えなさい。」
ハルカは腕を組みながら説明する。
そう説明し終わるや否や、目的地に着いた。
広い通路を通り応接室に入る。
途端にロボットがお茶を持って来て、俺たちを席に促す。
「このお茶、めちゃくちゃうまいぞ。」
「このソファふかふかだな。寝れる。」
「すげぇ内装。校長室が物置みたいだぜ。」
俺たちがヒソヒソと小声で会話する。
「録音されてるわよ。今の会話も。」
ミサキが冷めた目でそう諭した。
ぎくりとした。
途端に黙って俯く3人。急に恥ずかしくなったのだ。
するとカツカツと軽快な靴の音と共に1人の男が姿を現した。
髪は短髪でスラっとした体形の40代くらいの男性。
「やあ、待たせてしまったかな?すまないね。」
「私はここの所長を務めている、宮澤だ。よろしくね。」
一方的に弾丸のような速さで言葉を吐く。
俺たちは少し呆気に取られた。半分も聞き取れなかったのだ。
忙しい所以の早口なのだろう。
「君たちの事は彼女達からの情報を元に調べて・・・」
途端に宮澤がフリーズする。
何か新しい情報が入ったらしい。
神妙な顔で何かを見ながら口をパクパクさせていた。
まるでCPUが故障した、中古のロボットの様だ。
横を見ると、ハジメがクスクスと笑いを押し殺していた。
分かる。俺も吹き出しそうだった。
「はい、すぐに。」
宮澤は短く言葉を発すると、自分が来た廊下の方へと目を向けた。
カツカツと大きな音を立ててもう一人の大柄な男性が姿を現した。
髪はきちんとまとめられていて、大柄なのにビシっとした印象を受ける体。
歳は50代くらいだろうか、露出した肌には大きな古傷が、ちらほらあった。
「突然ですまない。」
大柄な男は短く、宮澤に言った。
その大男はゆっくりと舐めるような目つきで俺たちを見る。
その鋭い眼光にはどこか見覚えがある。
「ギルドマスターの「エン」だ。」
短く、それでいて力強い声でその男が言った。
「ギルドマスター?」
小声でマナブが俺たちと目を合わせる。
ギルドマスターとは「マスター」ランクに上り詰めた達人の事である。
世界各国で見ても数えるくらいしか居らず。日本には2人しかいないという。
「早速だが、俺がこの辺境の支部まで来た理由は、 佐藤 タケシ。君だ。」
鋭い眼光を向けながらエンは言った。
身に覚えしかない事で動揺する俺。
あの婆さんとの取引がバレたのか? それとも違法に魔石を取ってたことか。
足りない頭で考えても分からなかった。
ふぅ。と一拍置いて、エンは続けた。
「あの神域回廊で手に入れたものがあるだろう?。」
「見せてくれ。」
うーん2択。だ。 魔石かあの鏡か。
俺は少し悩んだ末にポケットからあの手鏡を取り出した。
宮澤は少し驚いた表情を見せた。
一方、エンの方は、、、さらに厳しい顔になっていた。
手鏡を受け取ろうとして、エンの手が止まる。
「やはり。か」
エンは確かめる様に言った。
続けざまにエンは俺に言う。
「その鏡を机において、後ろに下がれ。ゆっくりとな。」
なんだこのジジイ。
俺はそう思いながらも素直に従った。
鏡を机に置いて、一歩。また一歩と距離を取る。
すると鏡が離れると同時に腕が痺れてきた。
まるで電気風呂の電極に腕を近づけ過ぎた時のように、あらぬ方向に腕が曲がる。
「いででででで。 これ以上は無理です。。」
俺は絞り出すように言った。
「わかった。もういい。」
エンは片手で制した。
「ところで、この鏡は一体・・・」
マナブがエンに言葉を投げかけた。
ナイス質問だマナブよ。
ギロリとエンがマナブを睨む。
「ヒッ!。」と小さく声を出して、マナブは下を向いて沈黙した。
ドンマイだマナブ。
「まあいい。 この鏡は呪われたアーティファクトだ。効果までは分からんがな。」
「現時点でお前は呪われている。これからは肌身離さず持っておくことだ。」
エンは鋭い眼光のまま俺に向けて言った。
「呪いは解除出来ないんですか?」
俺は震える声でそう質問した。
「無理だ。現時点ではな。」
何か含みのある答えが返ってきた。
エンは宮澤に一瞥した後、そそくさと去っていった。
「なんか嵐みたいなおっさんだったな~。」
ぽつりとハジメが呟いた。
途端に俺とマナブを除いた3人に睨まれるハジメ。
あっ。と声を出して謝罪するハジメ。
口は災いの元だぞ。友よ。
「あの方は、俺より忙しいからね。無理もないさ。」
「ところで、君たちの報告書を読んだけど、見つけたという妖怪について詳しく教えてくれるかな?。」
相変わらずの速さで宮澤は俺たちに聞いてきた。
俺たちは{のっぺらぼう}の特徴やその出現兆候などを詳しく説明した。
「なるほどね。」
宮澤は短く答えて、なにか考えている様子だった。
その後、あの神域回廊発見云々については深く言及されることはなかった。
彼女達がうまいことやってくれたのであろう。
「ところで、君たちはギルドに興味はあるかい?。」
唐突に宮澤が質問してきた。
俺たちは口々に自分の考えを述べる。
俺とハジメはギルドに興味があったが、マナブは進学を考えているようだった。
「まあ、いずれにせよ君たちなら大歓迎だ。」
宮澤はそう言って話を終える。
宮澤に一礼して俺たちはロビーまで戻ってきた。
神域回廊で手に入れた魔石を換金してもらうのだ。
彼女達の指示のもとカウンターで魔石を交換する。
俺たちがいつも行っていた商店の倍近い金額でギルドは交換してくれたのだ。
あの婆やっぱり、ぼったくってたか。
過ぎたことは仕方がない。
俺たちは軽い足取りでギルド支部を後にするのであった。




