第25話:海の家
夏休みに入って海の家でのバイトが始まった。ビーチには可愛い女の子がたくさんいて、しかもビキニなどの水着を着ていて、見ているだけで幸せになれる...なんてことはなくて、めちゃくちゃ忙しい日々を過ごしていた。今日もランチタイムは大忙しである。俺は料理部ということをアピールしてバイトに応募したということもあり、海の家でもキッチンに入っていた。一応、キッチンから店内を見ることはできるので水着姿の女の子を見ようと思えば見れるのだが、次々と入るオーダーを処理するので手一杯だった。
「焼きそば5人前、大盛りね」
「了解!」
「ラーメン3つに、カレーライス3ね」
「了解!」
カレーライスは皿に盛るだけなので、少し余裕が生まれる。ここで皿を洗っておかないといけない。ふと店内を見てみると、配膳係のバイト同士で忙しいながらも楽しそうに話をしていた。当たり前だがキッチンを希望するバイトは俺以外にはいなかった。そりゃそうだ、配膳係なら水着姿の女の子のお客さんと話ができるからね。それに女の子のバイトも二人いるわけだし。
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宿泊客が夕食を食べ終わった後に、バイトの夕食の時間となる。これでこの日の作業も終わりだ。やっと忙しい一日が終わるということで、バイトのみんなの話も盛り上がっている。
「俺は南高二年でテニス部なんだ。どこの高校なの?」
女の子2人を囲むように男4人が話かけるような構図になっていた。俺は隅の席で食べていて会話には参加していない。それにしてもテニス部が夏休み中にバイトできるわけないだろうに。村瀬を少しは見習ってほしいものだ。先に夕食を食べ終えた俺は皿を洗って部屋に戻った。
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異世界で特訓して体を鍛えたといっても、そのままでいたらすぐに体がなまってしまう。この世界に戻ってからも家や公園などでトレーニングは続けていた。バイト中とはいえ、トレーニングを中断するわけにはいかないので、朝早起きしてトレーニングをすることにした。夏ということもあって周囲が明るくなる時間は早い。砂浜でのランニングにダッシュ。砂袋を持ってのウエイトトレーニング。1時間ほど集中して鍛えたところで宿に戻ることにする。今日も天気は良さそうだ。この分だと海の家はまた忙しくなりそうだな。
宿に戻ろうとしたところで、ビーチに女の子が一人座っているのが見えた。近づいてみると、同じバイトの子だった。名前は伊原恵美で、県立女子高校に通っている女の子だ。学年は同じで背は普通ぐらい、髪は肩よりも少し長いぐらいだ。姉御的な雰囲気がある女の子で、海の家でも他のバイトから頼られる場面は多かった覚えがある。人当たりもよくて、しかもとても可愛いのでお客さんからは人気があったはず。前回のときは、俺がバイトで疲れ果てていたため、話をする余裕もなかった。せっかくだし、今回は一言、挨拶をしておこう。
「おはよう、伊原さんだっけ?今日も忙しくなりそうだね」
「えーと、最上だっけ?おはよう。こんな早くからビーチに来ていたのか?なんかずいぶんと汗をかいているみたいだけど?」
伊原さんは最初から名前は呼び捨てだし、敬語を使うこともなかった。でも姉御的な雰囲気を持っているからなのか、その口調がとても自然だったし、こちら側もその方が話しやすかった。
「あぁ、ちょっとトレーニングをね。」
「これからバイトなのに、よくやるね」
「さぼると、すぐになまっちゃうからさ。それじゃぁね」
「あぁ、よろしくな」
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夏休みだからといって毎日天気がいいわけではなく、当然一日雨の日もある。こうなると海の家は開店休業状態なのでバイトものんびり過ごすことができるのだ。ただ俺はキッチンに入っていることもあり、下ごしらえを進めておくことにした。
「最上、今日はのんびりでいいんだぞ」
「天気予報では明日からまた快晴のようですからね。今日のうちに食材を仕込んでおいたほうがランチタイムが楽になるんで」
オーナーからは休んでもいいと言われたが、食材のカットをしたり一人前分の食材を切り分けたり明日の料理の準備をしておくことにした。前回の記憶では明日はちょっと揉め事があるかもしれないのだ。その場合、キッチンから出る時間を作れるようにしておかなければならない。
「そうか、まぁ無理しないようにな」
「はい」
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