第4話(別視点):幼馴染2
井上美桜 Side:
高校二年生の初日、玄関を出たところでちょうど隣の幼馴染も出てきた。最上夏樹、同じ学年で、顔は地味、運動も苦手な男の子だけど、小学生の頃までは一緒に遊ぶなどして仲が良かった。でも中学ぐらいからだんだん話をしなくなり、高校一年生になってからは会話をすることも全く無くなってしまっていた。まぁ今日も挨拶することもないだろう。
「おはよう、井上さん」
びっくりした。もう一年以上も会話をすることもなかったのに、なぜ今日になって挨拶を?振り向いてみると、これまで会話がなかったことをすっかり忘れているかのように自然に話しかけてきた。どう調子は?とか、こっちが聞きたいわよ。なんでいまさら?
でも、最初はいきなり挨拶されて驚いていたから気づかなかったけど、以前に見かけたときとはだいぶ雰囲気が違う。まず体格がかなりガッチリとしていて、運動が得意そうに見える。確か夏樹は料理部に入っていて運動は苦手だったはず。春休みに特訓を受けていたとか言っているけど、いくらなんでも変わりすぎなんじゃないの?それに顔は確かに地味だけど、以前よりはずっと引き締まった感じになっているような気がする。
「一緒に学校に行こうよ」
えっ?誘っているの?夏樹から?本当に同一人物か疑ってしまうんだけど?しかも明日以降も一緒に行こうとか言っているし。どうなっているのかしら?でもこれまでもずっとそうしてきたかのように、自然に話をすることができている。なんとなく昔に戻れたような気がして嬉しくなってしまう。
「それじゃ井上さん、俺は先に行くから」
改札を出て友達の藍花と一緒になったところで、夏樹は先に行ってしまった。また話ができるようになって良かったけど、名前じゃなくて名字で呼ばれるのは少しモヤっとする。昔のように名前で呼んでほしいんだけど、まぁいいわ。私はこれからも名前で呼ぶようにしよう。
「ねぇ美桜、いまの男の子は誰?まさか彼氏?」
「違うわよ、隣に住んでいる幼馴染」
「あれ?以前に言っていた幼馴染のこと?確か地味でパッとしないって言ってなかった?」
「そうだっけ?」
「確かにイケメンじゃなさそうだけど、そこまで悪くないんじゃないの。それに体格は凄く良さそうだよ?紹介してよ」
「ダメダメ、あいつはやめておいたほうがいいよ」
「えー、ケチー」
「藍花には、もっと格好いい男が似合うよ」
「そうかなー」
なぜか藍花に夏樹を紹介したくないと思ってしまった。それにしても、春休みだけであんなに体格が変わるものだろうか?それに、なんとなく雰囲気がとても落ち着いているというか、すごく大人びた感じになっている気がするんだけど。
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