第37話:後輩の一手
ある日の放課後、いつもメンバーの村瀬、向井さん、森岡さん、そして宮沢さんと部活までの少しの時間に勉強会をしようとしたところで、クラスに一人の女の子が入ってきた。
「すいません、最上先輩いませんかー?」
入ってきたのは佐伯さんだった。
(誰あの子?すごくかわいいんだけど?)
(先輩って呼んでいるけど、一年生ってこと?)
可愛い女の子がクラスに入ってきたということでクラスが騒然としている。呼ばれたのは自分なので、入口付近で待っている佐伯さんのところに行くが、すっかりクラスの注目を浴びてしまった。
「どうしたの佐伯さん?」
「あーいたいた、先輩、今日も料理部で食事作りますよね?調理室に一緒に行きましょう」
どうやら佐伯さんは迎えにきてくれたらしい。といっても同じ校舎の中にあるので、そこまでの距離があるわけではない。というか佐伯さんのクラスからだと直接行ったほうが近いぐらいじゃないだろうか?
(最上君の後輩なの?)
(迎えに来るって付き合っているのかな?)
クラスの噂話が止まらない。そりゃそうだよね。いきなり可愛い後輩が迎えに来たら。
「迎えに来てくれてありがとう、でもその前に勉強会をやる予定なんだよ。そこまで長い時間じゃないけど、先に行っていてもいいよ」
「それなら、待っていますね」
どうやら待っていてくれるらしい。
「なぁ最上、いいのか?」
「でもこの勉強会も大切だしな。待ってくれるというし、そこまで長い時間じゃないから大丈夫じゃないか?」
「そういう意味じゃなくて、他のクラスメイトが話しかけているけどいいのか?」
村瀬が心配してくれているようだが、どうやら何人かのクラスメイトが佐伯さんに話しかけているみたいだ。佐伯さんも話を合わせているように見える。まぁ佐伯さんも話好きだし、いろいろな人と話ができるのは良いことだろう。
「これがきっかけで出会いがあればそれに越したことはないんじゃないか?」
「お前、それは絶対にあの子の前で言うなよ」
「おう」
村瀬から強く警告されたので、思わず頷いておく。佐伯さんも上級生の知り合いができたら嬉しいと思うんだが。
「ねぇ最上君、これについて教えてくれる?」
「あぁこれね。これはね」
なぜか宮沢さんがいつもよりも席を近くにして問題について聞いてきた。ほとんど肩が触れ合うぐらいだ。どうしたんだ?
□▲□
しばらく勉強をしたところで、村瀬と宮沢さんは部活に行く時間になったため、勉強会は終了となった。
「おまたせ、佐伯さん」
「はい、最上先輩行きましょう」
「あの、連絡先おしえてもらえないかな?」
クラスメイトの青木が佐伯さんに連絡先を聞いている。青木は、俺達が勉強会をしている間に佐伯さんに話しかけていた一人だ。
「ごめんなさい、私の連絡先は最上先輩だけに教えているんです。それじゃ」
「ちょっと、俺だけってことはないでしょ」
「それよりも先輩、調理室に早く行きますよ。今日も一緒に帰りましょうね」
「えっ、ちょっと」
俺は佐伯さんに手を引かれて調理室に向かうのであった。
第37話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。




