第20話:映画
ある日の夜、俺の部屋の机の上には映画の招待券が2枚あった。この招待券はガチの恋愛映画のためのもので、親が仕事の関係で入手したのを俺にくれたのだ。親からは幼馴染の美桜ちゃんでも誘えば、と言われている。しかし好きでもない相手から、ガチの恋愛映画に誘われて来るものなのだろうか?そういえば前回も同じ映画の招待券をもらったのだが、結局は誘えずに終わったことを思い出した。タイムリープして前回の失敗をすべてやり直すことにしたことだし、断られてもいいから誘ってみるか。
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中間テスト後から続いている井上さんの家での勉強会で、期末テストの結果を確認することになった。
「夏樹、みてみて期末テストの結果。すごい上がったよ」
順位を見てみると112位になっている。真ん中よりわずかに上ぐらいだが、中間テストが200位台だったことを考えると凄い上がり方だ。
「これなら塾には行かなくて良さそうかな?」
「うん。親からはこのままなら塾は不要だって言われたよ。これでバスケット部を続けられる」
「それはよかった。今後はちゃんと勉強もがんばるんだぞ」
「えーとそれでね。親からはこのままならと言われているんだよね」
「このまま?このまま勉強を続ければいいんだろ?」
「だからこのままなのよ。お願い夏樹、勉強会をこのまま続けてくれないかな?」
まじか。この勉強会を今後も続けるのか。まぁ隣の家にちょっと勉強しに来るぐらいで大した負担でもないからいいのか?
「わかったよ。大切な幼馴染のお願いだしな。とことん付き合うよ」
「よかったー。そしたらお礼に何か夏樹のお願いをひとつ聞くよ」
「何をお願いしようかなぁ」
「エッチなのはダメだからね」
「俺を何だと思っているんだよ。幼馴染にそんなお願いをするか!」
「冗談だよ。お約束でしょ、こういうの」
いったい、どんな小説を読んでいるのやら。でも映画に誘うのにちょうどいいか。
「そしたらさ、映画の招待券があるから、一緒に行ってくれないか?」
「映画?」
「親から招待券をもらったんだよ。ガチな恋愛映画」
「いいよ。映画を見に行きたいし、うん、行こう。じゃぁ今週末ね」
断られるかと思っていたが、ちょうどお願いを聞いてくれることになったのは助かった。
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井上美桜の母 Side:
娘の期末テストの成績が凄くあがった。間違いなく夏樹君のおかげね。隣に住む幼馴染が、学年3位だったなんて幼馴染ガチャでSSRを引いたぐらいの価値があるんじゃないかしら。それに以前の夏樹君はもっと痩せていて、あまりパッとしない雰囲気だったはず。なぜか高校二年生になって見違えるほどに体格が良くなって、雰囲気もとても大人びた感じになっている。きっと何か変化があったに違いない。娘はバスケットに夢中で、まだ良くわかっていないようだけど、絶対に離してはいけない男の子ね。しかたがないから、私の方でこのままならという条件をつけてフォローしてあげたんだから、娘には感謝してもらわないとね。
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