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第2話:帰還

目が覚めると、そこは異世界で寝泊まりしていた石造りの部屋ではなく、馴染み深い木造の部屋だった。どうやら無事に元の世界に戻ったらしい。ただ元の時間に戻ったのなら、夜の大学のキャンパスに戻るはずなのだが、なぜ部屋の中なのだろうか?

そして部屋の様子が少しおかしい。俺は地元ではなく、東京の大学に進学していた。東京の下宿先は8畳の部屋でキッチン、トイレ、風呂がついていたのだが、今いる部屋は木造の6畳ぐらいの部屋でベッドと学習机に服をかけるハンガーラックが置いてあるが、キッチンやトイレ、風呂の扉がない。というか玄関もなくどこか別の家の一室にいるようである。


一体、ここはどこなんだ?と考えていたところ、ここが実家の自分の部屋であることに気づいた。神の説明では元の世界の元の時間に戻すという話だったが、場所についてはそういえば言及がなかったことを思い出す。ということは場所だけ実家に戻してしまったのだろうか?しかし、大学進学時に学習机などは廃棄して、俺の部屋は物置部屋になっていたはず。どういうことなのだろうか?


学習机の本棚には高校用の教科書が置いてあり、ハンガーラックに高校時代の制服がかかっている。これらも大学に進学した時に廃棄したはず。どうして破棄したものが復活しているんだろうか?ふと、学習机の上にスマートフォンが置いてあることに気づいた。スマートフォンを手にとって日付を見てみると、異世界召喚されたときから5年前の4月1日になっていた。5年前ということは高校生2年生ということか。異世界から帰還したのにタイムリープしているじゃないか!


□▲□


あの神め、元の時間と言っていたのに、5年ほど間違って戻してしまったらしい。といっても、すでに帰還は完了しているので、いまさらもう一度異世界に行ってから、再度帰還なんてことはしたくない。そもそも、どうやったら神と連絡がとれるかもわからないし。


頭が混乱していたので、台所に行って水を飲むことにした。コップに水を注いで、ゆっくり飲んでいると少しずつ落ち着いてきた。


この状況からして間違って高校二年生にまで戻ってきてしまったことは、どうやら受け入れるしかなさそうだ。前回、つまりタイムリープ前の高校二年生がどうだったのかを思い出してみる。俺はいわゆるモブ的な存在で自分に自信が持てなかったこともあり、高校時代にあまり良い思い出がなかった。あのときに、こうしていれば?という後悔がいくつもあったのだ。せっかく二回目の高校二年生なのだから、いろいろとやり直してみるのもいいかもしれない。

あとは大学4年の就活では内定を取るのにかなり苦労していたので、もっと楽になるように今回はもっと勉強して偏差値の高い大学に行けるようにしよう。


□▲□


二回目の高校二年生をどう過ごすのかの方針はだいたい決まったので、自分がどうなっているのかを確認してみることにする。神からは元の世界に戻るときには、職業はクリアされ取得したスキルや魔法はすべて失われると聞いていた。試しにウオーターと呟いてみたが、手から水は出てこなかった。残念だ、あんなに苦労して魔法を覚えたのに。といっても魔法なんかが使えたら、碌なことにはならない気もする。過ぎたる力は災いを招くとも言うしこれで良かったのだろう。


次に洗面所に行って鏡の中の自分を見てみる。そこにはすっかり若返った自分がいた。5年とはいえ高校生と大学生ではかなり違うな。ただ以前と同じく地味な顔のままだった。まぁ少しは引き締まった顔になっているような気もするが、それにしても異世界で平和を取り戻した報奨としてイケメンにしてくれるとかの特典があればよかったのに。


ただ体格については、かなりガッチリとしたものに変わっていた。どうやら異世界の特訓で鍛えた体については、この世界に引き継いでくれたらしい。なにしろ召喚前の俺は運動部などに入っていたわけではなく、ひょろひょろの体だったのだ。あの地獄の特訓で得たスキルや魔法は無くなってしまったけど、鍛えた体だけでも残ってくれて良かった。制服については、成長するかも?ということでかなり余裕を持たせたサイズにしてあったので、なんとか着ることができた。


親はこの春休みは海外出張中で、始業式の少し前に戻ってきたのだが、俺の体格が凄く変わったことに驚いていた。休みの期間中にトレーニングをしていたことと、そして「男子三日会わざれば刮目して見よ」と言うだろという説明でなんとか納得してくれた。

第2話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

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