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オーバーフロー 〜レベル0と表示された俺は、実はカンスト超えレベル65536だった〜  作者: 月影光貴


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第6話 女子会【男1人】

女子会ですわ〜

 7月8日


 ヴォイド発生から一夜。星ヶ原校内では警察官が巡回している、警察車両も無数に停まっている。

 

 幸い、星ヶ原高校のヴォイドは消滅し消え去った。校舎の一部は壊れたままなので、普段は使わない教室を使い授業をしていた。

 なので隣のクラスだった凛と零は同じ教室に。


 授業の話は(みな)が頭に入らない、誰しもが昨日の話題で盛り上がっていた。


「昨日のホブゴブリンを倒した動画見た?」


「見た見た! 2階からこっそり撮影していた人がネットに載せていたよね〜」


「かじと暁は本当にヤバかった!! 何食ったらあんな強さになるんだ?」


「1年の子も勇気あったよなぁ」


 教室はそんな話ばかりだった。教師ですら話題に耳を傾けてしまい、教室は半ば放任状態だった。


 零は窓際の席で頬杖をつく。


「……嬉しいけど居づらいな」


「互いに自業自得じゃない?」


 前の席の凛が振り返った。


「私達目立ち過ぎたのよ」


「俺は承認欲求強いから目立つのは良いけど、なんかなぁ〜……」


 そんな事を言っているとチャイムが鳴り昼休みとなった。


「あの動画の再生数150万超えていたわよ」


「すごいわね……海外でも有名になっているわ」


 そこへ初音が小走りでやって来た。


「せ、先輩! お昼、一緒に食べませんか!」


「お、いいぞ!」


「そうね」


 3人は高いフェンスに囲まれた屋上に行き、そのフェンス越しに校庭を見た。


 砕けた地面はブルーシートに覆われ、警察やらが慌ただしく動いている。


「昨日まで普通の学校だったのにな〜」


 初音が呟く。


「ヴォイドが消えても、もう普通じゃない……」


 凛は静かに答えた。


 3人は暗くならない様に切り替えて座った。

 死人だって()()()()出ていないのだから。


 零はおにぎり2個に親が作った二段弁当。


 凛はサンドイッチとコンビニのサラダ。


 初音は自分で作った弁当だった。


「いただきます」


 3人は同時に手を合わせ食べ始めた。


 数十秒後


「……」 「……」 「……」


「いや、なんか話そうぜ?」


 髪の毛をいじり困惑する零。


「じゃあ女子会にしましょ〜!!」


 初音が元気よく手を上げて立ち上がった。

 零は俺はどうなるのだと更に困惑した。


「……俺いるよ」


「細かい事は気にしないでください!」


「気にするわ!」


 こんな2メートルムキムキの女がいてたまるか!


 凛が吹き出した。


「ふふっ」


「笑ったなぁ〜?」


「少しね」


 昨日までほぼ無表情だった彼女が笑い、初音は目を丸くした。なんせゴブリンの背後をとって邪悪そうに笑うところしか見ていないからだ。


「暁先輩って普通に笑うですね!」


「……失礼ね」


「だってずっとクールで、真顔な事が多かったですから……」


「……そんな事はないわ」


「あります!」


 2人は楽しく話している内に昼飯を早食いして全て食べ尽くした零は壁にもたれかかっていた。


「梶原先輩」


 急に神妙な顔つきで声をかけられる零。


「ん?」


「好きな異性のタイプは?」


「急過ぎだろっ!」


「女子会と言えば恋バナ!」


「だから俺は女子ではない!」


 凛は下を向き肩を振るわせていた。


「答えなさい」


「お前まで乗るか……」


「多数決ね」


「俺おしまいじゃねえか!」


 うーんと唸ってから絞り出した返答。


「優しくて笑顔が可愛い人……か?」


 少し顔を逸らしつつ言う。


「え?」


「あと自分をしっかり持っている人が良い」


「なんか意外です」


「もっと筋肉パワー大切とか言うかと」


 何を考えたらそうなる?筋肉が恋愛に絡む事はほぼないだろ! と零は思った。

 凛はサンドイッチを一口食べると自分からタイプを話す。


「私は強い人」


「迷いがないな」


 強い人ね〜信念なのか肉体的なのかどっちだろうか、と2人は思う。


「弱者は何も守れない」


 昨日戦いを思い出す、その言葉には重みがあった。


「因みに初音は?」


「わ、私は……やっぱり優しい人ですかね」


 顔を真っ赤にして言う。


「普通だな」


「普通が1番です!」


 3人は笑った、戦場でも無く、ただ昼飯を囲んで食い笑う。

 そんな当たり前の時間は、昨日までどれほど尊いものか理解していなかった。

 人は不幸にならなければ幸福を知らない。

 人は無くなってからじゃないと必要性に気付かない。

 それが人間という生き物だ。


「そう言えば凛はなんでそんなに強いんだ?」


「親が警官だから護身術なんかを習っているのよ……それより昨日から思ったけど何でナチュラルに下の名前で呼んでいるのよ」


「あかつき、りん 凛のほうが短いだろ? そうだ、初音!」


「は、はい!?」


「無理に敬語も使わなくて良いぞ先輩とかも要らない、死地を共に潜り抜けたのだからな!」


「じゃあ、かじパイよろしく!」


「かじだけでいいよ……俺がパイみたいじゃねえか」


 そんな事を言い合って笑っているとスマホが鳴る。


『緊急ニュース』


 3人は画面を見た。 これはテレビでも流れている。


「昨日確認された異常現象は東京都だけではありません、全国各地で同時多発的に起こっています」


 画面には北海道、宮城、愛知、大阪、福岡、鳥取と次々に赤いマーカーで表示される。


 そして最後に。


「死者数は数千人に及んでいます、政府は本日午後6時より緊急会見を行います。尚、政府は全国の高レベル能力者を招集し、保護や登録制度などを制定する見通しです」


 屋上から見える空は昨日、一昨日と変わらない同じ空。なのに世界は変わってしまった。

 零は空を見上げた。


「……これは更に大事になるな」


 2人とも否定出来なかった、人類はもう日常に戻れない。そう静かに全員が理解していた。

 そして全員のスマホに通知。


【18:00 政府緊急会見】

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