第7話 世界とバグ
ちょっとした説明回。
3人は帰宅する為に下駄箱から出るとマスコミが校門に溢れかえっていた。教師や警察が抑えている。
近づくと生放送なのだろうかアナウンサーらしき人が話している。
「出てきました! 彼らが高校生だけで化け物を討伐した英雄達です!」
それに初音はふざける、意外と肝が据わっているらしい。それもそうか、わざわざ戦闘できないのに着いてきてくれたしな
「そうだ! なんとこの方々がホブゴブリンを倒したのだ〜!!!」
と手を広げて零を強調した。
「馬鹿な事しているじゃないのよ……それにあなたも戦ったでしょ」
「ウェーイ! 俺ちゃん達、みんなを守りました〜!!!」
そうだ! 俺らが守ったんだ! このくらい威張り散らしても良いだろ!!
「乗るな馬鹿!」
と零の背中を引っ叩く凛。なんて馬鹿な事をするのだろうかと困惑しつつ少し怒る。
「痛え! 何聞きたいですか? なんでも話し……」
そこに教師の北川が挟んで言う。
「アホな事してないで帰りなさい!」
「お〜 この方も実は援護してくれたんですよ!」
「言うな馬鹿! 良いから帰れ!」
それを聞いたマスコミは北川に集中して3人は離れられた。
「はぁ……どれだけ目立ちたがりなのよ」
顔に手を当ててげっそりする凛。
「いや〜 かじパイや凛は評価されるべきだし……」
「なぁ〜、でも何度も俺らは言うがお前もだからな」
こいつ自己肯定感低すぎるだろ……初音がいなかったら勝てなかったんだぞ……
零も心の中でだが頭を抱える。
「はぁ……取り敢えず、私はこっちの道だからお別れよ」
そう言うと初音は手を上げて声を張り上げて言う。
「あ! ちょい待ち! レインのグループ作りましょ!」
乗り気な零は同意した。
「そうだな! グループ名どうするかぁ……」
「星ヶ原最強前線防衛隊とか」
ドヤ顔でちょっとアホそうな事を言う凛に2人は反応に困った。
「う、うーん、どうしようかなぁ〜?」
かじ先頼んだ!
心の中で祈り他力本願。
「そうだなぁ……一旦保留でグループ名は三馬鹿にでもしとくか」
「私は馬鹿じゃないわ」
「まあまあ……」
そう零がなだめて解散した。零は自宅に帰宅するなり母親に言われた。
「ちょっとアンタ目立ち過ぎでしょ! もうニュースでずっと流れているわよ!」
「デスヨネ」
「ご飯はもう食べる?」
「会見見たら食うわ」
そうしてリビングに行くとニュースが流れていた。
「星ヶ原高校で発生した異常空間……」
「高校生3人が巨大な化け物の討伐を……」
「SNSで投稿された動画の再生数は300万回を突破……」
チャンネルを変えても変えてもその話題ばかり、いつもは唯我独尊の如く我が道を行く頼みの7チャンネルもダメだ。
「流石にこれだと何やるにも億劫になるな……」
そこに母が座り言う。
「元から有名だったけど更に有名になったわね」
「承認欲求高いから、まあ良いけどね……でもちょっとなぁ……」
確かに俺は有名になりたい、褒められたい讃えられたい縋られたいが1人の時間も潰されたら堪らん……
そう考えているとスマホが鳴る。
三馬鹿グループチャットだ。凛が発言している。
「もうすぐ会見が始まるわ」
続いて初音だ。
「テレビ前で全裸待機!」
「全裸? 服は着なさいよ乙女なのだから」
冗談が通じない凛は困惑している。俺も見ていると返信した。
時計の針は18時を指した。画面が切り替わる。
政府緊急会見が始まる、壇上には総理大臣、防衛大臣、そして見慣れない白衣姿のいかにもな研究者がいた。
会場は静まり返っており、その静寂を切り裂く様に強く総理は口を開く。
「昨日、世界、そして我が国日本各地で発生した異常現象について政府として正式な見解を示します」
零は無意識に正座で集中して聞いていた。
「政府は、この異常空間をヴォイドと命名しました、そしてヴォイドには内部が存在します、そこには現実世界に存在し得ない未知の生命体が存在しています」
3人が倒した時のホブゴブリンの映像。
巨大な狼、空飛ぶキメラの様な魔物に西洋のドラゴン。全世界から集められた映像だった。
「現在日本では消失したのも含め、283箇所のヴォイドが確認されております。そして犠牲者は1万人を超えました」
零は唖然とした、自分たちが守らなければヴォイドで容易に人は死ぬ事に。
「そんなになのか……」
そうしていると研究者が前に出た。
「もう一つ、皆様方にお伝えしなければならないことがあります」
手にはスマートフォン。ヴォイドナビを起動していた。
「現在、全ての人類がスマートフォン上で自身のレベルやスキルと呼ばれる超能力の有無を確認できます」
そう言うと彼は手のひらから炎を出した、その瞬間に会場はざわめき始める。
「この通り、普通の人間である私ですら何かしらをできます。そして現時点ではヴォイドナビゲーターのシステムは解析不可です」
政府でもわからないのかと落胆する零。
「しかし、実在はします。またレベルは高ければ高いほどに身体機能などが向上します」
凛の言葉を思い出す。
——弱者は何も守れない
その通りだ……圧倒的に力がモノを言う世界になりつつある……
零はレベルの高さを悪用した犯罪者もいるだろうと考えた。
「政府は能力者登録制度を準備しております、また高レベル能力者には国への協力をお願いする予定です」
その時、零のスマホだけが鳴り画面を見た。
——
【一般政府アクセスを確認】
【権限不足】
【個体:梶原零】
【管理者権限を照合】
【認証中……】
——
「は? なんだなんだ??」
画面が一瞬だけ赤く点滅する。
——
【閲覧権限:最上位】
——
その表示は幻の様に一瞬で消えた。
「……今のは何だ?」
零は何度画面を開いても、そこにはいつもの文字化けしか残っていなかった。
テレビではまだ政府の説明が続いている。
だが、誰にも知られない場所で。世界のシステムは、たった一人の青年を認識していた。
——本来、存在してはならない個体として。
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