第34話:プール2
今はペアでくっついてウォータースライダーをできるところはないようなのですが、この当時はできるところがあったという設定でよろしくお願いします。
「ねぇ佐伯さん、ほんとうにペアで滑るの?」
「カップルで来ているんだから、当たり前じゃないですか」
いや、そうは言ってもね。俺は知らなかったんだよ、ペアでウォータースライダーを滑るのがどういうことなのか。だって女の子を前にして抱きつかないといけないの?
「先輩、順番ですよ!」
「わかった。少し体に触れるから勘弁してね」
「何を言っているんですか!行きますよ」
水着姿の佐伯さんにどこまで触れていいのかばかり考えているうちにスライダーが終わった。これは精神的に疲れる。海の家でもバイトしたし、プールぐらいならいいかと考えていたが甘かったようだ。何回かスライダーに乗ったところで、レストランに行ってランチを食べることにした。料理部だからお弁当を持ってくることも考えたが、真夏の時期に屋外に弁当を置いておくのは食中毒の危険もあるので止めておいた。
「そういえば、佐伯さんは夏休みはどうしていたの?」
「友達と買い物に行ったり、家族で旅行とかしていましたよ。先輩はバイトどうだったんですか?」
「忙しかったよ。宿泊と海の家の両方だったからなぁ」
「そういって、水着姿の女の子を眺めていたんじゃないんですか?」
「できればそうしたかったんだけどなー。キッチンに入っていたからそんな暇なかったよ」
「良かったですね。今なら目の前に水着姿の美少女がいますよ」
改めて佐伯さんを見てみると、水着姿というのは普段は目にしない部分が見えているわけで...しかも佐伯さんの水着はビキニタイプなのだ。目のやり場に困ってしまう。
「あれ?先輩どこを見ているんですかぁ」
「いや今、目の前に水着姿の美少女がいるって言ったよね」
「でも胸元とか太ももばかり見ていませんか?」
「いや、そんなことないから、ちゃんと全身を見てるよ。たまには、その、見ることもあるけど」
どうしても目線がそちらに行ってしまうのは勘弁してほしい。
「仕方がないですね。今日は許してあげます。でも他の女の子を見るのはダメですよ」
「佐伯さんが一番可愛いんだから、見るのは佐伯さんだけだよ」
「少し休んだら、また泳ぎましょう」
佐伯さんは嬉しそうに笑ってくれた。相変わらず可愛いとしか言えないけど、この言葉で大丈夫だったらしい。この笑顔を見ていると、俺も凄くドキドキしてくる。元々が可愛い子なのに、そこでこんなに嬉しそうな笑顔をされたら、だれもが好きになってしまうのではないだろうか?
前回つまりタイムリープ前は高校・大学と彼女ができることはなかった。だからこんな可愛い子とプールに来るなんてこともなかった。今回こんな体験ができているのは、きっと料理部の先輩、後輩という関係のおかげなのだろう思う。そうじゃなきゃ、俺みたいなモブがこんなに可愛い子とプールに来れるわけはないのだ。とにかく勘違いだけはしないようにしないと。
少し休んだ後は、流れるプールでのんびりと泳ぐことにした。
「先輩、私ってうっとおしいですか?」
「どうしたの?いきなり?」
「私って、話をするのが好きで、ついつい話し過ぎちゃうんですよね。そうすると少し引かれるというか」
「そうね、会話って相手があってのことだから、自分だけ話をするというのは違うかもね」
「なるほど」
「でも、話し好きというのはいいと思うけどな。俺も佐伯さんと話をするのは好きだし」
「本当ですか?」
「誰だって話をするのは好きだと思うよ。佐伯さんはいろいろと話をしてくれるから、すごく楽しいよ」
「先輩、ありがとう」
いきなり佐伯さんが抱きついてきた。
「えっ、ちょっと、いろいろと当たっている!」
「えー。どこがですかぁ」
水着だと当たっていることが、よりはっきりわかってしまう。これはまずい。
「どこかなんて言えるわけないでしょ!」
「言ってくれないとわからないなぁ」
「とりあえず、少し離れて泳ごう」
「スライダーでは抱きついてくれたじゃないですか」
「言い方!」
こうしてすっかり佐伯さんに翻弄される俺であった。
第34話までお読みいただきありがとうございます。よろしければ評価、感想などを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。




