第28話:応援
お盆過ぎ、海の家の住み込みのバイトも終わって、美桜との勉強会を再開することになった。
「おー。すごいな俺が作った宿題、すべて終わらしてあるじゃないか」
「そりゃ、せっかく夏樹が作ってくれたんだし」
「夏休みなのに頑張ったな。そうだ褒美になにか一つ言うことを聞くよ」
「そしたら、明後日に練習試合があるから応援に来て」
「いいよ。午後からでいいかな?」
「うん。待ってる」
■△■
2日後の午後、俺は高校の体育館に向かった。通常はバレーとバスケットで横に4面確保してあるのだが、この日はバスケット部の練習試合ということで、バスケットコートが2面並ぶように変更してあった。4面だとスペースの空きがほとんどないので、他の学校の生徒とかが待機できないからだろう。体育館の2階にはちょっとした応援席があるので、俺は2階にあがることにした。どうやら3つの高校を招待して、4校の総当りで練習試合をしているみたいだ。
男子のバスケットコートには、同じクラスの袴田がいた。やはりバスケット部というのはこうやって見ていてもかっこいいな。イケメンだとなおさらだ。
女子のバスケットコートを見てみると、ちょうど美桜が試合にでているところだった。バスケットに打ち込んでいるだけあって、試合を見ていても活躍していることがわかる。今もパスカットからの速攻で、レイアップシュートを決めた。コートにいる美桜はとても輝いていてしかも格好良かった。これでさらに可愛いのだから学校でも人気なのも当たり前だなと思う。噂ではかなりの数の男子が告白したらしい。今のところ、すべて断っているみたいだが、美桜は理想が高いのだろうか?まぁバスケットに夢中で恋愛は二の次なのかもしれないな。
そんな美桜を見ていると、好きという感情が芽生えてくるのが自分でもわかった。でもバスケットコートで輝いている美桜と、応援席にいる俺では立場が違いすぎる。本来ならモブの俺が仲良くしているというのはありえないことのように思えた。それでも仲良くできているのは幼馴染という関係があればこそに違いない。自分の好きという感情を優先して、幼馴染という関係を失うわけにはいかないのだ。これからも幼馴染として振る舞わないとな。
せっかく応援に来たわけだし、ボールアウトしたタイミングで声をかけることにした。
「井上さん、ファイト!」
美桜は俺の方を振り返ってVサインをしてくれたので、こちらもVサインで返しておく。その後も、美桜は試合で活躍を続けた。
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「夏樹、応援ありがとう」
試合後に美桜は二階の応援席まで来てくれた。
「約束だったからな。試合ではすごい活躍していて格好良かったよ」
「ありがとう。でもできれば名前で応援してほしかったな」
「いや、これだけの人前でそんなことをする勇気はないから」
「じゃぁいつかは名前で応援してね。そろそろ次の試合前のミーティングがあるから戻るね」
「あぁ、最後まで見ていくから頑張れよ」
「うん」
その後も俺は美桜の応援を続けた。
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練習試合も終わったようなので、そろそろ帰ろうかと1階に戻り、体育館の入口付近にあるトレーニングルームの前を通りかかったところで、バレー部の選手が入口付近で誰かを待っていることに気づいた。
「やっぱり、最上君だ。バスケット部の応援?」
そのバレー部の選手は宮沢さんだった。
「あれ?宮沢さん?トレーニングをしていたの?」
「そう。今日はバスケット部がコートを全面使っているから、バレー部はトレーニングのみ」
「なるほど。」
「それで、さっき最上君らしき応援の声が聞こえた気がするんだけど」
「あぁ、俺はバスケット部を応援しに来ていたんだ」
「へー。ひょっとして女の子?」
「そうだね。井上さんといって隣に住んでいる幼馴染なんだけど」
なんか宮沢さんの表情がだんだんと冷たくなっていっているような気がする。何か気にさわるような事を言っただろうか?
「ふーん。ねぇ最上君、バレー部も明後日に練習試合があるの。応援に来てくれないかな?」
「いいよ。午後から応援に来るね」
「待っているからね」
話の流れ的に断れるような感じではなかったのでOKをしておいた。
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