第10話 ヴォイドはダンジョン
「ふぅ……始末したな。しかしここに入るのか……」
3人はモンスターを即座に始末。
零は20メートルもある裂け目、ヴォイドを見上げた。
「良いから入りましょ」
「肝が据わっているね〜」
初音は感心しながらも自分も躊躇いなく入った、残された零は焦って入る。
「ちょっ! お前ら早いんだよ!」
ヴォイドの境界を超えた瞬間だった、空間が景色が歪んでいった。
視界は白く染まり、次の瞬間は見慣れた街並みでは無い、石畳の足元に、壁も天井も石で積み上げられ等間隔で並ぶ松明が炎を灯していた。
湿った空気に肌に纏わりつき、どこからか水滴が垂れる音だけが響く。
初音は思わず口を開く。
「すげー! これダンジョン!? 映画とかゲームじゃん!」
外からは黒い穴だったが、内部は地下迷宮の様に広がっている様に見える。
「空間が歪んでいるのね……」
凛はキョロキョロと辺りを警戒している。
「だな」
3人のスマホが震えた。
——
【ヴォイド】
推奨レベル50
攻略開始
——
「攻略かぁ……」
零は眉をひそめた。
「つまりは出口があるのよね? それで終わりかしら?」
「ゲームならそうだね! 最後はボスを倒してチャンチャン! ……でも私のレベル42だから適正じゃないのよね……」
「後方支援だから大丈夫さ、それよりおいでなさったぞ」
零は奥を指差す、その先には動く骸スケルトンだった。その手には錆びた剣が握られていた。
錆びた剣を床に擦る音、赤いビー玉の様な目。
更に壁を這う巨大蜘蛛が3匹
「うわぁ、キモっ!?」
「蜘蛛は益虫だし可愛いぞ? こいつは違うが」
「かじの感性どうなってんの!?」
そんな事を話していると3人に向けて糸を放つ。
「左ッ」
凛の声に反射的に身を捩った零。
白い糸は肩をかすめて、背後の壁に張り付いていた。
「助かった!」
「話すな! 骨は4体もいるわッ」
スケルトンは剣をカタカタと揺らし上げた。
零は空中を掴む様に右手を上げ伸ばした。
「来い! 刀っ!」
——
【刀剣精製Lv1】
発動
——
空間が揺らぎ、隙間から一振りの日本刀が零の手元に出現。
「出たぞ!」
そのまま踏み込みの姿勢に入る、剣道日本一の踏み込みだ。
「めぁああぁあんんん!!!」
奇声と共に鋭い一閃、だが錆びた剣で受け止められた。
「読みができるならフェイントだ」
と言った瞬間、想定外の速度で切り付けられ焦ってしゃがむ零。
「危ねぇ! 身軽だから早いのか?」
再度ジリジリと距離を詰めると、思い切り上に刀を上げるとそれに見事に釣られた、ボディがガラ空きのスケルトンの胴体を斜めに切った。
「剣術は知らない。でも踏み込みなら負けないぞ!」
だがしかし、
ガキンッ!
「えっ!?」
なんと容易く刀身無惨にもガタガタになり折れた。
「おい嘘だろ!?」
刀の重み……そうだ剣道と剣術は似て非なるモノ……剣術を学ばなくては……
そう考えている隙を狙い蜘蛛が突撃。巨大な牙が彼を襲う。
「危ない!」
初音は手を銃のポーズにすると青い魔法陣をてんかいした。
「魔弾!!」
ドガァン!!
青い球は蜘蛛を破裂させた。
「私こんなに強いの!?」
「ナイス!」
零に褒められた初音は顔を赤くして喜ぶ。
「えへへ〜、初音ちゃん頑張りますよ〜!」
その瞬間、零のスマホだけが鳴った。
刀剣再精製の一言だけだった。
「えっ?」
折れた剣は光となって消え、新たな刀が零の手元に現れる。そうこれは無限なのだ。
「壊れてもまた来てくれるのか! 無限か?」
「武器の無限精製ねえ……」
凛は驚きつつも興味深そうに刀を見る。
戦闘演算を発動し、高速で情報を処理し始めた。
視界の端には予測軌道が浮かんだ。
「零、一体は任せるわ」
「あいよ!」
撃破予測時間。
「2.6秒」
そう言うとスケルトンが切り掛かって来たがハラリと回避。
カウントダウンを始めるとスケルトンの手首をへし折り武装解除をした。
「ッ」
そして抜き手で脊椎を破壊して崩れ去るタイミングで、丁度蹴るには良い角度になったところで蹴り上げて粉砕し切った。
「コンプリート」
適正から20レベルも高い彼女にとっては赤子の手を捻るより楽勝だった。
一方で、零も奮戦。
「ハッ!!」
踏み込んだ瞬間、相手の反応速度を超えた攻撃により四肢が胴体から切り離され、髑髏の眉間に刀を突き立ててトドメを刺した。
が、しかし。
「ぎゃー、助けてー!!」
それに2人は振り返ると蜘蛛の巣に絡まって、それに襲われかけていた。
「マズい、私の攻撃距離範囲外ッ」
「なら刀を投げるに限るッ!!」
蜘蛛をしっかりと捉えた投擲は頭を潰した。蜘蛛の糸をパッパと2人で取ると、また元気になる初音。
「あざす! 死ぬかと思ったよぉ……パイセン達やっぱ強いわ」
「あなたの魔弾の方が非現実的で羨ましいわ、こっちはただ殴って蹴っているだけだし」
「まあ、そのうち何かのスキルでマジカルなの手に入るよ」
と慰めつつも歩く、そうしていると分かれ道が出て来た。
「どっちが正解だこれ?」
「ゲームならどちらか行き止まりでお宝があるよ!」
「とにかく私右利きだから右行きましょ」
2人はなんつー理由で決めてんねんと思いつつも従い進んでいくのであった。
しばらく進んでいるとありがちな宝箱が行き止まりに置いてあった。
初音は目を輝かせて宝箱に近づく。
「うわぁ〜! 本物じゃん!」
「バカっ! 開けるな!」
「へ?」
開けたが中身は空っぽ、そして来た道は壁で塞がれた。
——
【WARNING】
【中ボス出現】
——
奥からは異形の化け物が這い出て来た。
赤い目がこちらを睨みつけていた。




