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オーバーフロー 〜レベル0と表示された俺は、実はカンスト超えレベル65536だった〜  作者: 月影光貴


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第9話 世界に認識されない者

 7月10日

 いつものメンバーになりつつある3人達は放課後に高レベル能力者の登録をしに政府の施設に向かった。


「いやー、しっかし信用できるのか?」


 政府に対して懐疑的な零。

 そもそも3人は知らないが政府はもうヴォイドアプリを使ってある程度は誰がどれだけ強いか把握しているのだ。


「でもしなければ役人が家に来るししつこく入れ入れー! ってやるつもりらしいから回避不可!」


 ホブゴブリン討伐で名を上げている時点で政府は意地でも来るだろうしなぁ。


 初音は手持ち扇風機を使いながら面倒ごとに憂う。

 

「そうね、少しでも怪しかったらやめましょ」


 そして施設に着くと零は見上げた。力を持つ者の管理は当然だが保護なのか監視なのか、政府の思惑はどこにあるのか、それはまだわからない。


 中に入ると待機列に案内された。今日の分は零達で終わりだ。

 その中の人間は子供からおばさんまで幅広く集まっていた。


「次の方〜」


 職員に呼ばれ暁が前に出て機械に手をかざした。


 いつものステータスが表示され戦闘適正がAと評価された。


「素晴らしい数値です!」


 職員は驚く、それを見て俺らは70レベル付近はあまりいないんだなと呑気に思った。


 次に初音がやると戦闘適正はCだったが補助向けと表示されたので優秀な部類らしい。


「そして最後は零さん」


 空気が変わる、無理もないオッドアイで巨体な上にホブゴブリンを倒したチームのリーダーと思われているからだ。


「ホブゴブリンを殺した人……」 「レベル0……」


 零はお構いなしに手をかざす。だが機械はエラー。

 

【測定開始】

【個体確認】

【エラー】

【再試行】

【エラー】


 職員の顔が引きつる、やはり零は異端者なのだろう。こんなエラーは今まで起きなかったらしい。


「故障でしょうか?」


 別の職員が確認する。

 しかし、画面には一つの表示だけが出ていた。


【測定不能】


「……またかぁ」


 零は笑う事しか出来なかった。

 すると突然。零のスマホが震えた。


【警告】

【システム外個体を確認】

【権限照合】

【管理者権限】

【認証】


 零の顔から笑みが消える。


「……」


 誰にも見えない画面、自分しか確認できない画面。

 そこには。


【梶原零】

【世界個体登録】

ERROR

【所属世界】

未登録


 という文字だ、零は自身が地球にとって異物なのだろうかと考えた。

その文字を見た瞬間、零の胸に嫌な予感が走った。人間なら、この世界に生まれた存在なら、こんな表示が出るはずがない。

 

「俺は……本当に人間なのか……?」


 その時、施設内に警報が鳴り響いた緊急速報。

『東京都星ヶ原区付近にヴォイド発生』


 全員が顔を上げ、職員が叫ぶ。


「避難してください! ここから1キロ圏内にヴォイドが顕現! あなた方はまだ正式な登録者では無いので戦闘は避けてください!」


 しかし、零達だけはスマホを見ていた。


 ヴォイドマップにある赤い点。


 そして【推奨レベル50】表示されている


「……」


 零は拳を握る。怖い、正直に言えば怖いのだ。昨日(さくじつ)の戦いだって、死ぬと思った瞬間はあった。


 でも思い出す。あの日、誰かが守らなければならなかった。それが自分たちだった事を。


「行くぞ」


 凛と初音が見る。


「零?」


「俺はレベル0だ、だがな守れる力があるなら、使う」


 初音が笑う。


「やっぱり、かじはそう言うと思った」


 凛も小さく笑った。


「仕方ないわね」


 三人は走り出す。


 世界から存在を否定された青年でレベル0の少年。


 しかし、誰よりも先に戦場へ向かう。

 ——それが梶原零だった。


 そして走って新たなヴォイドに着くとゴブリンだけではない、動き回る骨だけの魔物に、1メートルくらいの蜘蛛がいた。


「うえっ、キモッ!!」


「そうか? 俺は虫好きだけどな……ってそれより武器だよ武器! 俺どうすんのさ!」


「あなた、そう言えば努力でスキルを得ていたわよね? ちょっと武器持っているように構えて動いてみたら?」


「えっ!? こ、こうか?」


 素振りの動きをエアでしたらスマホが震えて通知が鳴る。


——

【異常条件を確認】

努力を確認。

適性を確認。

アクティブスキルを獲得します。

【刀剣精製Lv1】

——


 その表示とともに亜空間から急に刀が放り投げられたように出てきた。


「えっ……えっ??」


「やっぱかじパイやべー!」


「とにかくそれで戦うわよッ」


 3人は隠れるのをやめて攻め込んだ、新たなヴォイドに。そして3人は知る、ヴォイドの内部がダンジョンになっている事を。

バグまみれ

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