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第3話:幼馴染

今日から二回目の高校二年生が始まる。俺が通っていた県立西高校は、県内ではそこそこ上位の進学校だった。トップの進学校というわけではなかったのでスポーツ系の部活動もかなり活発だった。家から駅までは徒歩15分ぐらい。そこから3駅ほど電車に乗って、さらに徒歩10分ぐらいで高校に着くことができたので、通学はそこまで大変ではなかった。


親は再び海外出張に行ってしまったので朝食についても自分が作る必要があったが、トーストにフルーツヨーグルトという簡単な朝食で済ませておいた。玄関から外にでて学校に向かおうとしたところで、隣の家の玄関が開き、女子学生がでてきた。名前は井上美桜いのうえみお。髪は肩ぐらいまであって整った顔立ちがとても可愛い女の子だ。部活はバスケット部に入っていて、運動が得意で活発な性格をしている。偶然にも隣の家に住んでいて同じ学年ということもあり、小学生ぐらいまでは毎日一緒に遊んでいたいわゆる幼馴染である。しかし中学ぐらいから女の子として意識しだしたのと、可愛いこともあって学校でも人気の彼女と、地味でパッとしない、いわゆるモブの俺では釣り合いがとれないような気がして、そのまま距離を置くようになってしまっていたのだった。たしか前回つまりタイムリープする前の二年生のときも、偶然にも朝に同じタイミングで家から出ておきながら、声はかけなかったと思う。結局、そのまま高校時代に同じクラスになることもなかったことから話をするチャンスもほとんどなく、別の大学に進学して離れ離れになってしまったのだ。


異世界ではなんどか元の世界には戻れないかも?と諦めかけたときが何度もあった。そのときに頭ん中に浮かんだのは幼馴染のことだった。もう会えないかもしれないと思った幼馴染がすぐそこにいる。


「おはよう、井上さん」

「おはよう、珍しいわね。夏樹から声をかけてくるなんて」


すっかり距離を置くようになっていたのに、いきなり挨拶したからか驚いた顔をしながら井上さんが振り向いてきた。異世界では無茶な交渉に何度も望んできたのだ。数年ぶりに声をかけるぐらいのハードルはなんてことはない。


「今日から、高校二年生だね。どう調子は?」

「別に普通よ。それよりも夏樹、なんか雰囲気が変わってない?」

「そうか?別にいままでどおりだと思うけど」

「体格が全然違うわよ。少し前まではもっと痩せていたとおもうけど、凄くガッチリとした感じになってない?」

「春休みに特訓を受けていたんだよ」


うん、嘘は言っていないな。場所が異世界だったというだけで。


「特訓?春休みだけでそこまで変わる??」

「それよりも、一緒に学校に行こうよ。遅刻しちゃうよ」

「わかったわ。それにしても性格も変わってない?一緒に学校に行こうなんて過去に誘ってくれたことなかったじゃない」

「小学校までは良く一緒に遊んだだろ。中学から疎遠になっちゃったけど、今からでも昔みたいに仲良くできればなと思って。明日も時間を合わせて一緒に行かないか?」

「まぁいいけど、ずいぶんと積極的じゃない」

「高校デビューなんだよ」

「もう二年生じゃない。一年も遅刻しているよ」


井上さんは笑いながらも納得してくれたようだ。しばらく最近の流行りとか、お気に入りのテレビ番組の話などをしながら電車に乗って学校に向かう。電車を降りて改札を過ぎると、同じ高校に向かう生徒がたくさん歩いている。


美桜みお、おはよう」

藍花あいか、おはよう」


井上さんに挨拶をしたのは伊藤藍花いとうあいかという名前の井上さんの友人で、同じバスケット部に入っている。確か、高校一年、二年と井上さんと同じクラスで、かなり仲が良かったはずだ。


「それじゃ井上さん、俺は先に行くから。それじゃね」

「うん」


一緒に登校するといっても、このあたりが潮時だろう。学校近くまで一緒にいると注目を浴びてしまうだろうからな。数年ぶりだったけど、普通に話せて良かった。明日からも、こんな感じで少しづつ話ができれば、昔みたいに仲良くなれるのではないだろうか?

第3話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

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