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オーバーフロー 〜レベル0と表示された俺は、実はカンスト超えレベル65536だった〜  作者: 月影光貴


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第4話 体育館前防衛戦

「来たぞッ!」


 やれるのか!? ……いや、やるしかないんだ!!

 

 零の言葉と同時にゴブリンが一斉に廊下を駆け出した、だが数体は後方に何故かいた。


「ギギギィギ!!!」


 廊下埋め尽くす異形の群れ、だが零達は一歩も引かない。


「初音!」


「は、はい!」


「奴らの後方に何故か数体だけ動き出さない個体がいる、何をしようとしているかわかるか?」


「見ますっ」


 出来るかなぁ〜……


 右目の前に浮かぶ魔法陣が回転し、初音に情報が流れてきた。


 出来た!!

 投石器? 後ろにいる奴らは遠距離攻撃を狙っている!


 初音は見た情報を即座に伝えた。


「先輩! 後ろの奴らは布の投石器を持っています。遠距離攻撃が目的です!」


 そう言っている間に後方の5体は投石器を回し始めた。


「ありがとう!」


 零は考えた、投石器を持つ奴を放置してはならないと、だからとんでもない事を考えた。


 アイツら投石器しか持っていない? だが距離的に詰められない、ならばあそこまで木刀に凛を乗せて投げ飛ばしてやるかっ!


 あまりにも荒唐無稽でめちゃくちゃな作戦、だが初音に石が被弾してしまう事を危惧しての急ぎの作戦だ。


 凛は前方のゴブリンを蹴り上げては殴り一体ずつ倒し、飛来する石は零が木刀で打ち落としつつ、木刀を振り回して牽制。

 そして投石2発目を放つ為に隙が生まれた、ここで零は凛に無茶を強いる。


「後ろの投石の奴らは危険だ、俺の木刀の上に乗ってくれ。そのまま前方に振るから、踏ん張って良いタイミングで後方に飛んでくれないか?」


 そんな無茶な事を聞いて少し目を見開くが、零を信じた。


 やっぱりぶっ飛んだ実績がある人は考え方もぶっ飛んでいるわね……でも多分合理的よ。


「……ちゃんと飛ばしてよ」


 零が振りかぶる姿勢で持つ細い木刀の上にジャンプして立った。そこから本気で縦に振り下ろす。

 あまりの光景にゴブリンさえも困惑し止まった。


「行けぇええ!!!」


「ハァァァッッ!!!」


「なっ、なんて無茶なぁ〜!??」

 

 素振りをする様に地面と水平に上げた木刀に乗った凛は、零の本気の振り下ろしのタイミングで足を曲げてから引き伸ばし、大ジャンプした。

 

 そして見事に投石器を構えていた5体のゴブリンの群れへと、凛は一直線に飛び込んだ。

 

 すごすぎる……この2人は私と同じ人間なの……


「う、嘘でしょ……ありえない……」


 頭を抱える初音。そうしていると凛は少し怖い笑みを浮かべた。


「これで挟み撃ち……ねぇ?」


「だなぁ! これにて終幕だッ!!」


 凛は投石ゴブリンの投石器を奪って足を掬って蹴り飛ばす。そしてその気絶したゴブリンを蹴り飛ばして別のゴブリンにぶつけた。


 可哀想に動揺しているゴブリン達に零は木刀を振りかざす。

 その中でまた初音は解析をした。


「先輩! 頭より首を狙ってください! 硬い頭部より弱点です!」


「助かる!」


 後方にステップして下り、ゴブリン目掛けて零は突きをした。


「突きぃいいいああいああ!!!」


「きゃっ!?」


 うわっ! びっくりした!? そっか剣道やっている人だから叫び声が変でデカいのか……


 初音は胸に手を当て落ち着こうとする。

 その間も残り2人は本気の殺し合い。


 凛は達人的な間合いで戦う。

 半歩ズレる、頭に拳骨。下がった頭を膝で蹴り上げて、腹を思い切り殴り飛ばし内臓破壊をする。


「終わり」


 たった一言つぶやく。


「つ、強すぎるっ」


 初音は言葉を失った、2人はあまりにも人間離れしていた。

 しかし、それでも頭数が多いせいでケリがまだつかない。


「先輩! 右のやつは足が速いです!」


 それを聞き膝を砕き、動けなくすると首を横から木刀で殴り飛ばした。


「ありがとう! アドバイスをもっとくれ!」


「はい!」


 解析眼(アナライズアイ)は止まらない。


「右2体、盾が重くて重心がずれています!」


 それに対応し足払いして盾ごと頭を踏み潰す凛。


「その左のやつは武器が破損気味です!」


 初音が叫ぶたびに、零と凛は最適な動きを選ぶ。

 まるで何年も組んできたチームの様だった。


 5分後には最後の一体にまで倒した。


「きぎぎ!!」


 単調に飛びかかる。


「これで終わりだァ!」


 木刀を振り下ろし頭をかち割った。

 グロテスクな音が響くとともに静寂が訪れた。


 廊下に転がる17体の骸。3人だけが立っていた。


「終わった……?」


 初音は疲れ切って座り込む。


 零達のスマホが鳴る。


——

経験値取得

ERROR

ERROR

レベル計測不能

取得処理を中断します。

——


「またかよ……」


 一方、凛のスマホ。


——

レベルアップ

65→66

スキルポイント獲得

——


「上がったわね」

 

 そして初音のスマホ。


——

補助ボーナス経験値

レベルアップ

29→35

スキルポイント獲得

——


「わあ! めっちゃ上がったんだけど〜!!」


「レベルは本当にゲームの様に上がるわね」


 この労力でこの上がり方ね……恐らく100がマックスではないわね、更に上の桁ね。


 そして零だけ、そう零だけが何も変わらないのである。


「俺だけ仲間はずれかぁ……はははっ……」


 ショボショボになりながら、なんとか口角を上げる。


 その時だった校舎全体が揺れる。


 ズゴゴゴガガ……


「な、何!?」


 音がする校庭の方を見た。


 黒い裂け目がさらに広がっていた、スマホがけたたましく鳴り散らす。


——

【WARNING】

VOID拡大を確認。

高位個体顕現。

——


「高位個体だと?」


 零が呟いた瞬間。裂け目の中から、一際大きな腕が現れる。普通のゴブリンとは違う、4メートル程の巨体。

 筋肉で膨れ上がった身体に赤黒い皮膚。手には人間ほどもある巨大で金属の棍棒。


 そして、赤い瞳がこちらを捉えていた。


「グオオオオオオオオオオッ!!!!」


 咆哮だけで窓ガラスが震える。

 初音の解析眼(アナライズアイ)が勝手に発動する。


——

【種族】ホブゴブリン

【脅威】E

【推奨レベル】51〜200

【推奨討伐人数】20名以上

【危険度】高い

——


 見えてしまった初音だけは血の気が引き怯える。


「せ、先輩……こっ、この敵には勝てません……」


 零は巨大な魔物を少し見上げた。自然と木刀を握る力は強まる。


「いや、勝てるかじゃない。勝つんだ。ここで止めなきゃ、後ろのみんなは死んじまう。そんなのはごめんだ、なら(タマ)張ってでも戦ってやる」


 凛も隣に立つ。


「同意するわ」


 2人は前に、初音は震える足を必死に動かし、その背中を追いかけていった。


 星ヶ原高校、最初のボス戦が幕を開けた。

次ボス

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