第6話:料理部での出会い
調理室は、料理をするためのスペースが4箇所あることもあってかなり広い。そんな中、俺は一人で夕食を作っていた。さすがに初日から料理部の活動をする人は他にはいなかったようだ。これだけ広い部屋で一人で作っているとさすがに淋しい気もするな。ただスペースが広くて料理がしやすいというのはあるが。
ガラッ
すると調理室のドアが開き、ひとりの女の子が入ってきた。
「こんにちは、こちらは料理部でしょうか?」
「はい、そうですよ。今日は俺しかいませんが」
「一年生の佐伯陽菜です。料理部への入部を検討しているので、見学させてほしいのですが」
「いいよ。今日は俺一人しかいないけど簡単に説明するね」
佐伯さんは、背は少し低めで髪をツインテールにした、とてもかわいい女の子だ。妹のような守ってあげたくなるような雰囲気がある。前回の記憶では話すのが好きな子で、部の中でも常に話をしているような感じだった。とりあえず料理部の活動方針や部員について簡単に説明した。
「説明ありがとうございました。ところで先輩の名前を教えてもらえますか?あと学年も」
「二年生の最上夏樹だよ。よろしくね」
「最上先輩は初日から活動しているんですね」
「夕食を作る必要があるからね」
「そうなんですか?ひょっとして一人暮らしなんですか?」
「いや、親が出張とかが多くてね。」
「今日は何を作っているんですか?」
「肉じゃがだよ。定番料理だね」
「へー。どうやって作るんですか?」
「それはね」
俺は肉じゃがの一通りの作り方を佐伯さんに教えた。まぁ肉じゃがは調味料の分量さえ間違えなければ、材料を入れて煮るだけなので教えるほどのものではないんだけど。
佐伯さんはとてもかわいい女の子なんだが、部ではやたら話かけるし話も長いということで途中からは他の部員から避けられるようになってしまっていたはず。男からすると妹のような可愛さが良いのだが、料理部は女性ばかりなのであまり受けは良くなかった。最終的には部にも来なくなってしまっていたと思う。前回の俺は他の部員と同じく佐伯さんからは距離を取るようにしていたと思うが、今回はとことん話に付き合うことにした。異世界の交渉では、根気よく相手の話をとにかく聞き続けるということが重要だったのだ。高校一年生の女の子の話に付き合うぐらい簡単なことだ。
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できあがった肉じゃがをお互いに味見することにした。
「やっぱりまだ完全に味が染み込んでないかな」
「でもとっても美味しいですよ。じゃがいもの形もほとんど崩れていないですし」
残った分はタッパーに入れて持って帰ることにする。
「最後まで料理に付き合ってくれてありがとうね。そういえば、佐伯さんは電車で通学?」
「はい。上り線で5つ目の駅ですね」
どうやら俺とは反対方向のようだが、改札までは送ったほうがいいだろう。
「それじゃ改札まで送るよ。俺は下り線なんだ」
「そうなんですね。それじゃぁお願いしちゃおうかな」
話好きなだけあって、帰りもずっと話をしていたが、とにかく丁寧に話に耳を傾けるようにしたのだった。俺の対応がまずくて入部を辞めてしまっては申し訳ないからね。
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